2007年10月31日
東京ハヤリもの ずっと一緒に
おすすめ度:★★★★★
ハートわしづかみ
本来、子どもに人気のキャラクターを基にした大人の女性向けブランドが、相次いで登場している。黒ずくめの小悪魔キティ、ちょっと豪華なドラえもんジュエリーなどそれぞれ個性的。豊富な品ぞろえも、二十―三十代の女性のハートをつかんでいるようだ。
「かわいい」の代名詞のようなネコのキャラクター、ハローキティに形は似ているのに、黒い体に黄金色の目とひげ。しっぽはやり先のようにとがっている。これはサンリオが今年六月に発売した小悪魔キティで、白い体に銀色の目とひげの天使キティとペアで人気を呼んでいる。
新デザインの趣向は「OLや女子大生向けに、ちょっとセクシー」で、倖田來未のような「エロかわいい」系。関連商品は化粧品や小物、下着など五十八点におよび「子ども時代からキティのファンという大人の女性に受けています」と担当者は話す。
七月末に誕生したのが「Doraemons Pocket」。流行のきらきらとした光沢が人目を引くバッグは、メタリックブルーの色合いにさりげなくドラえもんの型押しをしてあるのがポイント。フラダンス姿のドラえもんが描かれたTシャツは、女性たちにリゾート地で着てもらえるデザイン。高級ジュエリーも取りそろえ、サファイア、ルビーなどをあしらったペンダントは十六万九千円だ。
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2007年10月30日
都電荒川線 レトロで売り込め
おすすめ度:★★★★★
人気のレトロ車両
東京・下町を走る唯一の路面電車、都電荒川線にレトロ調デザインの新型車両が一両導入され、利用客や鉄道ファンの熱い注目を集めている。
都交通局は、発着駅の三ノ輪橋停留所(荒川区)もガス灯風照明や黒沢明作品の映画ポスターなどでレトロ調に改装。荒川車庫には現役を引退した旧型車両を展示し、見学可能にした。
同線の利用客数は年々減少し、昨年度は一日平均約五万三千人に落ち込んだ。〝レトロ〟をキーワードに集客アップを図り、減少に歯止めをかけたい考えだ。
新型車両の導入は十四年ぶり。昭和初期の東京市電をモデルに、外装を丸窓などでクラシックにデザイン。床や壁を木目調でそろえ、間接照明でレトロ感を演出する一方、発光ダイオードを使った案内表示器など最新設備を配備し、「懐かしく新しい車両」とPRしている。
新型はほぼ毎日運行しているが、利用客からダイヤを尋ねる電話が相次ぎ、荒川電車営業所は「『明日いつ走るのか』という問い合わせが一番多い。全体の件数は数えられないほど」と話す。
利用客の反響について、都交通局電車部営業課は「荒川線の持つ下町のイメージと、レトロの方向性が合ったのでは」と分析。「より愛される存在になって、増収につなげたい」と、息の長い人気を期待している。
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2007年10月29日
隅田川下り 水上バスでスイスイ
おすすめ度:★★★★★
勝鬨橋から
青年は何想う
東京の大渋滞と無縁の交通機関が、川をすいすいと走る水上バスだ。浅草と東京湾を結び隅田川を上り下りする航路は、観光客に人気が高い。
▽気分全開
浅草・雷門に近い吾妻橋の発着場から、下りの観光船に乗り込む。次の船着き場がある汐留の浜離宮庭園まで約四十分。料金は七百二十円。二階建ての船の屋根は展望デッキで、外国人を含め三十人ほどの乗客でいっぱい。川風を浴びれば船遊び気分も全開になる。

隅田川の水上散策は、色とりどりの橋巡りでもある。赤い吾妻橋をくぐり空色の駒形橋、若草色の厩橋、黄色い蔵前橋と続く。左手に大相撲の殿堂、両国国技館の大屋根が見えてくれば、緑色と桃色のツートンカラーの両国橋は目前。「柳橋から小舟を…」の小唄でもおなじみの柳橋かいわいは右手だ。
▽名にし負はば
新大橋を過ぎて潮風を感じ、楽しげに飛び交うユリカモメが目につくようになる。「伊勢物語」の主人公がこの川で「名にし負はば」と恋人の安否を問い掛けた都鳥は、くちばしと脚が赤いこの鳥のこと。詠み人は在原業平とされるが、とぼけた表情のユリカモメはさぞや返答に困っただろう。
水色の清洲橋、永代橋を過ぎると、そこは摩天楼の峡谷。佃島の高層マンション群、明石町の聖路加タワーなどなど、見上げているだけで首が痛くなりそう。
