2008年04月30日
流行と芸術の発信地 ハチ公バスで表参道へ
おすすめ度:★★★★★
ハチ公バス
渋谷駅ハチ公前広場。スクランブル交差点をかき分け、青色の小型バスが近づいてくる。側面には元気いっぱい跳びはねるハチ公の姿が。愛犬が駆け寄り迎えてくれる思いがする。かわいらしい「ハチ公バス」に乗った。
渋谷区は坂が多い。駅に遠い地域住民の足として、ハチ公バスは二〇〇三年に開業。お年寄りに特に好評で「神宮前・千駄ケ谷ルート」が今年二月に運行開始。「明治神宮」「表参道ヒルズ」と観光スポットを巡るとあって、英語のアナウンスに中国、韓国語の車内表示もある。
原宿駅を過ぎ、けやき並木の表参道を走り抜ける。ブランドショップのショーウインドーでは、ジーンズをはいた漆黒のマネキンが青光りする回転木馬にまたがり回っている。ここは最新ファッションの発信地だ。
戦後日本を代表する芸術の発信地も近くだ。表参道駅で下車し、住宅街にある岡本太郎記念館へ向かった。

バショウの木の間から白い彫刻が見え隠れする。未来人がバレエをしているかのような銀色の彫像も並ぶ不可思議な庭。ここは岡本太郎さんが一九五四年から亡くなる九六年まで暮らした家だ。館内では「太陽の塔」の原型のほか数十点を展示する。
「超びっくり。太郎さんだよ~」と若い女性の声。サロンで等身大マネキンの“太郎人形”が両手を広げる。窓際の机に、はけを数本重ね合わせて出来た特注の筆。道具さえ作品に見える。そのこだわりから巨匠の息遣いが伝わってきた。
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2008年04月28日
アキバには「鉄」が似合う
おすすめ度:★★★★★
出発進行!
鉄道をコンセプトにした東京・秋葉原の居酒屋「Little TGV」が連日盛況だ。鉄道の写真や模型、駅プレートが飾られた店のドアを開けると、女性スタッフが車掌や駅員、車内販売の制服姿で「ご乗車ありがとうございます」とお出迎え。2月下旬のオープン以降、鉄道ファンだけでなく、メード服に引かれる客層にも評判となっている。
同店は、架空の鉄道会社「新秋葉電気鉄道NAER(ナエル)」が運行する列車内という設定。スタッフの制服は、鉄道各社の制服を参考に独自にデザインした。入店時に、改札でテーブルチャージ料として500円の切符を購入。着席すると、スタッフがハサミで切符をガチャリ。
メニューには、山手線や中央線など路線名のカクテルがずらりと並ぶ。「たまねぎの環状線揚げ」はオニオンリングのことだ。ローカル路線の廃止に伴った期間限定メニューも楽しめる。
コスプレの飲食店などを経営する「ライトクリエート」(東京都千代田区)が運営。同社は「秋葉原は鉄道ファンが集まる街。今後もファン同士の憩いの場を提供したい」と話している。
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2008年04月25日
干し物プロジェクト 昭和の下町をリアルに
おすすめ度:★★★★★
いいなあ
こういうボランティア
江戸から昭和までの建物を移築、復元している江戸東京たてもの園(東京都小金井市)で、街の情景をリアルに演出するための「干し物プロジェクト」が人気を呼んでいる。
同園は約7ヘクタールの敷地に、二・二六事件の現場となった高橋是清邸などの歴史的建造物のほか、交番や銭湯、しょうゆ店など庶民の暮らしを伝える古い建物を展示している。
ただ移築するだけではなく、街並みの再現も重要なテーマ。今回、かっぽう着や布おむつなどボランティアが持ち寄ったさまざまな洗濯物を、しょうゆ店の物干し台や生花店の路地裏に干し、昭和30年代から40年代の風景をつくった。
生活感のない建物も、こうした“下町アイテム”ひとつで変身。風呂敷マントでチャンバラをする子どもらが飛び出してきそうな雰囲気だ。
情景演出では、電柱や板塀でよく見かけた「ホーロー看板プロジェクト」や「張り紙プロジェクト」も準備中で、同園の学芸員は「さらにリアルさを追求していきたい」と意気込む。入園料は一般400円。
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2008年04月23日
江戸の総鎮守、平次も健在 神田・御茶ノ水
おすすめ度:★★★★★
「行くぜ!八っ」
「銭形平次」と刻まれた石碑が、神田明神の朱色の社殿脇に立つ。よく眺めるとうれしくなるような趣向が。碑の下に石造りの銭形「寛永通宝」が配され、傍らには子分の「がらっ八」こと「八五郎」の小ぶりな碑もあった。

