2007年12月27日
競艇場に幸運の白ヤギ
おすすめ度:★★★★★
はずれ券も、うメェ~
ハズレの舟券をむしゃむしゃと食べる白ヤギ「ドリーム ゴート」が江戸川競艇場(東京都江戸川区)に登場し、愛らしい姿で人気を呼んでいる。場内美化の一環に導入されたが、来場者に思わぬツキをもたらすこともあるようだ。
と言っても、ヤギは北米大陸に生息のシロイワヤギをモデルに実物大で作られたロボット。少し開いた口元に舟券を差し入れると、センサーが感知して口を動かし、体内に吸い込む仕組み。来場者の興味を引き、今では一日に千枚もの舟券を回収する〝働き者〟だ。
口以外にも、一定の確率で耳や前脚が動くよう設定されており、動き方によって勝負運を占える。ヤギが三カ所すべて動かすと「大吉」。「大吉の後に賭けたレースで当てた」と喜ぶ来場者もおり、幸運にあやかりたいと小銭を置く人も。
同競艇場はPRの一環として、看板絵師久保板観さんのレトロ映画看板や、自動人形師ムットーニのオルゴール作品などを場内に常設展示。作品を楽しむツアーを開くなど、ユニークな取り組みを通じて、若年層や女性が競艇に触れる機会を増やしたい考えだ。
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2007年12月26日
TOUMAI 大陸横断家が集めた民具
おすすめ度:★★★★★
「漂白の思ひ」
店主の趣味に合う商品を扱うセレクトショップが最近人気だが、こちらはさしずめセレクトギャラリー。自らを「大陸横断家」と呼ぶフォトエッセイスト白川由紀さんが世界の旅先で譲り受けた珍しい民具約100点を展示している。
「TOUMAI(トゥーマイ)」は、アフリカのチャドで発見された人類最古の祖先の頭骨に付けられた愛称で、「生命の希望」という意味だ。
古い民家を避暑地の別荘風にリフォームし、所狭しと並べたのは、イスラム風の青色が鮮やかなパキスタンの素焼きテーブル、インドの領主が使っていた豪華ないす、商売繁盛を願うナイジェリア版招き猫とも言えるゾウの形の壁掛け…。各地の文化を象徴する個性豊かな逸品ばかりだ。
アフリカの国ブルキナファソの盾を見ていたら、「描かれた文様にも面白い物語が込められているんです」と白川さん。「世界は広いと実感するでしょ」
手作りケーキなどを供するカフェを併設。白川さんの著書「もっと世界を、あたしは見たい」を読んで来るファンは、彼女とのおしゃべりをごちそうにしている様子だ。ここに来ると、松尾芭蕉のように「漂泊の思ひ」をかき立てられる。
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2007年12月25日
東京駅ブランドが大ヒット
おすすめ度:★★★★★
名物にうまいものあり
東京駅に十月下旬、オープンしたエキナカ商業施設「グランスタ」。デパート地下の食品売り場のように豊富な品ぞろえだが、中でも「東京駅ブランド」商品が人気を呼んでいる。
運営会社の「鉄道会館」担当者は「おみやげだけではなく、出会いと別れの場である東京駅が記憶に残るような商品を作りたかった」と話す。同社の提案に四店舗が賛同し、商品開発に当たったという。
駅ブランドの目玉は「銀幕弁当」(千八百円)。老舗料亭の総料理長の監督下、九人が一年がかりで開発。待ち合わせ場所のシンボル「銀の鈴」にちなみ、中身に銀ダラや銀ザケを入れ、白米を「銀しゃり」と呼ぶ。やや高価だが、本格的な味で勝負する。
オープン後三日間は四代目銀の鈴除幕式とも重なり、見物客らであふれ、毎日二百個が完売。現在も週末は二百個を売る勢いだ。会議用なのか、一人で三十個買うビジネスマンも。
