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「宿敵」に快勝、殊勲の山田 伊藤の力投がチームに勢い

2021.8.5 15:52 共同通信
日本―韓国 決勝打を放った8回を終え、ガッツポーズでベンチに戻る山田=横浜スタジアム
日本―韓国、決勝打を放った8回を終え、ガッツポーズでベンチに戻る山田=横浜スタジアム
 2019年11月17日に行われた「第2回プレミア12」の決勝戦を再現するような結末だった。野球の準決勝。日本が2-2の同点で迎えた八回、山田哲人(ヤクルト)の勝ち越し3点二塁打で韓国を振り切り決勝進出を決め、銀メダル以上を確定させた。
 ▽激闘の歴史
 日本と韓国の激突は両国の間に横たわる政治的な問題も絡んで特別視してしまう。「韓国戦だけは落とせないね」との声も多く聞く。
 06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、1次リーグ、2次リーグと日本に連勝した韓国がマウンドに国旗を立てて物議を醸した。日本は韓国に2敗しながら準決勝で宿敵を下し、この大会を制した。栄えある初代王者になったが、韓国野球委員会の辛相佑(シン・サンウ)総裁(当時)が「実質的には2対1(2勝1敗)で韓国に負けたと、日本もよく分かっている」と発言するなど日本への対抗心をむき出しにした。
 09年の第2回WBCでも2勝2敗の末に決勝で激突し、延長戦にもつれる熱戦の末、不振を極めていたイチローが決勝打を放って連覇を果たした。日本中がイチローの中前打に歓喜した記憶はまだ脳裏に残っている。
 五輪では公開競技だった1984年のロサンゼルス大会で初対戦し、日本が2-0で勝った。88年のソウル大会でも日本が3-1で逆転勝ちした。96年のアトランタ大会以降は1勝4敗と分が悪い。2000年のシドニー大会は予選リーグと3位決定戦で敗れメダルを逃した。08年の北京大会では準決勝で敗れるなど、宿敵に2敗して4位に終わった。
 ▽やはり力で勝負
 スカッとした展開で決着をつけてほしいと思っていた。試合後、いろいろなところから勝敗にケチをつける場外乱闘戦のないような試合を期待していた。
 先制しながらエースの山本由伸(オリックス)が追い付かれる嫌な展開。どうなることかと思っていたが、山田がそんな心配を払拭(ふっしょく)する走者一掃の勝ち越し二塁打を放ってくれた。あと少しで満塁本塁打。「1球目から打つというのは決めていた。速い真っすぐを仕留めるぞ、という気持ちだった。ボール1個分差し込まれたけど芯でとらえることができた」。山田は殊勲の一打を分析も交えて冷静に振り返った。
 ヒーローは山田で間違いないが個人的な見解を述べると、追加招集ながら新人で日本代表に選ばれ、七回からの2回を1安打に封じた伊藤大海(日本ハム)の力でねじ伏せた投球がチームを勢いづけたと思っている。メジャーリーガーはいないが、ともに国内のトッププロで構成した両チーム。似通ったチーム同士の戦いには空気を変える力が必要だ。
 7日の決勝戦。対戦相手は米国か韓国。先発はローテーション通りなら森下暢仁(広島)だろう。稲葉監督にとって千賀滉大(ソフトバンク)が米国戦で復調の兆しを見せたのが心強い。アトランタ大会以来となる銀メダルは確定した。ここまで来たら金が欲しい。(共同通信・川上克秀)