建立は、映画やテレビで人気が定着した一九七〇年。平次が明神下に住んでいたという設定が縁で、この地が選ばれた。実在しなかったのに愛され続ける点で、日本のシャーロック・ホームズと言えるかもしれない。
神田明神の正式名称は「神田神社」。徳川家康が城の鬼門に当たる方角に移して以来、江戸総鎮守として親しまれてきた。平将門を祭神にしていることでも知られる。

参道は五十メートルほどで、境内もそれほど広くない。短時間でぐるりと見て回ることができるが、社殿の裏には、さまざまな末社が寄り合い「神様のマンション」を訪れた気分。「IT情報安全守護」お守りなど現代的なセンスも光り、“敷居の低い”神社に思えた。
最寄りのJR御茶ノ水駅周辺には、江戸の最高学府・昌平坂学問所跡で孔子廟(びょう)でもある湯島聖堂や、日本最大のビザンチン様式教会ニコライ堂といった聖なる建物がそろう。神田川にかかるアーチ型橋は聖橋という、ぴったりのネーミング。

同駅から中央線で東京駅まで四、五分、総武線で秋葉原駅まで二分。神頼みの後、どちらのにぎわいに身を置くべきか。もっとも、コインを上に投げて決めたりしたら、平次親分に見とがめられそうだ。
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2008年04月21日
新感覚みそ、おいしさ再発見
おすすめ度:★★★★★
フォンデュにおいしい
みそ料理を献立の中心にすえた現代風のカフェ、レストランが、東京に相次いで登場。全国各地のみそを使った郷土料理をはじめ、高級フレンチのような創作系もあり、若者の人気を集めている。
熱せられた鍋でぐつぐつと煮える白いスープ。カボチャ、サツマイモなどをくしに刺し、鍋の中に浸して食べる様子は、まるでスイスの郷土料理「チーズフォンデュ」。でもこれは、チーズの代わりに京都の甘みそを使った「白味噌フォンデュ」。二〇〇六年、銀座に誕生した「miso bank」の名物料理だ。
さわやかな甘じょっぱさが特徴の仙台みそ、濃厚なうまみの八丁みそ、長崎の香り立つ麦こうじみそなどをそろえ、季節の魚や野菜と組み合わせた料理は約四十種類前後に上る。店内に並んだ大だるの模型が、老舗のみそ蔵の雰囲気を演出。昼はOLらで盛況、夜は酒杯を重ねる男性客でにぎやかに。「故郷の料理を思い出し、みそのおいしさを再発見されるお客さまが多い」と同店。
古書店街、神保町の古民家を現代風に改装し昨年にオープンしたのが、みそ鉄板焼き店「カギロイ」。みそ風味の和牛ハンバーグやみそマヨネーズのサラダ、みそチョコソースを添えたバニラアイスなど新感覚のみそづくし料理が若いグループ客を引きつける。
千駄ケ谷にある、おしゃれな店構えの「がらり」は、みそをさかなに黒糖焼酎を楽しむというコンセプトを打ち出した。献立には黒豚のみそ煮などの料理もそろうが、簡単に調理されたみそをなめなめ焼酎を飲む地味なスタイルが、意外にも若い女性の間に広がっている。
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2008年04月18日
東京・四谷の光と影
おすすめ度:★★★★★
絵馬はそろいのお岩さん
映画館の暗闇を抜け出た時のように、明るい景色がぱっと広がる。ホームで乗降が終わったら、車両は再びトンネルの中へ。東京メトロ丸ノ内線の四ツ谷駅は、地下鉄がつかの間、地上に顔を出すスポットだ。
名前の通り、一帯は谷が入り組む。大通りから一歩入ると道は細く、坂と寺が多い。思い切った再開発もままならないところが、今も横町と呼びたい趣の保存につながっているのだろう。
四谷三丁目駅の真上には、消防署と併設された高層の消防博物館がある。展示と資料室、展望休憩に計八フロアを使い、江戸の火消しから最新機器を駆使する現代まで、消防の変遷を見通せる。入場は無料。
一九九二年開設で、今年初めに来館者二百万人を突破した。近年まで現役で活躍した消防ヘリコプターや、歴代の消防車が目に飛び込む立体的なレイアウト。親子連れからは始終、歓声が上がった。

日暮れを気にしながら「東海道四谷怪談」ゆかりの於岩稲荷田宮神社に向かう。住宅街の狭い敷地にひっそり。だが神社の説明には意外な内幕が。怪談は、この地で幸せに暮らしたお岩さんの名前を、鶴屋南北が後世に拝借して仕立てたとある。心の闇をえぐる物語。たたりを恐れ、出演者はお参りするルールができた。