新たな手みやげで注目を集めるのが「まめぐい」(四百二十円)。JR東日本の在来線などをモチーフにしたハンカチサイズの手ぬぐいだ。別売のあめや日本茶をくるみ、贈り物にできる。代官山の手ぬぐい専門店「かまわぬ」がオリジナルで開発。手軽さと珍しさでまとめ買いする人も多く、週末は一日約千個を売り上げる。
グランスタは、乗り換えコンコースからエスカレーターで下ると着く便利さ。平日は会社員や年配の女性が多く、休日は家族連れでにぎわう。
「東京駅はナンバーワンの知名度。今後も、季節限定グッズや電車にちなむ商品をどんどん展開したい」と、鉄道会館は意気込んでいる。
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2007年12月21日
「住みたい街」 吉祥寺 豊かな個性
おすすめ度:★★★★★
懐かしく温かい
「住みたい街」の上位に必ず挙がる吉祥寺。JR中央線で新宿から約十五分という利便性や周辺に大学も多いことから、特に若者から息の長い人気を誇る。駅前の不動産屋では、張り出されている賃貸物件をじっくり眺める人が平日でも絶えない。
ライブが楽しめる個性的な店が多いのも人気の一つだろう。ミスターチルドレンがメジャーデビューの四年前、結成後初ライブを行ったライブハウス、スピッツやイエローモンキーがライブを行った映画館…。海外アーティストが登場した老舗ジャズクラブも健在だ。

JR吉祥寺駅北口のすぐ近く、店と店の合間の路地の上に「ハーモニカ横丁」と書かれた赤い看板を発見。路地の奥は入り組んでいて、見通せないのがかえって入ってみたくなる。探検気分でさっそく迷い込んでみた。
ハーモニカ横丁は、戦後間もなく始まった闇市に端を発したとされる。一、二坪の飲み屋がいくつも並ぶ様子を、太宰治と親交があった武蔵野市在住の作家亀井勝一郎が、ハーモニカの吹き口に例えたことからその名が広まったそうだ。
いまも百前後の店がぎっしり。一店ずつが狭いため共用トイレもある。業種もさまざまで、どの店も狭い路地に面して軒先を大きく開け放ち、出入りも見物も自由。ごみごみした雑多な雰囲気がなんとも懐かしい。
立ち飲み屋に入り、往来を眺める。地元の人が多いのだろう、財布や買い物袋を持っただけの客が多い。段ボール箱を担いだ業者や買い出し帰りの店員も忙しそうに行き交う。都心のビジネス街も人は多いが、こっちのほうが生気を感じるなあと思いながら、冷たいビールをごくり。
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2007年12月20日
暮らし支える合板 木場に専門博物館
おすすめ度:★★★★★
合板誕生から100年
江戸時代から材木問屋が軒を連ねる東京・木場。この町に「木材・合板博物館」が誕生した。
同館は、真新しい高層ビル・新木場タワーの3、4階にある。3階エントランスに足を踏み入れると、心地よい木の香りが充満。ヒノキやスギの輪切りが壁に掲げられ、深緑の森林の大型写真が安らぎを与える。
木場の歴史をはじめ国内外の森林保護、林業の実情をさまざまな資料や模型で紹介。特に触れることができるサンプルは好評で、来館者たちは板をたたいたり、鼻を近づけてみたり。
合板に関する展示も充実。大正期のモダンな生活様式や戦後のマイホームブームを、高度な技術が集約された合板が支えてきたことが分かる。
「あまり知られていませんが、今年は日本で合板が誕生して100年なんです」と企画担当の増田里美さん。天然木に比べて軽く見られがちな合板の魅力をもっと知ってもらいたいと、子供向け工作教室などを計画中だ。
開館は午前10時―午後5時。月曜、火曜、祝日に休館。入場は無料。
