古くて新しい、無声映画 鑑賞会50年でファン若返り
おすすめ度:★★★★★
アラカン、阪妻、右太衛門…。時代劇を中心に昭和初期まで映画の主流だった「活動弁士」付きの無声映画。その魅力を語り継ごうと、東京で開かれている「無声映画鑑賞会」が創立50周年を迎えた。根強いファンに支えられながら、弁士も客層も若返り新たな人気を獲得しつつある。
「活動弁士は、世界にも類のない語り芸。無声映画を見にくる若者にとって、未体験の古いものがかえって新しく感じるんでしょう」
鑑賞会を主催する「マツダ映画社」の代表、松田豊さんは手応えを語る。父の故松田春翠(しゅんすい)さんは少年時代から弁士として活躍、鑑賞会の創立者でもある。
所有する国内外の無声映画は800本以上。所属弁士は、約35年のキャリアを持つ沢登翠(さわと・みどり)さんをはじめ5人。沢登さんの門下には20代、30代の若者もいる。月1回の鑑賞会は創立以来、一度も休まずに続けられている。
7月下旬、下町のホールで上映されたのは「切られお富」(1937年)。恋人の与三郎のために、恐喝や殺人まで犯して金をつくる女の物語。31歳の片岡一郎)さんが弁士を務めた。音楽に合わせて、通りのよい声が表情豊かに抑揚する。モノクロフィルムに新たな命が吹き込まれるかのようだ。
「今日(こんにち)に通じる作品もあり、内容にも時々ハッとさせられる。映画の根源的な良さって、実は昔も今も変わらないのでは」と片岡さんは話す。
マツダ映画社は定例鑑賞会以外にも、資料展示などイベントや上映会を積極的に展開。50年の活動をまとめた「活狂(カツキチ)たちの半世紀」(1890円)も8月に記念出版した。
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