元は開閉式だった勝鬨橋に差しかかるころ、大都会の台所、築地市場も見えてきて、短い船旅も終わりが近い。下船の準備をしていたら「東京タワーが見えてきました」の船内放送が。浜離宮庭園の森の後方を見やれば、赤い、美しい鉄塔がたたずんでいた。
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2007年10月26日
高知 夢を追いかけて
おすすめ度:★★★★★
高知・桂浜の坂本竜馬像
心はでっかい太平洋ぜよ
見渡す限りの水平線。高知市の桂浜に、太平洋を眺める坂本竜馬像(高さ一三・四メートル)が立つ。戦前から数多くの映画に登場し、司馬遼太郎の小説「竜馬がゆく」によって親しまれる幕末随一の人気者だ。
▽日本はこのままじゃだめ
高知県立坂本龍馬記念館には、明治政府の基本政策「五か条の御誓文」に引用された竜馬の「船中八策」が展示されている。見つめる若いカップル。「日本はこのままじゃだめ」。彼女に熱く語る男性が竜馬と重なった。
江戸時代に土佐を治めたのが、NHK大河ドラマ「功名が辻」の主人公・山内一豊から連なる山内家。最後の将軍、徳川慶喜に大政奉還を勧めた十五代藩主・山内容堂が隠居後に暮らした「旧山内家下屋敷長屋」は、高知出身の作家、宮尾登美子原作の映画「鬼龍院花子の生涯」(八二年)に登場する。
屋敷を出発点に城下町を歩く。板垣退助誕生地、中江兆民誕生地、植木枝盛邸跡…。自由民権運動のリーダーゆかりの場所が現れ「自由は土佐の山間より」とうたわれた当時の熱気を感じ取れる。高知市立自由民権記念館を訪ねると、板垣を刺した短刀が鈍い光を放っていた。これが有名な「板垣死すとも自由は死せず」。

次に目指したのは「土佐の一本釣り」(八〇年)のロケ地、中土佐町の久礼(くれ)漁港。漁師の奥さんたちが新鮮な魚を並べる「大正町市場」が評判を呼び、休日には県外からも多くの人が訪れる。「カツオのたたきを食うていかんね。うまいよ!」。あぶったカツオを氷水で冷やさない、この地独特のたたきは、ほんのり温かく香ばしい。
▽癒やされる
四国といえば八十八カ所霊場めぐり。安芸市には、お遍路さんを優しく見守る「寅さん地蔵」がたたずむ。「男はつらいよ」シリーズ四十九作目「寅次郎花へんろ」は高知でロケ予定だったが、九六年に主役が亡くなり幻に。誘致に尽力した住民有志が地蔵を建立した。

ここまで来れば、四万十川の清流にも癒やされたい。地元出身の脚本家中島丈博の自伝的映画「祭りの準備」(七五年)の主人公は、夢を実現するため東京へ旅立つ。遠ざかる列車を延々とらえるラストシーンが撮影されたのが国鉄(現・土佐くろしお鉄道)の中村駅。

当時のままというホームに立った。大志を抱き脱藩した竜馬や、自由民権の実現に命をかけた板垣ら、夢を求め懸命に生きた人々の物語が浮かんできた。
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2007年10月25日
図書館 変身中
おすすめ度:★★★★★
「何かお困りでしょうか」
東京の区立図書館が相次いでリニューアルされ、新サービスを打ち出している。さまざまな相談に応じる職員「コンシェルジュ」を配置したり、読み聞かせ会を毎日開催したり…。公共図書館が、お役所仕事からの脱皮に本気で取り組み始めた。
▽コンシェルジュ
明るい玄関ホール、色とりどりのおしゃれなソファ、カウンターには「何かお困りでしょうか」と笑顔で案内する女性コンシェルジュ。ここは千代田区役所の新庁舎(九段南)に二〇〇七年五月オープンした千代田図書館だ。
周囲がオフィス街ということもあり、辞典、白書などビジネス関連の蔵書を充実させ、閲覧机にパソコン用の電源、インターネット接続端子を取り付けた。平日は午後十時まで開館。「リラックスしながらさまざまな情報に触れ、新しい発想をする場所にしたい。コンシェルジュのもてなしが好評です」と担当者は話す。
▽ストップ!本離れ
高田馬場駅近くの新宿中央図書館は昨年、子供の本離れを食い止めようと「こども図書館」を併設した。絵本や童話を収めた本棚は高さ一メートル前後と低めにし、寝転んで読める畳スペースを設けて親しみやすい空間を演出している。毎日開催の読み聞かせ会も人気だ。