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2007年12月19日
めがねの博物館 希少品で眼鏡の歴史たどる
おすすめ度:★★★★★
大手眼鏡チェーン店のアイリスメガネが、創業以来100年以上にわたって収集した希少な眼鏡や関係資料を渋谷店の6、7階に展示している。
7階は、欧米や日本、中国のアンティーク眼鏡がずらりと並ぶ。
鉄線の鼻眼鏡、頭痛抑えに使われた、こめかみ式眼鏡、貴婦人が観劇などに使った柄付きのオープン・ロルニエット…。いずれも欧州の眼鏡で17世紀初頭から18世紀中期に製作された品だ。江戸時代に作られた日本のべっ甲の折り畳み眼鏡や中国の水晶でできた眼鏡は、美術工芸品のような美しさがある。
NHKの看板アナウンサーだった鈴木健二氏が紅白歌合戦の司会をした時に使用した各種の眼鏡も展示。紅白に塗り分けた太いフレームや白いハトが両脇についた派手な眼鏡が懐かしい。
6階は19世紀のフランス山岳地方の眼鏡工場をそっくり移設。フレーム型抜き機や金属加工機などの間に、等身大の人形が置かれ、当時の様子が忠実に再現されている。
若い人にとって、眼鏡はおしゃれの重要な小道具の一つ。「アンティーク眼鏡を見ながら『こういうのを作りたい』とおっしゃる若い方もいます」と同館は話している。
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2007年12月18日
癒やし効果で紅茶店が人気
おすすめ度:★★★★★
紅茶のおいしい喫茶店♪~
コーヒーの店に対抗するように、紅茶の専門店の新顔が東京に相次いで誕生した。茶褐色の茶の味と香りが、都会で暮らす人たちにくつろぎをもたらしているようだ。
おしゃれな街、代官山の駅から歩いて一分。赤い窓の店構えが目を引く「ティー・ミュージアム」は今年六月、世界中から珍しい茶を集める専門店として開業した。古い洋館の広間のように落ち着いた雰囲気の店内には年代物の家具を配置。メニューにはダージリンやアッサムといったおなじみの紅茶をはじめ、「銀針」「サファイア・ウーロン」など貴重な茶もある。
オーナーの英国人デビッド・キルバーンさんによる紅茶案内の冊子も好評。「脳の働きを活性化するコーヒーに比べ、紅茶はリラックス効果が高いと思います」。ゆったりとした“紅茶時間”を提供したいという。
日本橋三越本店に改装オープンしたのが「ハロッズ ストア&ティールーム」。欧州を代表する百貨店が出店。新メニュー「アフタヌーンティーセット」が話題で、サンドイッチ、ケーキに紅茶が付く。午後の紅茶を英国流で優雅に楽しむ女性客で盛況だ。
デンマーク王室との関係も深い「エー・シー・パークス紅茶店」は二〇〇六年十一月、代々木上原にできた。乳製品大国らしく名産のチーズを使ったオープンサンドイッチ、タルトが売り。同国の暮らしに根付く温かいもてなし「ヒュッケ」の精神が信条。
今秋オープンの大型商業施設・有楽町イトシアに出店した「カレルチャペック紅茶店」は、かわいいイメージキャラクターが人気。紅茶とともに、若い女性客の心をほぐしている。
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2007年12月17日
ボタンの博物館 歴史秘めた小さな工芸品
おすすめ度:★★★★★
服は捨ててもボタンは残す
英国のビクトリア女王が好んだ黒ガラスボタン、桜といかりをかたどった旧日本海軍の金ボタン…。約1700点を展示する珍しいボタンの常設博物館で、世界の文化史をたどることができる。