同じゆかりの陽運寺には、縁結び祈願の絵馬がすべて絵柄を外側にしてぶら下がる。つい手が伸びたが、傍らに「絵馬は読まないこと」という注意書き。背中にヒヤッと、お岩さんの視線を感じた。
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2008年04月17日
東京タワー50周年でオフィシャルグッズ
おすすめ度:★★★★★
東京タワー
のっぽ・ステップ・ジャンプ!
今年開業50周年を迎える東京タワーが、記念の新商品を続々と売り出している。一足早く、昨年末に全国発売した初のオフィシャルDVD「東京タワー」も好調な売れ行き。小説や映画で高まったタワー人気にあやかって、大きな節目を広くPRしている。
大展望台のグッズショップには、付せんやメモブロックなどの文具4種類が新登場。オレンジと白のポップな配色は、東京タワーの塗装の色から取り入れた。担当者は「タワーの形をデザインに取り入れた商品はこれまでにもあったが、色に着目したグッズは初めて」と話す。
DVDは、建設中の様子や50年間の出来事、一般公開していないエリアを豊富な映像で紹介。桜や花火など四季折々の風景に溶け込んだ東京タワーの美しさや、お台場や晴海方向から見た夜景も堪能できる。価格は、東京タワーの高さ333メートルにちなんで3330円。
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2008年04月14日
永遠の漱石 ゆかりの地リニューアル
おすすめ度:★★★★
我が輩は文豪である
「吾輩は猫である」「坊っちゃん」の作家、夏目漱石(一八六七―一九一六年)晩年の住居「漱石山房」跡地にある漱石公園(東京都新宿区早稲田南町)が大幅にリニューアルされた。
区立の同公園は広さ約千三十平方メートル。入り口に漱石の胸像や、遺族がペット供養に建てた猫塚があったが、開園から三十年以上がたち、朽ちた印象は否めなかった。今回、漱石の足跡を紹介したパネルや、イベントスケジュールも入手できる和風の平屋の案内所を新設。山房の白いベランダ回廊を、資料写真を基に復元し、文豪の気分を味わえるようにした。
漱石は一九〇七(明治四十)年、早稲田に転居。「三四郎」「それから」など数々の名作をこの地の山房で書き、九年後に亡くなった。
新宿区は将来に向け、空襲で焼失した山房そのものの復元も検討中。漱石の孫の半藤末利子さんは「復元が実現すれば訪問者が増え、きっと漱石も喜ぶ。その際にも、資料を積極的に提供したい」と話す。
漱石公園は静かな住宅街にあり、石製のいすも落ち着いた雰囲気を醸し出す。文豪が思いを巡らせた土地の空気を吸いながら、名作を再読してみるのもよさそうだ。
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2008年04月11日
アキバ新名物もっふるたん
おすすめ度:★★★★★
淡泊なブルーギル
東京・秋葉原で、いま話題の食べ物が「ブルーギルもっふるたん」。琵琶湖で大繁殖し、生態系に打撃を与えている外来淡水魚「ブルーギル」と、もちを使った「モッフル」を組み合わせたファストフードだ。販売する「ドラゴンアイス秋葉原店」では、品切れの日も出る人気となっている。
「モッフル」とは、薄いもちをワッフルメーカーで厚く焼いたおやつ。はちみつなどをトッピングして食べることが多いが、同店では白身のブルーギルをフライにし、レタスやタルタルソースと一緒にモッフルで挟む。
くせのない淡泊な味わいで、タルタルソースと相性が良く、意外なほどおいしい。モッフルのもちもちした食感も楽しめる。
同店が初めてブルーギル5キロを買い付けた時には、琵琶湖の漁師に「そんなに買うのか」と驚かれたという。「好奇心の強いアキバの人に受けたみたい。いまは看板商品」
1個196円と、安めの価格設定に「ブルーギルが食べられるのを知ってもらえれば、それでいいです」
と同店。所在地は東京都千代田区外神田3の15の6。
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2008年04月10日
字幕翻訳が若い女性に人気
おすすめ度:★★★★★
目指せ!字幕プロ
映画やテレビの字幕作成の手法を学ぶ映像翻訳の講座が、二十代から三十代の働く女性の間で人気が高まっている。
今年で十年目となる映画美学校(東京都中央区)の「映像翻訳講座」では受講生の約八割を、都心の官公庁や商社などに勤める女性が占める。比率は年々、増える傾向という。入門編の基礎科(半年間、全十六回)は、金曜夜間と土曜日午後の二コースあり、受講料はともに十三万四千円。
「一秒間に四文字がルールの世界。せりふをいかに凝縮し、観客にわからせるかがカギです」と話すのは講座コーディネーターの原田徹(はらだ・とおる)さん。監督らの意図を字幕に投影するのが不可欠で、学ぶうちに映画製作の過程も分かるようになるそうだ。
講座では、受講生が訳した英語のせりふを字幕で映像に載せて流し、プロ同様の技法を体得する。翻訳家の講師が手本を披露すると「読んでいるのを忘れるぐらい自然」と感嘆の声も。
受講生の女性(31)は「手に職をつけ、独立したくて始めた。大好きな映画に携わる仕事に、ぜひ就きたい」と話す。ただし過去の受講生約五百人のうち、プロとして活動するのは五、六人。厳しい世界だ。
一方、映画美学校より歴史のある日本映像翻訳アカデミー(中央区)は、映画だけでなく、スポーツ番組、インターネット配信画像など幅広いジャンルの字幕制作と吹き替えを教えている。こちらも若い女性の割合は圧倒的。代表の新楽直樹(にいら・なおき)さんは「育児などで働けない時期もある女性にとって、翻訳は一生の仕事にしやすいのでは」とエールを送っている。
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2008年04月07日
のんびり、昼下がりの至福 東急池上線
おすすめ度:★★★★★
池上線
鉄道ファンに人気は高い
昼下がりに、のんびりと加速するワンマン電車。蒲田―五反田の一〇・九キロを結ぶ車両は、都内にしては三両しかない。小ぶりな車体が、どことなくかわいげな東急池上線は、日蓮宗の大本山、池上本門寺への参詣客を運ぶために一九二二(大正十一)年に開業した。
車内には、買い物帰りのほかに、よそ行きの服装をしたお年寄りがちらほら。全国から本門寺に向かう人の数は、昔も今も変わらないようだ。
蒲田から二つめの池上駅から歩いて十分、本門寺通りを抜け、石段を上ると、でっかいお堂が見えた。