七月には、約三千平方メートルの施設面積を誇る豊島区立中央図書館が東池袋にオープンした。二〇〇八年以降も、区立図書館のリニューアルラッシュが続きそうだ。
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2007年10月24日
田端文士村記念館
おすすめ度:★★★★★
文士たるもの…
大正3(1914)年、芥川竜之介の一家が田端に家を新築し、2年後には室生犀星が下宿で生活を始めた。2人が小説や詩を次々と発表し名声を得ると、後を追うように菊池寛、堀辰雄、萩原朔太郎らも居を構え、いつしか「文士村」と呼ばれるようになった。
上野の東京美術学校(現東京芸大)へ通うのに便利だったため、画家や陶芸家、彫刻家も田端に数多く住んだ。
これらの作家や芸術家の生原稿、書簡、絵画、彫刻などを展示する。各展示コーナーの前には「友人」「弟子」「仕事仲間」など、作家・芸術家同士の関係を記したパネルが置かれ、交流の軌跡をたどることができる。
「田端に住んだ作家や芸術家は延べ130人ぐらいになるのでは、とみられています」と同館。居住期間が不明な人物もいるが、調査を進め関係資料を充実させていく考え。
月に1度、「田端ひととき散歩」という催しも。「芥川の交友関係」などのテーマを設け、記念館の研究員らの案内で田端の町を1時間ほど散歩する。ウオーキング兼用で好評だ。
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2007年10月23日
東京ドーム たまごっちデパート
おすすめ度:★★★★★
待ってるよ~
販売累計7000万個の携帯液晶ペットゲーム「たまごっち」の専門店「たまごっちデパート」が、東京ドームの商業施設にオープン。親子連れらでにぎわっている。
店内の入り口に置かれているのは、高さ2・5メートルの壁掛け「超びっぐたまごっち」。来店した子どもたちが液晶画面をのぞき込み、かわいいキャラクターといっしょに笑顔で記念撮影していく。
「たまごっち」は1996年に発売され、全世界で大ヒットを記録。店内には1050円の小型機から、小学生の女児を中心にブームを巻き起こした通信機能付き「たまごっちプラス」までが勢ぞろい。
さらにキャラクターが描かれたTシャツ、文房具など計約250種類の関連商品が並ぶ。
特に「ここでしか買えない!」とうたわれたキャンデーやチョコレート、せんべいなどの限定商品が人気で、揚げたてドーナツの販売コーナーには順番待ちの列もできる。年中無休。
公式ホームページはhttp://tamagotch.channel.or.jp/
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2007年10月22日
下北沢 隠れ家の魅力
おすすめ度:★★★★★
おもちゃは永遠の命
若者に人気の高いエリア。やっぱり、超個性的なファッションの人たちがいた。たとえば黒いロングスカートをまとった男性!。通りの店は気ままなレイアウトで主張を競う。道が入り組んで、さっさと歩けない。逃げ腰になりそうなところで、下北沢は呼び止めた。
▽迷路の先に
よく見ると、街は優しげ。一枚百円のLPレコードを大量に並べる中古ショップ、古本屋、古着屋、アンティークおもちゃの専門店が、派手な化粧の下から顔をのぞかせる。リサイクルが自然体で行われている印象だ。迷路の先に、実は楽しいことが待つ。新宿、渋谷から電車で十分弱。隠れ家のような魅力が浮かんできた。

「シモキタ」といえば演劇と切り離せない。出演者、観客の双方にとって小劇場の“聖地”である本多劇場をはじめ、古いアパートを改造したザ・スズナリなど駅近辺に幾つもの舞台が集中する。ここを古里と思う有名俳優も少なくない。
芝居に打ち込む俳優の卵たちの姿は、直木賞作家石田衣良の「下北サンデーズ」の題材になり、ドラマ化もされた。神殿を描いた京王井の頭線の高架は、レインボーゲートと呼ばれている。舞台の書き割りみたいだが、ここをくぐって劇場へ向かう目には夢の入り口に映るのだろう。
▽見果てぬ夢を
脇の立て看板に「賃貸アパート 月三万円」とあった。駅徒歩六分、管理費月二千円。相場からすると安い。「住めないよ~」とカップルが笑って通り過ぎる。確かに築三十年以上で、六畳一間。だが、この部屋でミュージカルのヒット曲「見果てぬ夢」を口ずさむ若者がいても、おかしくはない。