赤いじゅうたんが敷き詰められた展示室は、アンティーク調。手の込んだ細工を施したボタンが、ジュエリーのようにガラスケースに収められている。直径約2センチの金縁に約500個の細かな色ガラスを埋め込んだ白いハトのボタンは18世紀イタリア製。中央の大きな色ガラスを銀や真ちゅうなどの台座で支えた派手なデザインもある。
日本にも世界に誇る逸品がある。戊辰戦争で、藩の軍資金となったとされる薩摩ボタン。江戸時代の人物や花鳥が繊細に描かれている。武家社会の崩壊後、刀匠が手掛けた彫金ボタンは欧米のコレクターをうならせた。
王冠のマークやホースのノズル模様が入った、英国の騎兵隊、消防士の金ボタンを見ていて、学生時代、卒業する先輩からもらったことを思い出した。
「昔は服は捨ててもボタンは残し、母親のものを子供の服に付け替えたりしたものです」と同館。小さな丸い飾りは、それぞれ歴史物語を秘めている。
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2007年12月15日
江戸東京たてもの園 家が歴史を物語る
おすすめ度:★★★★★
古い町並みが人気
東京の郊外、小金井公園の一角に、江戸時代の民家や昭和初期の銭湯など二十七棟が立ち並ぶ。敷地面積は約七万平方メートルと広めだが、一時間ほどで一巡できるこぢんまりとした配置が受けている。
玄関口があるビジターセンターは一九四〇年、皇居前広場で行われた「紀元二六〇〇年記念式典」の式殿だとか。歴史の遺物に感慨を深くしながら入園すると、昔懐かしい家並みが広がる。
大きな窓が特徴の小出邸、「田園調布の家」と呼ばれるクリーム色の大川邸、切り妻屋根の前川邸とも和洋折衷のデザイン。おしゃれな外観の常盤台写真場には、家族を写したモノクロ写真が飾られていた。
昭和恐慌の際に蔵相として尽力した高橋是清の堂々とした私邸は見どころの一つ。二・二六事件で殺された際の現場も移築されているというから、歴史資料としての価値も大きい。
戦前の商家や居酒屋などが軒を連ねる区域を歩いていたら、広場で子どもたちが竹馬やフラフープに興じる声が聞こえてきた。土の上に並んだ大きな円管の中では、家の中にいるようにリラックスして寝転がる子も。建物の一種として土管を見せるとは、なかなか気が利いている。
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2007年12月14日
忠臣蔵の現場感傷 本所松坂町から泉岳寺
おすすめ度:★★★★★
内蔵助は起きあがりこぼし
日本人が大好きな物語「忠臣蔵」。東京に点在するゆかりの地では、討ち入りから三百年以上を経ても愛され続けていることが実感できる。首洗いの井戸といった、本来なら足が向かないネーミングの場所でも訪れる人は絶えない。

討ち入り当時は本所松坂町、現在の墨田区両国に「吉良邸跡」が公園化されている。周囲は下町らしい住宅街で相撲部屋も多い。敷地が八千四百平方メートルあった屋敷だが、公園は約百平方メートル。それでも井戸が残り、なまこ壁が再現されている。命を落とした吉良家家臣の供養碑があるのもフェアだ。
「ここで首を洗ったんだって」「えっ、そうなんだ」。居合わせた女性コンビの会話は盛り上がる。「引き揚げは隅田川をあそこの橋から渡ったの」。詳しいですね、と持ち上げたら「予習してきた!」とはしゃいだ声が返ってきた。歴史の現場を踏む高揚感を、この狭い空間はもたらす。

四十七士は泉岳寺(港区)まで約十キロを三時間かけて移動したというが、今は地下鉄浅草橋駅から泉岳寺駅まで十五分で到着。高級マンションに囲まれた境内を奥へ進むと、おごそかな雰囲気の一帯が目に入る。
