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【解説動画で振り返る】 マラソン女子 最高の伴走者、最強の仲間 独走で金メダル

2021.9.10 15:00 共同通信

 

 東京パラリンピック、マラソン女子の視覚障害T12は世界記録を持つ44歳の道下美里(三井住友海上)が3時間0分50秒の大会新記録をマークし、金メダルを獲得した。

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 金メダルは2位だった前回リオデジャネイロ大会の「忘れ物」。それを東京で取り戻した。5年間、仲間と積み上げてきた努力が実を結んだ。「周りを全く気にせずに自分の走りができた。百点満点」。会心のレースだった。

 気温19度、小雨の中、リオでも共に走った青山由香さんと走りだした。先頭でトラックを周回し、東京の街に飛び出した。

 早々に4人が先頭集団を形成。144センチと小柄な道下は、余裕あるピッチ走法で都心を駆けた。「序盤はペースを刻んでいって、後半勝負だと思っていた」。

 中盤にレースが動いた。20キロまでにロシア・パラリンピック委員会(RPC)のパウトワが前に出て先頭集団が崩れた。追いかけることができたのは道下だけ。3秒差、4秒差といった微妙なタイム差が生じていたが、焦りはなかった。

 ハーフ地点の銀座で伴走者が男性の志田淳さんに代わった。25キロすぎに追いつき、しばらく並走。30キロすぎ、ライバルの状態を見切った志田さんが「行けるか?」と尋ねた。道下の答えは「行ける」。一気に差を広げ、独走態勢を築いた。

ゴールに向かう道下美里(左)。金メダルを獲得した=国立競技場
ゴールに向かう道下美里(左)。金メダルを獲得した=国立競技場
 その後は危なげない走り。道下が気持ちを緩めることはなかったが、国立競技場に入って勝利を確信し、心が落ち着いたという。自然と笑顔になった。志田さんに促されてゴールテープを切ると、笑みがはじけた。抱き合い、喜び合った。5年の間、夢に見ていたシーンが実現した。
 「最高の伴走者と最強の仲間がいたので、ここにたどり着いた」と支えてくれた全ての人に感謝した。道下は中学2年で病気のために右目を失明した。左目の視力もとても低く、伴走者がいなくては走ることができない。月間走行距離が800キロに及ぶ練習を積むため、拠点とする福岡には10人以上も練習パートナーがいる。
 「強い気持ちで、みんなで準備してきた。みんなで祝福したい」。こう言って、遠くの仲間に思いをはせた。(共同通信・根本美代子)