のんびり、昼下がりの至福 東急池上線
おすすめ度:★★★★★
池上線
鉄道ファンに人気は高い
昼下がりに、のんびりと加速するワンマン電車。蒲田―五反田の一〇・九キロを結ぶ車両は、都内にしては三両しかない。小ぶりな車体が、どことなくかわいげな東急池上線は、日蓮宗の大本山、池上本門寺への参詣客を運ぶために一九二二(大正十一)年に開業した。
車内には、買い物帰りのほかに、よそ行きの服装をしたお年寄りがちらほら。全国から本門寺に向かう人の数は、昔も今も変わらないようだ。
蒲田から二つめの池上駅から歩いて十分、本門寺通りを抜け、石段を上ると、でっかいお堂が見えた。

著名人のお墓が多く、プロレスの力道山が眠る寺といえばピンとくる人は多いはずだ。案内に従って進むと、見覚えある胸像の横顔が見えた。数分おきに人がくる。
「ご旅行ですか」。声をかけると返事をしながら遠ざかっていったシャイなお父さん、ガイド本を取り出して見ていたら、また寄ってきた。福井県からの旅行中に力道山の墓を見に寄ったそうな。市川雷蔵(いちかわ・らいぞう)、幸田露伴(こうだ・ろはん)、中村八大(なかむら・はちだい)という名前もある。どう眺めても墓は墓だが「ほお」という気分にはなる。
いち早くベッドタウンと化した沿線は生活感にあふれ、銭湯が多い。「黒湯」という褐色の温泉が名物だというので、御嶽山駅近くで見つけた銭湯に入った。
足の疲れをとると再び電車に乗って、日蓮が旅の途中に足を洗ったと伝えられる洗足池へ。銭湯で買ったフルーツ牛乳の封を開け、池のほとりでごくごく。目の前に、きれいな夕日。ああ至福。

【ぽけっとメモ】 旗の台駅東口で見つけた広島流お好み焼きの「秀」は、東京在住の県民も途中下車する人気店だ。こんもりチーズにモチ、大葉の風味が合う「秀スペシャル」(1150円)。定番の肉玉(750円)に、甘みのある観音ネギのトッピング(150円)も、お勧めしたい。
蒲田―池上間の運賃は120円。
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