表示板には「義士墓」。大石内蔵助と主税の墓に屋根付きの囲いがあるが、ほかは同じ形の墓が野天で整然と並ぶ。墓域の隣に、ひときわ大きな浅野内匠頭の墓。お参りの人の関心は義士墓に集中しているようだ。
堀部安兵衛、赤埴源蔵、大高源五…文字のかすれた義士墓に向き合いながら歩いた。次第に目頭が熱くなる。理由を一口に説明できないのだが、とにかく“不覚”をとってしまった。
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2007年12月13日
相撲博物館 伝統文化の貴重な資料
おすすめ度:★★★★★
色鮮やかな行司の装束や軍配
大相撲の本拠地、両国国技館。色とりどりの力士ののぼりがたなびく門をくぐり、正面入り口の脇を奥に進むと博物館の小さな看板が見える。
入って右側の壁には、常設展示として初代明石志賀之助から歴代横綱の肖像が並ぶ。初代若乃花、北の湖、千代の富士…。かつての人気横綱たちの写真が懐かしい。
メーンの展示は2カ月ごとに替わる。訪れた日は、行司が着てきた装束や使用した軍配などを展示していた。色鮮やかな装束に目を奪われた。
貴族院議員で農林大臣も務めた故酒井忠正氏が長年にわたり収集した資料を基に1954年、蔵前に開館。85年、両国国技館の完成に伴い移転した。錦絵や番付、化粧まわしなどの貴重な収集品を順次、公開している。
「展示が年に6回替わるので、何度も足を運んで見てもらいたい」というのが同館の願い。不祥事で陰りの差す相撲人気だが、伝統文化としての魅力をけれんなしで味わってほしい。
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2007年12月12日
五感で楽しむ音楽を 聴覚障害者にワークショップ
おすすめ度:★★★★★
すべての人に音楽を
ワークショップ
聴覚障害の子ども向けの音楽ワークショップなどを企画する会社「MuCuL(ミュウカル)」が東京・恵比寿に誕生、これまでにない音楽活動で関係者の注目を集めている。
設立者は作曲家の佐藤慶子さん。民間の任意団体「メディア・ワークス」代表として20年以上にわたり手話オペラ、「手話弁士」による無声映画の上映会などを開催。「耳が不自由な人に音楽は不要」という固定観念を取り除こうと、触って楽しめる体感楽器の指導、ダンス講習会も手掛けてきた。
同社の信条は「音楽は心に響くもの」。「五感の音楽」を提唱する佐藤さんは聴覚だけでなく視覚、臭覚、触覚などをフル活用させる音楽を作曲。お年寄りにも聴きやすい音楽づくり、母子支援のコンサートなども計画中だ。
第一弾として、社会問題となっている現代人の睡眠不全を解消しようと、子守歌CD「ミュージックピロー・ベビー」(ジュジュミュージカル)を発売。佐藤さんは「すべての人に楽しんでもらえる、新しい音楽をこれからもどんどん提供していきたい」と話している。
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2007年12月11日
子規庵 思い伝えるのどかな空間
おすすめ度:★★★★
庭が子規の四季
子規はホトトギスの異称。真っ赤なくちばしを持つこの鳥に、結核で血を吐く自らを重ねたとも言われる俳人、歌人の正岡子規は1902年、東京・根岸で亡くなった。その家を再現している。
「どう見ても普通の民家?」と首をひねりながら木戸を開けると、昔ながらの小さな玄関。日に焼けた畳の座敷には、あるじが愛用したという簡素な机が置いてある。庭の棚には、大きなヘチマが数本ぶら下がり、日の光で新鮮な緑色に輝いていた。思わず日なたぼっこをしたくなるような空間だ。