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2007年10月19日
表参道 夢?の持ち帰りOK
おすすめ度:★★★★★
試供品を手に取る女性たち
東京・表参道に七月オープンした会員制ショールーム「サンプル・ラボ」が好評だ。一堂に集めた企業の試供品を、来店した会員が自由に試したり、持ち帰れるシステムで、二十―三十歳代の女性を中心に、既に一万人以上が会員登録。店頭では連日、整理券を配布する人気となっている。
チラシ配布などを手掛けるメル・ポスネット(東京都台東区)が運営。入会金と年会費計千三百円が必要だが、同店には新発売の食品や化粧品など五十―百種類の試供品が常時並び、中には二千円以上の商品も。商品は二週間で入れ替えられ、一回の来店で五個まで持ち帰ることができる。
会員は入会の際、本人確認の提示とともに、性別や年齢などの消費者データを登録、持ち帰る際にはレジを通る仕組み。商品を提供した企業側には、商品を持ち帰った会員のデータやアンケートを集めることで、商品に関心を持っている消費者層を、より的確に把握できる利点がある。
サンプル・ラボ営業部さんは「路上で試供品を配布するよりも客層をつかみやすい」と話す。今後、名古屋や大阪、福岡への出店を検討しているという。登録はホームページで。http://samplelab.jp
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2007年10月18日
表参道 流行発信地
おすすめ度:★★★★★
表参道ヒルズ。
同潤会アパートも一部再現
晴れた日、明治神宮の森を背にして、まっすぐに延びる参道を眺める。文句なしに気分がいい。視界をさえぎる広告や高い建物もなく、ケヤキ並木がずっと見通せる。
色づいた葉がひらひら落ちる中、有名ブランドが集まる流行発信地を歩く。疲れる前に「ラフォーレ原宿」をチェック。若者が多いが、年齢を気にするべからず。正面から見上げると「TOPSHOP/TOPMAN」のロゴ。日本初出店の英国ブランドだ。
▽セントラルアパート
ラフォーレ向かいには高度経済成長期のころ、文化人が住みデザイナーらが事務所を構えた梁山泊「セントラルアパート」があった。写真家浅井慎平さんは著書「原宿セントラルアパート物語」で、映画監督の伊丹十三や歌人の寺山修司らが出入りし、刺激を与えあった様子を描いている。
二〇〇六年二月開業の表参道ヒルズは華やいだ雰囲気。映画でヒロインも履いていた靴、イタリアの小粋なスカート…。参道と同じ傾斜というスロープを歩いてウインドーをのぞくと、心引かれるアイテムが次々と目に飛び込んでくる。
▽おしゃれを観察
敷地の一角に、白い壁のレトロな建物がある。同潤会アパートを一部再現したものだ。歩道橋を渡り、カフェラウンジ「モントーク」でランチ。ガラス越しに、街を歩くおしゃれの達人たちを観察する。明日は、あの人の着こなしをまねてみよう。
通りを一本入って、隠れ家風の店を巡るのも至福の時間だが、誘惑を断ち切って地下鉄へ。しまった。「エチカ」でもアクセサリーなどのショップがずらり。改札口には、なかなかたどり着けそうもない。
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2007年10月17日
昭和の繁栄 下町の記憶
おすすめ度:★★★★★
昭和初めの浅草
大正終わりから昭和初めの東京の姿を、生活者の視点でとらえた写真展「下町の記憶」が、台東区立下町風俗資料館で開かれている。
撮影したのは、同区で終生過ごした故加藤益五郎さん。資産家だった加藤さんはアマチュアながら数台のカメラを使いこなし、没後に同資料館に寄贈されたカットは6800以上。まとめて展示するのは今回が初めてだ。
関東大震災直後の1923(大正12)年秋から約10年間にわたる光景として、約130点が選ばれている。被災者の暮らしぶりや復興に向かう様子など震災関連のほか、昭和初めの浅草のにぎわい、上野公園で催された各種の博覧会の表情を丹念に収めた。
カット数が膨大なため、展示準備は1年がかり。震災後のバラック街の写真には、歴史的な価値があるという。12月2日まで。一般300円。
