江戸の総鎮守、平次も健在 神田・御茶ノ水
おすすめ度:★★★★★
「行くぜ!八っ」
「銭形平次」と刻まれた石碑が、神田明神の朱色の社殿脇に立つ。よく眺めるとうれしくなるような趣向が。碑の下に石造りの銭形「寛永通宝」が配され、傍らには子分の「がらっ八」こと「八五郎」の小ぶりな碑もあった。

建立は、映画やテレビで人気が定着した一九七〇年。平次が明神下に住んでいたという設定が縁で、この地が選ばれた。実在しなかったのに愛され続ける点で、日本のシャーロック・ホームズと言えるかもしれない。
神田明神の正式名称は「神田神社」。徳川家康が城の鬼門に当たる方角に移して以来、江戸総鎮守として親しまれてきた。平将門を祭神にしていることでも知られる。

参道は五十メートルほどで、境内もそれほど広くない。短時間でぐるりと見て回ることができるが、社殿の裏には、さまざまな末社が寄り合い「神様のマンション」を訪れた気分。「IT情報安全守護」お守りなど現代的なセンスも光り、“敷居の低い”神社に思えた。
最寄りのJR御茶ノ水駅周辺には、江戸の最高学府・昌平坂学問所跡で孔子廟(びょう)でもある湯島聖堂や、日本最大のビザンチン様式教会ニコライ堂といった聖なる建物がそろう。神田川にかかるアーチ型橋は聖橋という、ぴったりのネーミング。

同駅から中央線で東京駅まで四、五分、総武線で秋葉原駅まで二分。神頼みの後、どちらのにぎわいに身を置くべきか。もっとも、コインを上に投げて決めたりしたら、平次親分に見とがめられそうだ。

【ぽけっとメモ】
神田明神参道の三河屋綾部商店は1602年創業。喫茶コーナーの甘酒(350円)は、こうじから作られ、さわやかな甘みが広がる。後口もいい。きなこと黒みつでいただく「くずもち」(400円)との相性もなかなか。
JR東京―御茶ノ水、秋葉原―御茶ノ水間はともに130円。ニコライ堂内部の見学は献金が必要。







