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【聖火リレー アラカルト】 復興の歩み「見てほしい」 豪雨被災地のカヌー元選手

2021.5.12 13:00 共同通信
次走者(右)に聖火を引き継ぎ、ポーズをとる堺大誉さん=5日午前、熊本県人吉市
次走者(右)に聖火を引き継ぎ、ポーズをとる堺大誉さん=5日午前、熊本県人吉市
 変わり果てた街並み。それでも少しずつ前に進む姿を見てほしい―。昨年7月の豪雨が襲った熊本県人吉市に住むカヌースプリントの元トップ選手、堺大誉さん(31)は5日、古里への愛情を胸にトーチを掲げた。学生時代にカヌーに打ち込んだ球磨川は氾濫し、自宅も浸水。復興への道のりは長いが「若い力で盛り上げたい」と使命感に燃える。
 地元の球磨工業高でカヌーの道に。水量豊富で年中練習できる球磨川で実力を磨き、インターハイや国体で優勝。日本代表として国際大会にも出場した。鹿屋体育大でも競技を続けたが、目指した2016年リオデジャネイロ五輪には一歩届かなかった。
 「今の自分をつくったのが球磨川。身に付けた技術を生かしたい」。引退後は故郷に戻り、ラフティングツアーを手掛ける会社で自然との接し方やレスキューを学ぶ日々。2年前に独立し軌道に乗ったところを豪雨被害に見舞われた。
 自宅兼事務所は約5メートル浸水し半壊。「水がきれいで空気がおいしい」と県外客にも人気だった球磨川では、重機による土砂や橋の撤去作業が続く。ラフティング事業の再開のめどは立たないが、6月のゲストハウス復旧を目指して奮闘中だ。
 ランナーに選ばれた当初は、届かなかった五輪の舞台に少しでも携われる喜びしかなかった。しかし、この1年でさらに大切な意味を持った。聖火をつなぎ「豪雨の時は水に浸っていた場所を走っているんだと感動した。復興した時にぜひ訪れてほしい」。球磨川沿いのルートを笑顔で走り終えた堺さんは、復興への思いを新たにした。