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「楽」「楽しんで泳げました」 五輪連載企画「熱戦の書」

2021.8.4 17:00 共同通信

 

 
 

 

 「伯楽」という言葉の意味は、優れた資質を持った人物を見抜く眼力のある人とのことだ。
 競泳日本代表の平井伯昌(ひらい・のりまさ)監督は、まだ無名の高校生だった大橋悠依(おおはし・ゆい)選手を「才能に満ちあふれている」と見初めたそうだ。
 それからの9年間、平井さんが見込んだ女の子は負傷や重度の貧血などの苦難を乗り越え、競泳の日本女子で初めて2冠という快挙を勝ち取った。
 400メートル個人メドレーの試合後は「金メダルを取るなんて思ってもみなかった」。200メートル個人メドレーの試合後には「400で金メダルを取っていたので、200は楽しんで泳げました」と振り返る。
 人は、己の才能を本当に理解してくれる人のためにこそ戦うことができると私は信じている。
 この繊細で遅咲きの、だけど素晴らしい才能は、最高の大舞台を楽しんだ。そして自分を見いだしてくれた人が正しかったことを世界に証明した。

 

 
 

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 書家の岡西佑奈さんが東京五輪の期間中、さまざまな競技を観戦しながら浮かんだ言葉を書にし、その思いをつづります。

 おかにし・ゆうな 1985年東京都生まれ。6歳から書を始め、高校在学中に師範免許を取得。自然界の曲線美を書によって追求する独自の創作活動を行う。作品集に「線の美」がある。