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2007年10月16日
山形・鶴岡酒田 藤沢周平の城下町
おすすめ度:★★★★★
川藻が揺らぐ内川
芭蕉も立ち寄った
作家藤沢周平の小説にしばしば登場する「海坂藩」。故郷、山形・鶴岡がモチーフだ。出羽三山を仰ぎ、西に日本海を臨む庄内平野…。藤沢が愛したみちのくの城下町を旅した。
▽黄金のじゅうたん
空港からの車窓に、稲穂が広がっていた。一面に敷き詰めた黄金色のじゅうたん。月山とのコントラストが郷愁を誘う。だれもが思い浮かべる日本の原風景。映画「たそがれ清兵衛」(二〇〇二年)で、人力車で墓参りに向かうラストシーンにも映し出されていた。

この辺りで作られるコメは、はえぬきやササニシキなど。水に恵まれた土地柄だけに、米どころの東北にあっても、そのうまさは折り紙付きだ。
内堀のある城跡や藩校「致道館」などに当時の記憶を残す鶴岡。実際に治めていたのは、十四万石の庄内藩だった。普代の雄藩でありながら、小藩として描かれた海坂藩のごとく、城下はどこか質素なたたずまい。作品の情景がぴったりと重なり合う。
小説ゆかりの場所が程よく点在する。その一つが、「五間川」と呼ばれていた内川。朱塗りの三雪橋のたもとに緑の川藻が揺らぐ様はなかなかの風情。「奥の細道」で立ち寄った松尾芭蕉の乗船地跡も。
藤沢作品は「たそがれ清兵衛」「隠し剣 鬼の爪」(〇四年)、「蝉しぐれ」(〇五年)と映画化が続く。いずれも鶴岡周辺でロケが行われた。
内川近くの「丙申堂」は、藩の御用商人から鶴岡一の豪商となった旧風間家住宅。「蝉しぐれ」では、文四郎(市川染五郎)とふく(木村佳乃)の二十年ぶりの再会が小座敷で撮影された。石置きの屋根に、母屋を貫く石畳の長い廊下。縁側に座り庭を眺めるのも一興だ。

▽湯の里
鶴岡市内から車で十五分ほどの湯田川温泉。藤沢が戦後、中学校教員として赴任した。文壇にデビューした後も、たびたび滞在し、教え子たちとも交流を続けていたという。旅館が十数軒のひなびた湯の里。夕暮れ時にもなると、源泉のある共同浴場にはタオルを下げた住人が三々五々、集まってくる。
酒田に足を延ばした。最上川河口の港町。古くから庄内米の集積地として栄えた。その象徴が築百年を超えてなお現役の「山居倉庫」。十二棟の倉が屋根で連なり、漆黒の壁板沿いにはケヤキ並木が続く。NHKの連続テレビ小説「おしん」のロケ地としても有名だ。

藤沢が描いた下級武士とおしん。辛苦に耐え、愚直なまでに信念を貫くその姿に、なぜか心がうずいた。
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2007年10月15日
笑いのタネ NOW ON SALE
おすすめ度:★★★★★
思わず笑います
なくても困らないが、思わず笑いを誘うようなユニーク雑貨ばかりを集めた東京・秋葉原の店が話題を呼んでいる。その名も「生活非必需品専門店 むだや」。福沢隆一店長によると「売っているのは笑いの種です」。店内は、商品を実際に試した客の笑い声でいつもいっぱいだ。
▽なくても困らないが…
「コミュニケーションづくりのきっかけに」というコンセプトで集めた雑貨は約三百五十種類。骨の形をした「むだ骨ペン」、「部長」「次長」と肩書が書かれた紙製の「人事カップ」、九時と五時だけが文字盤に書かれた腕時計は「九時五時時計」…。福沢店長が「どうやって使うか分からないんですよ」と首をかしげるような雑貨も。
運営するのは、秋葉原にあるパソコン関連機器の販売会社「エバーグリーン」。パソコン部品の買い付けで渡航した中国などで現地の雑貨を集め、2007年5月に開店した。
インターネットなどで話題となり、来客の半分は女性が占める。福沢店長は「今後はオリジナル商品の開発にも力を入れたい」と意欲を燃やしている。
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2007年10月12日
東京タワーができるまで
おすすめ度:★★★★
建設途上の東京タワー
高さ世界一の電波塔ができるまでのドキュメンタリー映画「偉大なる建設 東京タワーの建設記録」(33分)が、初めてDVDで発売された。