著名人のお墓が多く、プロレスの力道山が眠る寺といえばピンとくる人は多いはずだ。案内に従って進むと、見覚えある胸像の横顔が見えた。数分おきに人がくる。
「ご旅行ですか」。声をかけると返事をしながら遠ざかっていったシャイなお父さん、ガイド本を取り出して見ていたら、また寄ってきた。福井県からの旅行中に力道山の墓を見に寄ったそうな。市川雷蔵(いちかわ・らいぞう)、幸田露伴(こうだ・ろはん)、中村八大(なかむら・はちだい)という名前もある。どう眺めても墓は墓だが「ほお」という気分にはなる。
いち早くベッドタウンと化した沿線は生活感にあふれ、銭湯が多い。「黒湯」という褐色の温泉が名物だというので、御嶽山駅近くで見つけた銭湯に入った。
足の疲れをとると再び電車に乗って、日蓮が旅の途中に足を洗ったと伝えられる洗足池へ。銭湯で買ったフルーツ牛乳の封を開け、池のほとりでごくごく。目の前に、きれいな夕日。ああ至福。
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2008年04月01日
下町の人間模様を通り抜け 樋口一葉のまち
おすすめ度:★★★★★
レトロ調・三ノ輪駅の
「椿三十郎」ポスター
ガタンゴトンと揺られ眠くなってしまうところだが、頻繁な乗り降りと、開閉に伴う空気の入れ替えで目がさえる。穏やかに流れる風景は「昭和」が色濃い。都電として唯一残った路面電車・荒川線は、早稲田―三ノ輪橋間の全長一二・二キロに三十の駅。一両編成の車内では「久しぶり」「どちらへ」と、近所同士のあいさつが聞こえてくる。

ワンマン運転なので、降車はボタンを押し意思表示。車いすの男性が乗ってきて、運転席に降車駅を告げる。それでも不安な表情に、近くの乗客が何げなく「大丈夫、押してやっから」。さすが下町、と単純にうれしくなった。
終点の三ノ輪橋から浅草方向へ。低い民家の連なりから、真新しい台東区立一葉(いちよう)記念館が頭を出す。一九六一年にできた旧館を建て直し、二〇〇六年十一月にオープンした。明治の天才作家、樋口一葉(一八七二―一八九六年)を慕うファンが全国から訪れる。現在の五千円札の顔だ。

一葉は花街の吉原に程近いこの地で、荒物駄菓子店を開く。順調とは言えない商売、断ち切れない文学への思い。「廻れば大門の見返り柳…」。人間模様を見つめた経験が代表作「たけくらべ」として実を結ぶ。
書は達筆にして、文は流麗。二十四歳という若すぎる死に、観覧者は言葉少なく感慨深げ。明治中ごろを再現した街並み模型を眺めていると、貧しさの中でも志を忘れなかった一葉の、足早に通り抜ける姿が浮かんで消えた。
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