2007年07月30日
台場 防衛の要が大変身
おすすめ度:★★★★
大観覧車から望む台場
球体の展望室が宙に浮かぶフジテレビ本社に、大観覧車が目印。台場は今や、東京観光の定番だ。天気がいいので、浜松町・日の出桟橋から水上バスで向かう。海風に吹かれつつ、行き交う船を眺め、レインボーブリッジをくぐれば到着だ。
▽砲台跡
さあ何して遊ぼうかと心も弾むが、ここはあえて、台場の由縁を知ろうと「第三台場」に行ってみた。岬の突端のように、海に突き出している。
お台場海浜公園では、水遊びを楽しむ家族連れ、上半身裸で昼寝する男性、水着で日光浴する外国人女性たちの姿。思わず、ここが都心なのかと目を疑う。ウインドサーファーがお弁当を食べつつ、沖合を見つめてひと息いれている。

台場は、ペリー来航に驚いた徳川幕府が防衛を図り、突貫工事で築いた砲台場のこと。現在残るのは第三、第六台場のみだ。
第三台場には弾薬庫跡や砲台跡のレプリカなどがあり、当時をしのばせる。それにしてもここが、一八五三年から九カ月ほどで築かれた場所とは思えない。泉岳寺門前の山など対岸の品川から切り崩した土を、東海道を一時封鎖の上で運び出したという話は、幕末のただならぬ危機を伝える。
▽何事でござるか
街に戻ると、トヨタのテーマパーク「メガウェブ」で、自動運転で動く小型電気自動車に修学旅行生が試乗していた。それを見ている外国人観光客、カップルらも近未来の世界に、はしゃいだ様子だ。
どうやら幕末も現代も台場の変化は、テンポが速い。もし侍たちがタイムスリップして来たら、黒船を見るより仰天するかもしれない。
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2007年07月26日
広尾 食文化「おはし」をどうぞ ユニーク箸専門店
おすすめ度:★★★★★
東京・広尾にオープンした箸の専門店「にほんぼう」
「マイ箸(はし)」はいかが―。日本の食文化である「おはし」と、その関連商品のみを扱う珍しいスタイルの専門店「にほんぼう」が東京・広尾に誕生した。
▽2分割
はし製造販売の兵左衛門(福井県小浜市)が、全国に先駆けて出店。1050円から、若狭塗で52万5000円するものまで各種そろえた。
森林伐採から生じる環境問題に配慮して、自分専用を袋に入れて持ち歩くセットや、二分割して携帯電話サイズの袋に収納できる「八四郎」など、斬新な提案を打ち出している。
▽かっとばし
プロ野球の折れたバットから商品に再生した「かっとばし!!」や、ユニークな形のはし置きも並び、ミニ博物館のような雰囲気も味わえる。
同店によると、銀座なども候補にしたが、高級イメージがありながら庶民的なところも残る広尾が最適地、と判断したという。はしの塗り直しに対応するほか、1膳(ぜん)100円で下取りもする。子どもや若い女性に、正しい持ち方を教える講習も考えているそうだ。
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2007年07月23日
門前仲町 ご利益通り
おすすめ度:★★★★★
深川不動堂・参道入り口
引き込まれるように人がゆく
縁日は得をした気分。露店が並び、肩を触れ合うように人が行き交うと何やら元気が出る。門前仲町、通称「もんなか」の深川不動堂は月の一、十五、二十八日が縁日で、運良く行き当たった。成田山新勝寺の東京別院だ。
▽いらっしゃい
参道を、人情深川ご利益通りと呼ぶ。本堂まで長さ二百メートルぐらいだが、食べ物屋、衣料品、アクセサリー店と飽きさせない。加えて、たい焼きや金魚売り、骨董など縁日ならではの店が、歩みを緩めさせる。下町情緒が味わえる人気の観光スポット。遠来の客も多い。
それでも地元の古い商店主は「木場が栄えたころは、芸者衆もよく見かけたのに…。この四十年で様変わり。しっとりした雰囲気は戻らない。寂しいね」。木場とは隅田川などの水運を利用した貯木場のことだが、埋め立てが進み役割を終えた。「無常」という言葉を思い出しつつ、不動堂で家内安全をちゃっかり祈願した。
▽門前払いはナシ
次は東に隣接する富岡八幡宮へ。「江戸最大の八幡様」といわれ、またまた得した気分。境内に、全国を歩いて精度の高い日本地図をつくった伊能忠敬の銅像が立つ。出発前、道中無事を祈りに来ていたそうだ。