子規が実際に住んでいた家屋は空襲で焼け落ち、現在の建物は戦後に再建された。「をととひのへちまの水も取らざりき」をはじめ絶筆の3句も、こうしたのどかな場所で誕生したのだと思うと感慨深い。
死の前年からつづった日記「仰臥漫録」が解説付きで一室に展示されていた。淡々とした文章の中で、命を慈しむ気持ちが読む者の心に響く。見渡せば、部屋に子規がいるような錯覚に陥る。
「また遊びに来ちゃった」と近所の女の子が駆け込んできた。座敷で俳句を作るのだという。この場所で〝弟子〟になり、子規の思いが引き継がれていくのだろう。
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2007年12月10日
代々木 学生と公園の街
おすすめ度:★★★★★
「日本航空発始之地」碑
代々木公園内です
東京都渋谷区の代々木駅前は、予備校や専門学校が並ぶ学生街だ。森を有する代々木公園や明治神宮が近接し、緩やかなサウンドスケープ、音の風景が広がっていた。
▽広がる音世界
代々木という地名は、地元で代々続いていた大木に由来するとされる。自然物にちなんだ逸話の一つが、一九一二年発表の唱歌「春の小川」。
代々木八幡駅近くの小田急線沿いには歌碑があり、国文学者の高野辰之が河骨(こうほね)川を見て作詞したことを紹介している。日本一有名な小川は現在ふたをされていて、「さらさら」という音を耳にすることはかなわない。
それでも、都心ながら昔ののどかさを残しているのが代々木らしさ。象徴的な場所が代々木公園。戦前まで旧陸軍練兵場で、六四年の東京五輪で選手村として使われた後、公園として整備された。

約五十四万平方メートルの敷地は森と芝生が広がり、来園者たちはそれぞれベンチで読書をしたり、芝生で寝転んだり…。若者のサックスの練習を聞きながら、さくっ、さくっと落ち葉を踏み締め散策していて「日本航空発始之地」の碑を見つけた。
▽この空を飛べたら
一九一〇年、陸軍大尉だった徳川好敏、日野熊蔵が日本初飛行に成功した、その記念碑。当時の関係者たちの歓声を想像しながら眺めていたら、はるか上空をジェット機が悠然と通り過ぎていった。
子どもと犬が駆け回る公園を横切り、静寂に包まれた明治神宮を参拝。代々木駅に抜けると、歩道は若者たちでいっぱい。でも、騒音が少ないのにちょっとびっくり。人々の足音、おしゃべりといった街の音を鑑賞するのもたまにはいいものだ
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2007年12月07日
韓流ファンの聖地・大久保 店も客もエネルギッシュ
おすすめ度:★★★★★
ベビーカステラとポン菓子
安い!
JR新大久保駅の改札を出ると、どこからともなく聞き覚えのある歌声が耳に飛び込んできた。ハイトーンボイスの男性が情感たっぷりに歌い上げるバラード、これはもしや…と、声をたどって歩き出すと、程なく予想通りの場所に着いた。韓流グッズの専門店だ。
▽豊かな食
大久保は、韓国をはじめとする在日外国人が多く住み、豊かな食文化が根を張るエリアとして知られる。だが、韓流ブームは大久保をファンの“聖地”に変えた。大久保通りや職安通りには韓流グッズ店がずらり。各店から韓流ドラマの主題歌が聞こえ、ポスターの中の俳優が道行く人ににっこり笑いかける。

店だけでなく、客もエネルギッシュだ。数人連れのおばさま方がグッズを求めて行ったり来たり。店によると、ここ二年ほどで女性客が急増したという。一番人気はやはりヨン様で、売れ筋は来年のカレンダー。韓国人の女性店員に「これが一番売れてますよ」と熱心に勧められ、つい買ってしまった。
▽みなあたる?
