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【解説動画で振り返る】 車いすテニス男子シングルス決勝 「最強」を再び証明 2大会ぶりの王座

2021.9.9 15:00 共同通信

 

 東京パラリンピックのテニス男子シングルス決勝で、第1シードの国枝慎吾(ユニクロ)が第8シードのエフベリンク(オランダ)に6―1、6―2で快勝し、2大会ぶり3度目の優勝を果たした。ダブルスを含め5大会連続の表彰台で通算のメダルは金4個、銅2個とした。

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 試合中、技術と気迫で相手を圧倒していた37歳は肩を震わせて泣いていた。こみ上げる涙を隠すように手で顔を覆っても、感情が抑えられない。

 滑り出しこそ硬さがあって第1ゲームを落としたものの、その後は圧巻だった。磨き抜いたチェアワークを礎に試合を支配。ぎりぎりまで改良を模索してきたバックハンドやドライブボレーといった攻撃的なプレーで、失ったゲームはわずかに「3」。1時間18分で退けた。

 20代から世界を引っ張ってきたパラスポーツ界のレジェンドが、選手生命の危機を乗り越え、再び頂点に立った。「夢の中にいるような気持ち。世界一に復帰して東京大会で金メダルを取れるなんて」。日の丸を身にまとうと、感極まった。

 3連覇が懸かっていた2016年リオデジャネイロ大会では準々決勝で敗退。大会直前に右肘を手術し、本来のプレーができなかった。さらに、パワーを武器に新たな世代が台頭していた。「引退を何度も考えた」という。

 それを思いとどまったのはパラリンピックの開催が「東京だからこそ」。17年間も指導を受けたコーチから離れ、新たなスタイルを探った。ストローク戦へのこだわりを捨て、ネットプレーやスピードを重視。高い打点からパワフルなショットを打てるように車いすも改良した。「はい上がってきた5年間」。苦闘の日々をこう表現した。

男子シングルス決勝 プレーする国枝慎吾=有明テニスの森公園
男子シングルス決勝 プレーする国枝慎吾=有明テニスの森公園
 2016年には年間ランキングで10位にまで沈んでいたが、この5年間で四大大会4勝を挙げ、1位に返り咲いていた。ただ、今季は四大大会のタイトルはなく、焦りがあったと打ち明けた。日本選手団の主将としてプレッシャーを感じ、眠れない日もあったという。「最後まであがきまくった」東京大会だった。
 「この日のために全てを費やした。報われて良かった」。重圧から解放されて、表彰式では穏やかな笑顔になった。「東京大会が終わった後も皆さんに興味を持ってもらえるようなプレーを続けていきたい」。新たな挑戦が、またスタートする。(共同通信・根本美代子)