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不自由さ理解する契機に   「みんな一緒」の意識を  中澤信さん(コンサルタント) リレー評論「解読パラリンピック」

2021.9.3 7:00 共同通信
中澤信さん
中澤信さん

 

 8月24日の東京パラリンピック開会式をテレビで視聴しました。片翼の小さな飛行機が飛ぶ夢を諦めかけたけれど、翼を広げ楽しそうに生きる人たちとの出会いで夢を実現する物語は、シンプルで良い内容でした。

 ただ五輪とパラリンピックに分けず「障害のない人」も「ある人」もみんなが一緒に参加する一つの大会にするべきだと思いました。生きていく上で不自由さを感じる人を、感じていない人が理解する契機になるとよいと感じました。
 日本社会は「みんな一緒」でなく「障害のない人」と「ある人」を分ける意識が根強くあります。選手団の入場行進で各選手の障害が紹介され、いろんな人がいる当たり前の現実が伝わったらよいなと思いました。

 障害のある、なしに関わらない混合種目を今後は基本とすべきです。今回、五輪を含め男女混合が増え、「障害のない人」が参加する競技も一部ありました。競技を通じ国、民族、男女やLGBTQ(性的少数者)、さらに障害を超え互いを理解する祭典を目指していくべきです。

 私は生まれつき筋肉の難病「ベスレムミオパチー」を患い、普通校に学び企業で15年働きました。ずっと「みんな一緒」の中にいました。約20年前、会社を設立し、全ての人が安全で快適に過ごせる「ユニバーサルな社会」を目指して企業や自治体にコンサルティングをしています。普段は車いすを利用しています。

 1998年長野、2000年シドニーパラリンピックに他の車いす利用者、ボランティア、「障害のない人」と一緒に応援ツアーに行きました。日本社会の意識は残念ながらその頃と大きくは変わっていません。

 16年に障害者差別解消法が施行、近年、施設整備などバリアフリー化が進みました。しかし車いすのまま乗車できるスロープを備えたユニバーサルデザイン(UD)タクシーを見掛けるものの、車いす利用者の乗車拒否が問題になりました。車いすを搭載できるバスも増えましたが、私は車いすでバスに乗ろうとして差別的な言葉を吐かれたことが何度もあります。

 病気、けが、健康状態による医学的な障害ばかりか、社会環境の中で不自由さ、不便さを感じるのが障害という捉え方があります。人は障害があっても他の人と同じような人生を送る権利があり、日本社会はその認識が足りないと感じます。

 企業向け研修などで、私は「視覚不自由の人は、日常生活でこんな不自由を感じている」と具体例を交えて伝えます。ただ、聞いて想像するだけでは感覚、意識のギャップは埋まりません。例えば今回、ブラインドサッカーを見て面白かったから応援に行ってみよう、一緒にやってみたい、そんな体験から社会が変わっていくと思います。
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 なかざわ・まこと 1961年東京都生まれ。バリアフリーカンパニー代表。コンサルティングや街づくりに取り組む。