メニュー 閉じる メニュー

つかめなかった五輪切符 金メダル候補の渡辺一平ら実力者が涙のむ 競泳・日本選手権 

2021.4.20 19:00 共同通信

 4月10日まで東京アクアティクスセンターで行われた競泳の日本選手権は、白血病から復帰して東京五輪代表入りを果たした池江璃花子(ルネサンス)らの活躍に沸いた。松元克央(セントラルスポーツ)大橋悠依(イトマン東進)らが初めて五輪切符をつかんだ一方で、五輪本番で表彰台の候補とみられていた渡辺一平(トヨタ自動車)ら実績がある選手たちが涙をのんだ。

男子200㍍平泳ぎで3位に終わった渡辺一平=東京アクアティクスセンター
男子200㍍平泳ぎで3位に終わった渡辺一平=東京アクアティクスセンター
 渡辺一平(24歳) 男子200メートル平泳ぎで2017、19年世界選手権銅メダル。東京五輪では金メダル獲得も期待されていた。しかし4月7日の同種目決勝では、佐藤翔馬(東京SC)武良竜也(ミキハウス)に先着を許し、リオデジャネイロ五輪に続く代表入りを逃した。派遣標準記録を下回る完敗だった。
 ―レースを終えて。
 「こんなに悔しいと思わなかった。この大会に向けて、今までの人生で一番頑張った時間だった。けれど、佐藤君と武良君の記録(を見ると)、純粋に彼らの方が頑張っていたんじゃないかなと、今思う」
 ―一発勝負の怖さが出た。
 「競泳の面白さとも言えるし、残酷なスポーツだとも思う。リオデジャネイロ五輪の選考会では、逆のような立場で僕自身、選考会だけ2位に入って代表権を獲得した。(その後は)世界を引っ張る立場として頑張ったつもり。2人に東京五輪では大暴れしてほしい」
 ―5年前は挑戦者。今回は日本記録保持者という王者の立場だった。
 「日本記録保持者という考えも全くなく、決して守りに入ったわけでもない。これが今僕にできる精いっぱいの泳ぎだったんじゃないかと思う」

×  ×  ×

 鈴木聡美(30歳)=ミキハウス= 2012年ロンドン五輪では女子200メートル平泳ぎで銀、100メートル平泳ぎと400メートルメドレーリレーでそれぞれ銅と計3個のメダルを獲得。今大会は100メートルで3位、200メートルで7位にとどまり、3大会連続の代表入りを逃した。しかし10日に非五輪種目の50メートル平泳ぎを制し、地元福岡で22年に開催される世界選手権を目指す意向を示した。

女子100㍍平泳ぎ決勝のレースを終え、プールに一礼する鈴木聡美=東京アクアティクスセンター
女子100㍍平泳ぎ決勝のレースを終え、プールに一礼する鈴木聡美=東京アクアティクスセンター

 ―(4月5日、100メートル平泳ぎ決勝後)レースを振り返って。

 「派遣記録にも届いていないで3位という記録なので、非常に悔しい。でも現実はしっかりと受け止めなければならない。残り200メートルと最終日に50メートルも残っている。今は200メートルにしっかりと気持ちを切り替え(代表を)狙えるように頑張りたい」

 ―(8日の200メートル平泳ぎ決勝後)五輪への挑戦は一区切りとなった。

 「この1年間で、本当にたくさん悩んだ。本来自分がやらなきゃいけないことを見失っていた時期もあった。自分の心の弱さが招いた結果だと非常に痛感している。ただ本当にぎりぎりの状態だったが、久々に決勝に残れた。この達成感はとても大事にしたい。今はとにかく、全力を出して、すっきりした気分。もう(東京五輪)代表には入れないが、最後までしっかり全力を出して、日本選手権を終えたいなと、すごい前向きな気持ち」

 ―(10日の50メートル平泳ぎ決勝後)五輪選考会は残念な結果だったが気持ちの整理は。

 「もう終わったこと。先に進むしかない。練習を積み重ねても真の力を出せなかった。日々の積み重ねが今回の結果につながったと思うので、払拭(ふっしょく)するつもりで、今日の50メートルを泳いだ。五輪に出られないのは本当に悔しいし、周りの期待もあったと思うので、申し訳ない気持ちでいっぱい。もし、今後、チャンスをいただけるならば、来年の世界選手権が地元開催なので、そこを目指して、弱い自分とは本当にさよならをして、より社会人として覚悟を決めて、残り1年間しっかり取り組んでいきたい」

×  ×  ×

 坂井聖人(25歳)=セイコー= リオデジャネイロ五輪の男子200メートルバタフライで、「怪物」マイケル・フェルプス(米国)に0秒04差まで迫り、銀メダルを手にした。その後は右肩を手術するなど、負傷に苦しみ、今大会は200メートルバタフライで予選落ち。200メートル背泳ぎは派遣標準記録を切る1分57秒20で泳いだが、3位で代表から漏れ、補欠となった。

男子200㍍バタフライの予選で敗退した坂井聖人=東京アクアティクスセンター
男子200㍍バタフライの予選で敗退した坂井聖人=東京アクアティクスセンター
 ―(4月7日、男子200メートル背泳ぎの準決勝後)バタフライで調子を取り戻せなかった。
 「レースで泳いでいる時に不安が出てくる。(以前)ラスト50メートルで失速した時のことがよみがえって、前半が怖くてなかなか入れない。もう一回、技術だけではなくて、精神面も見直す必要がある」
 ―東京五輪に挑戦できず。
 「素直に悔しい。4年前は銀メダルを取り、今年もメダルと自分の中では考えていたが、そのプランではもういけなくなった。(来年)日本で世界水泳があるので、そこに向けて一からやり直していきたい」

×  ×  ×

 清水咲子(29歳)=ミズノ= リオデジャネイロ五輪で8位入賞した女子400メートル個人メドレーの決勝(3日)で派遣標準記録を突破する4分38秒11をマークしたが、まさかの3位にとどまった。誕生日の20日、現役引退を発表した。

女子400㍍個人メドレーで3位に終わり、悔しがる清水咲子。左は優勝した大橋悠依=東京アクアティクスセンター
女子400㍍個人メドレーで3位に終わり、悔しがる清水咲子。左は優勝した大橋悠依=東京アクアティクスセンター
 ―代表に届かず。
 「悔いの残るレースではなかった。精いっぱいやった結果。正直最後までしっくりくる調子ではなかったが、ここまで来たらベテランの気持ちで引き上げていこうと思った。タイムは(2月の)ジャパン・オープンなどに比べて、少しずつ上がってはきたけれど、若い子たちも頑張っているし、私が退く一つの理由となったと考えている」
 ―練習仲間であり、ライバルでもある大橋が優勝で五輪代表入り。
 「彼女を応援している。私が今日まで来られたのは、彼女がいてくれたおかげ。できることなら彼女に大きな花束を贈りたい」
 ―5年間の挑戦を振り返り。
 「(レース前)最後に両親がくれたLINE(ライン)で、今日頑張ることもすごく大事だけど、今日まで頑張ってきた私を褒めてあげたいと。(それを)最後まで思い出して泳いだ。わがままを言いながら、たくさんの方に支えられた。この結果になってしまったけれど、何か感謝を伝えられたらなと思う。これからの人生につなげていくことが大事だと今は思う」