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【聖火リレー アラカルト】 走る姿、祖国の亡き父へ 技能実習生のモンゴル女性

2021.4.15 13:00 共同通信
ねじ工場で働くモンゴル人技能実習生のルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん=2月、愛知県岡崎市(製造会社提供)
ねじ工場で働くモンゴル人技能実習生のルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん=2月、愛知県岡崎市(製造会社提供)
 「あの世のお父さんも、笑って見てくれていたと思う」。モンゴルから来日し、愛知県岡崎市のねじ工場で働く技能実習生のルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん(29)。昨年亡くなった祖国の父への思いを胸に、6日、東京五輪聖火リレーという大舞台での役目を務め上げた。
 大学時代に日本語を専攻し、日本への留学も経験。日本人の優しさに感激して再来日を決意し、2014年から今の職場で実習を始めた。現在はねじの検査に従事する。
 上司は「今や日本人にも教える立場」と仕事ぶりを評価。技能実習生の作文コンクールで2度入賞した実績も踏まえて推薦され、聖火ランナーに決まった。「日本とモンゴルの懸け橋になる」と意気込み、祖国の家族も喜んでくれた。
 父のツェブェーンラブダン・ルハグワドルジさんも応援のため来日を検討していたが、突然の病に倒れた。見舞いもできないまま、昨年3月に59歳で帰らぬ人に。その後、五輪の延期が決定。聖火リレーもいつ行われるか不透明になったが、父を失った悲しみの方が大きかった。
聖火ランナーを務めたモンゴル人技能実習生のルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん=6日午後、愛知県安城市
聖火ランナーを務めたモンゴル人技能実習生のルハグワドルジ・ナンデンエルデネさん=6日午後、愛知県安城市

 本来なら昨年秋に実習を終えるはずだったが、「走る姿を旅立った父にも見てもらいたい」と、日本にとどまることのできる「特定技能」の資格を取得。聖火リレーを心待ちに、仕事を続けた。

 6月に実習を終え、モンゴルに“凱旋(がいせん)”する。「日本人の思いやりの心をモンゴルに伝えたい」。母や姉に聖火リレーの体験を報告する日も待ち遠しい。