にぎやかなパチンコ店に近接した皆中稲荷神社にもお参り。「皆中」は「みなあたる」という意味らしい。江戸期、幕府の鉄砲組「百人隊」が駐屯していた大久保だが、射撃練習がうまくいかず悩んでいた隊の一人が、お参り後に夢を見て、その後射撃が百発百中になったという逸話から、開運や宝くじに御利益があるとされる。
絵馬には「一億円が当たりますように」「馬券的中」など切実な願いが並ぶ。あやかろうと思い、引いたおみくじは小吉。「焦らず騒がず」と書いてあった。社務所の女性がにっこり笑って「お幸せになられますように」。当たらなくても焦らずにいこうかなと、少し胸が温かくなった。
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2007年12月06日
植村直己の北極の旅 板橋区の冒険館
おすすめ度:★★★★★
旅の仲間
冒険家の植村直己さんが単独で北極圏をほぼ半周した旅を、装備品や写真でたどる企画展「北極圏1万2千キロの旅」が、東京都板橋区の植村冒険館で開かれている。
植村さんは1974年12月、グリーンランドを13頭立ての犬ぞりで出発。北極海沿岸を駆け抜けて、76年5月にアラスカ西部に到着した。犬ぞりの単独走破距離としては当時の最長記録だったという。
企画展では実際に使った大型の犬ぞりを展示。食料として積んでいたアザラシなどの生肉の油染みや、硬い氷でついた傷も生々しく残り、旅の過酷さを想像させる。
大自然や探検の日々を記録した貴重な写真も。全行程を走破した、たった1頭の犬「アンナ」をいたわる植村さんの表情は優しい。
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2007年12月05日
東大の赤門番所を公開
おすすめ度:★★★★
知の番人でござる
東京大学は創立130周年の記念イベントの一環として、本郷キャンパス(文京区)の“象徴”である赤門脇の「御門番所」と、迎賓館「懐徳館」の庭園を初めて一般公開している。ともに来年3月7日まで。
番所は赤門の左右にあり、江戸時代は加賀藩屋敷の警備の番人が詰める施設として使われた。唐破風造りで、格子窓からは往来を見張ることができた。一方、懐徳館庭園も旧加賀藩屋敷の名残で、戦後に再建された和風の建物の前に芝生が広がり、遊歩道も整備された緑豊かなスペース。
東大はホームページに「知のプロムナード」として、この2カ所のほかキャンパスの見どころを紹介している。
番所公開は平日午前10時―午後4時。庭園公開は平日午前10時―午後3時。ともに土日祝日と年末年始(12月28日―1月6日)は休み。
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2007年12月04日
地下鉄博物館 模擬運転を体験
おすすめ度:★★★★★
リアルな臨場感
日本最初の地下鉄は1927年12月30日、上野―浅草間で開業した。そのとき走った第1号車が「地下鉄の歴史」のコーナーに展示されている。隣には、丸ノ内線(54年1月20日開業)の第1号車も並ぶ。
「第1号車の実物は日本でここにしかないので、来館者はぜひ見てほしい」と同館。「地下鉄車両のしくみ」コーナーでは、パンタグラフからの電気の取り入れ方や台車の構造などを見ることができる。
子どもたちの人気を集めるのは「地下鉄プレイランド」だ。模型車両が動くメトロパノラマで、地下鉄が都心の地下をどう走っているのか確認できる。模擬運転のシミュレーターは、いつも親子連れでにぎわっている。
千代田線のシミュレーターで模擬運転を体験してみた。男性職員の指示で、ハンドル操作をして2駅間を走る。前方の大型スクリーンに線路や駅ホームなどの画像が流れ、音や揺れまでも再現する。リアルな臨場感に圧倒された。
「千代田線の元運転士がこれを模擬運転したら『99%本物と一緒だ』と話していました」と男性職員。子どもだけでなく、大人も十分楽しめる博物館だ。
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2007年12月03日
漱石邸「猫塚」の貴重映像 新宿歴史博物館
おすすめ度:★★★★★
漱石命日の式典
右端が鏡子夫人
文豪・夏目漱石ゆかりの供養塔「猫塚」を復元した様子を記録した半世紀前のフィルムが見つかり、新宿歴史博物館の特別展「夏目漱石と新宿の文学者たち」で公開されている。
猫塚は新宿区早稲田南町の旧夏目邸「漱石山房」跡にあり、戦災で壊れていたのを1953年に復元。映像は、漱石命日の同年12月9日に行われた式典を撮影したもので、約7分間に鏡子夫人らが映し出されている。同館所蔵の資料から今年発見された。
今回は原稿、書簡などの展示を通じて「三四郎」「それから」の創作場所になった漱石山房の全容を紹介。同区に住んでいた尾崎紅葉、小泉八雲らについても解説している。
12月16日まで。
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