完成に至るまで、どのような作業が行われたかに焦点を絞った内容。地味なジャンルだけに、これまで学校などでの上映が主で、テレビ放送もほとんどなかったという。
収録の期間は1957年6月着工から、58年12月完工まで。約1年半で造り上げた技術力は驚きだが、高所を命綱なしで動き回る職人技もスリリング。当時、周囲にビルもまばらで、高層ビルに囲まれた現在とは隔世の感がある。
発売はジェネオンエンタテインメント。昭和の産業映画シリーズとして「霞が関147M」(35分)と、「YS―11 新しい日本の翼」(32分)などもDVD化されている。価格はいずれも2625円。
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2007年10月11日
ハヤリもの スロットカー再び
おすすめ度:★★★★
気分は富士スピードウェイ
レーシングカーのミニチュアを、コース上の溝から電流を伝えて走らせる「スロットカー」。「走るプラモデル」と呼ばれるホビーだが、首都圏に日本最大の専用コース場が誕生し、話題を集めている。
F1レースが復活した富士スピードウェイを全長四十四メートルで再現するなど、全六コースを常設した「スロットカーズ・ヨコハマ」(横浜市都筑区)。総面積約六百平方メートル。一時間単位で走行料金を設定し、気に入った車でレースに参加できる。子ども向きのキッズループサーキットなど、初心者にも配慮した。
立地は郊外の住宅街にある商業施設内。運営に当たる企画会社ウィズ(東京都中央区)は、車好きの住民が多いことをリサーチして進出を決めたという。今後、各地での施設展開や、全国規模のレース開催を視野に入れている。
スロットカーを販売する大手おもちゃ会社も「盛り上がりはある」と認めるが、目下の売れ行きはいまひとつ。ブームの芽をいかに育てるか。テレビゲームに慣れた世代から、どこまで支持を得られるかが分かれ目になりそうだ。
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2007年10月10日
昆虫好きの基地 虫の詩人の館
おすすめ度:★★★★★
これはムシできない
昆虫好きの少年たちの強力な「基地」が都心にできた。
解剖学者の養老孟司さんやミュージシャンの坂田明さんら“元昆虫少年”らが理事を務める日本アンリ・ファーブル会が運営。理事長で「ファーブル昆虫記」の翻訳で知られる奥本大三郎さんが土地を提供した四階建ての建物は、一階と地下が展示室だ。
エキゾチックな色合いの世界各国のチョウなどの標本が並び、ファーブルの貴重な肉筆原稿や南フランスにある生家を再現した部屋もあるが、子どもたちの関心は館内で飼育されている虫。特に体長約十五センチ以上のヘラクレスオオカブトには皆、興奮気味だ。学校で「ムシ博士」と呼ばれている小学生も「めったに触れない虫とか標本があって楽しい」。
栃木県の里山などでのフィールドワークの情報も紹介、虫に関する疑問も、一つ一つ回答してくれる。同館は「身近にある野生を採取して調べる、という楽しさを幼いころに知ってほしい。ここはファーブルの世界への『どこでもドア』です」と話している。
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2007年10月09日
神保町 古本巡礼
おすすめ度:★★★★★
ここに地球あり
歩くとき、作家を気取ってもいい。学者になったつもりでもいい。本、本、本。とにかく神保町は、紙と活字に満ちている。日本一の本の街というのは謙遜で、新刊と古書を扱う店がこれほど集中するのは世界で一番だともいわれる。一人でぶらりと歩く流儀が似合う点でも類がないと、認定させていただく。
▽心臓は古本屋
岩波書店、小学館、集英社…と大手出版社が連なるが、このかいわいの心臓部と呼びたいのは約百六十軒ある古本屋さんだ。
今も昔も、店主は奥で気配を消し、本だけでなく客も値踏みする。鋭いいちべつも慣れてしまえば怖くない。切られることが励みにさえなる真剣勝負。「大事にしてくださいね」と言われて、本を手渡されたら「勝った」ということだ。大人の駆け引きが楽しめるから、古本巡礼はやめられない。

さかのぼれば明治時代から一帯は、学びの地だった。特に法律学校が多く、それが明治、法政、中央、専修など現在の大学につながってゆく。書店が集まったのも道理なのだ。
▽野球妖怪?
開成学校(東大の前身)跡である学士会館には「日本野球発祥の地」の碑が立つ。明治初め、米国人教師が生徒に野球を教えたのがこの地だとか。人の背丈ほどの手が、ボールの縫い目がある地球を握るというユニークな造形。妖怪的でもあり「ゲゲゲの鬼太郎」でひと暴れして、と応援したくなる。
もっと若者が来る街にしたい、という地元の動きもあるが、ここまで文化的な蓄積があればじっくり構えてもと思う。選球眼がある人は、この街を素通りすることはないだろう。
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2007年10月05日
皇居ランナーに朗報
おすすめ度:★★★★★
走ったらシャワー
今年二月の第一回東京マラソンを機に皇居の周回歩道を走る市民ランナーが増えたのを受け、皇居近くの地下鉄九段下駅前に、専用シャワー施設「ランナーズステーション」がオープンした。
市民ランナー向けの雑誌を発行する「ランナーズ」と、スポーツライターの夜久弘が企画した。
マンション一階の約百五十平方メートルに、男女別の更衣室と六室ずつのシャワー、長期の荷物保管用ロッカー二百七十人分を設置。利用者は更衣室で荷物を預けて走りに出掛け、戻ってシャワーで汗を流す。平日は午前七時から午後十時まで利用可能。
皇居周辺にはランナーの荷物を預かる銭湯もあるが、営業時間に制限がある上、最近は脱衣場が混雑し、専用施設を望む声が高まっていた。
館内ではマラソン大会などの情報を提供、談話スペースも設けている。自らもランナーの夜久さんは「これから走る人も含め、ランナー同士が出会い交流する拠点にもなれば」と期待している。
利用料は一回七百円だが、一カ月四回以上利用する会員は五百円。問い合わせは電話03(3264)0089。
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2007年10月04日
ハヤリもの 割引自販機
おすすめ度:★★★★★
安いと、やっぱりウレシイ
清涼飲料水を割引価格で提供する自動販売機が、中央大(東京都八王子市)などに登場し、学生らに歓迎されている。
割引できるからくりは、液晶ディスプレーに映し出されたり、紙コップに印刷されたりする広告にある。その収入で売価を安くしたりする仕組み。官公庁などでも導入を検討するなど、広がりを見せている。
「今どき五十円でジュースを飲めるなんて…」。中大の校舎に設置された自販機はコーヒーやジュースを紙コップで販売。これまでは一杯八十―百円だったが七月二日から一律三十円引きになり、学生らを驚かせた。
好みの飲み物のボタンを押すと、二十―三十秒の待ち時間の間に、機械前面にある約十インチのディスプレーに、映画の予告編や最新商品などのコマーシャルが映し出される。紙コップにも同様の宣伝の絵が描かれる。
「三十円の割引は、アルバイト中の学生にはとてもお得な感じ」と女子学生。男子学生は「テレビなどで慣れているから、多少の宣伝も嫌ではない」とうれしそうだ。
自販機運営会社「アペックス」(東京)によると、広告収入を廃棄物リサイクル費などのコスト上昇分に充てる場合もある。一定の広告収入があり、諸費用がほとんどかからない施設内であれば“0円自販機”も可能。「ただし、ただで飲み放題というのは教育施設などでは疑問が残るかも」と大学関係者は話す。
中大には三台が設置され、都内の他の二大学が導入済み。さらに官公庁や大手企業、病院などから問い合わせも相次いでいるという。
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2007年10月03日
かっぱ橋道具街 料理好き、いらっしゃ~い
おすすめ度:★★★★
来るもの拒まず
ビルの屋上に、巨大なコックさん。ニイミ洋食器店の“看板”だ。浅草寺に近い「かっぱ橋道具街」南端にそびえ、街のランドマークになっている。
▽野望も膨らむ
もんじゃ焼きのへら一本から、ガラス張り冷蔵ショーケースまで買える台所・調理用品のワンダーランド。「いらっしゃいませ」と書かれた赤マット、「年中無休」の立て看板、五右衛門風呂としても使えそうな超大型釜も展示販売。何だか、もの酔いしそうだ。
オーダーメードでも知られる桔梗屋では、ぷっとふくれた赤ちょうちんの大行列。「酒」「お好み焼」などの文字が幻想的に映る。「焼き鳥」のあかりをともし、わが家の軒先でパタパタと煙を上げたら、商売ができるかも…。そんな野望をめぐらせた。

約八百メートルの道具街の中ほどに、金ピカの「かっぱの河太郎(かわたろう)像」。江戸時代、洪水に悩む住民のため、かっぱが掘割工事を手伝ったとの伝説もあり、彼らを見た人は商売繁盛したという。道具街が誕生して九十年余り。福々しい笑みを想像していたが、街の守り神はクールな澄まし顔だ。
▽キュート!
料理道具の老舗、つちやに立ち寄ってみた。最近は固形燃料でごはん一合が炊ける「お釜かまどセット」がお年寄りに売れ筋。家にいながら旅館気分、アルミ釜で軽く楽に扱えるのが理由らしい。さすがは日本のメーカーと思いきや「中国製なんだけど」と、店主は肩透かし。
飲食店関係の中国人、韓国人とのやりとりも多いという。欧米の観光客も急増中だ。佐藤サンプルでは「ベリー・キュート!」と、卵のにぎりずしキーホルダーをつまんで、女性がはしゃいだ。
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2007年10月02日
香川県周遊 瀬戸は日暮れて、愛を叫ぶ
おすすめ度:★★★★★
「せんせあそぼ」
小豆島のブロンズ像
都道府県の中で面積は最小だが、小豆島、さぬきうどん、金毘羅さん、と特色あふれる香川県。最近とみに映画ロケ地として光が当てられている。魅力を探る旅に出た。
▽笑顔は宝物
高松港から小豆島行きのフェリーに乗る。白く光る航跡の先で、ランドマークの高松シンボルタワーが小さくなる。船上には「瀬戸の花嫁」のメロディー。夢見心地で小一時間も過ごすと到着だ。
しょうゆや、つくだ煮の香りが漂う町中を縫っていく。奇岩が切り立つ寒霞渓(かんかけい)に目を奪われる。思っていたより島は広い。向かうのは壺井栄の小説「二十四の瞳」の舞台、岬の分教場。
明治期の木造。板敷きの床がきしんで鳴る。机もイスもかわいい。「ではここで小説『二十四の瞳』を朗読してみましょう」。映画の主演、高峰秀子を思い起こさせる、穏やかなナレーションが静けさを深める。
近くの映画村で、二度目に映画化した際のセットを公開している。ブロンズ像「せんせあそぼ」は、ジャンケンする子どもたちの声が聞こえてきそう。いつの時代も、子どもの笑顔は宝物だ。

航海の守護神として、「こんぴらさん」の愛称で親しまれる金刀比羅宮を目指す途中、参詣の船着き場として栄えた丸亀市に寄った。丸亀城の日本一高い石垣が有名だが、映画「UDON」のオープンセットもここに組まれた。広大なため池のほとり。水面に“讃岐富士”と親しまれる飯野山が映る。
こんぴら参りは、本宮まで長い石段を上り、汗びっしょりに。それでも門前町にある「金丸座」には寄り道したい。現存する日本最古の芝居小屋。一八三五年の建築だ。

小屋を案内する男性が「いよっ、中村屋!」と自らに掛け声をかけながら、揚げ幕から花道へ「ドンッ、ドンッ」と飛び出していく。朝一番の口開けの仕事だからか、大サービス。おかげで気分が出た。
▽愛に鍵は?
高松琴平電鉄に乗り、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の舞台、高松・庵治漁港へ足を運んだ。まずは朔太郎と亜紀が夕日を見つめて語り合った防波堤へ。あいにくの雨で、愛を語る恋人らは鳴りをひそめ、釣り人が一人たたずむばかり…。「雨平写真館」も復元され、中に朔太郎のスクーターもあった。

しかし、石と漁の町には二人にあやかろうと、新たな痕跡が刻まれていた。印象的なシーンを演出した皇子神社のブランコは、ロケ地が見渡せる高台にある。鎖や周囲の柵には、男女で取り付けたであろう錠がびっしり。「愛に鍵はかけられるのか!?」と叫びたくなった。
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2007年10月01日
湯島・池之端 もしも願いがかなうなら
おすすめ度:★★★★★
継続は力なり
上野のにぎわいを抜けた池之端。旧岩崎邸へは、玉砂利の緩やかな上り坂が続く。さすがは三菱財閥のお屋敷だ。北側に森鷗外「雁」の舞台、無縁坂がある。彼岸花が咲いていた。
▽華麗なる一族
一八九六(明治二十九)年完成。英国人ジョサイア・コンドル設計の白亜の洋館は、一分のすきもないぜいたくな作りだ。ベランダからの眺めも最高。でもどこか舞台セットのように見えるのは、客をもてなす空間として使われたからだろう。
まさに「華麗なる一族」といった感じの一家のモノクロ写真があった。一日くらいなら、ここでドラマチックなセレブ体験をしてみたい。若いカップルも、気取ったポーズでお互いを撮影して、照れていた。

次は合格を願う学生たちの絵馬がぎっしり並ぶ湯島天神へ。希望校を十校近く書いている欲張りさんもいる。学問の神様として名高いが、作家泉鏡花の悲恋物語「婦系図(おんなけいず)」のお蔦主税でも有名だ。恩師への義理と恋人との間で苦悩する主人公は、師匠の尾崎紅葉に芸者との仲をとがめられた鏡花自身の姿と重なる。
▽憎めない人たち
日も暮れてきたところで、色とりどりのネオンがぎらつく春日通りを御徒町方面に歩き、甘味処「みつばち」で休憩。名物小倉アイスは熱いお茶と、もなかに合う。
散歩の最後は、ちょうちんが並ぶ鈴本演芸場で落語を聞こう。似たもの同士の飲んべえ親子や、家来を振り回すわがままな殿様といった、腹は立つけれど憎めない人たちが、語りで生き生き動きだす。身近なあの人、この人にそっくりで、おかしい。ほろ酔い気味のおじさんたちに交じって建物を出ると、威勢のよい太鼓の音が背中に響いた。
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