本殿脇には、横綱力士の石碑。高さ三・五メートル、幅三メートル、重さ二十トン。一九〇〇(明治三十三)年建立で、歴代横綱の名を刻む。この神社が江戸勧進相撲発祥の地という説明に、巨大さも納得。
帰路に渡った八幡橋もいわく付きだ。都内最古の鉄橋で、国の重要文化財に指定されている。「へえ~」の連続だが、聞けば気さくに教えてくれる。門前払いは、下町の流儀に合わないのだろう。
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2007年07月22日
文京 オルゴールの小さな博物館
おすすめ度:★★★★★
オルゴールの小さな博物館
やからくり人形や自動ピアノも楽しめる
星の砕け散るような音が、メロディーを紡ぐ。19世紀の貴族の装飾品やコインを入れて曲を聴く元祖ジュークボックスなど、約300台を所蔵。幅広いオルゴールの世界を知ることができる。
▽アンティーク
個人収集家が自宅を開放して1983年に開館。今は収蔵庫や工房も完備した7階建てビルで、インテリアもアンティークで統一されている。鑑賞には予約が必要。「音楽を十分味わってほしいから」(同館)という。
初心者はまず「演奏会コース」へ。音楽ホールで15―20機種が奏でる曲を堪能。ツメのある金属の筒やディスクなど音の鳴る仕組みも教えてくれる。オペラ「ウィリアムテル」序曲までこなす力量や、うたた寝するからくり人形の精巧さに、おもちゃのイメージは消え一流の技術力を感じる。
▽それぞれに物語
ほかに企画展を楽しむ「博物館コース」、館長自らが解説するマニア向けの「館長コース」も。ショップにはプレゼントにぴったりのオルゴールやCDが並び、お土産探しにも熱が入る。
家庭用、駅やパブにあったものなど一つ一つに物語がある。音楽再生の役割はレコードやラジオに取って代わられたが、ぜんまい仕掛けの装置の中には、人々が音楽に抱いた夢が隠されている。
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2007年07月20日
下関北九州 勝ち負けの向こう側
おすすめ度:★★★★★
源義経が跳ぶ壇之浦
「壇之浦」と「巌流島」。あまりに有名な二大決戦の場所は、距離にして数キロしか離れていない。関門海峡をはさむ山口県下関市と福岡県北九州市は歴史的な要素に満ちて、訪問者をタイムスリップさせる。
▽永遠の定番
壇之浦古戦場では、全長一〇六八メートルの関門橋が海峡をまたぎ、一日七百隻もの船が行き交う。現代的でダイナミック。下関側で市民ボランティアの紙芝居に耳を傾けるうち、白旗、赤旗がひらめく海戦場面が目前に浮かんでくる。時は一一八五年三月。
勝者となった源義経、滅亡した平家一門の物語は、映画やドラマ、歌舞伎、戯曲の題材となり、日本人の琴線に触れる永遠の定番だ。義経の銅像の足元には、NHK大河ドラマで主役を演じた滝沢秀明の手形。

一方、巌流島では宮本武蔵、佐々木小次郎の銅像が「勝負の一瞬」に運んでくれる。時は一六一二年四月。現在、周囲一・六キロの平らな小島は、当時もっと小さかったという。逃げも隠れもできないスケールを察知した武蔵の戦略勝ち!
映画、ドラマの武蔵役といえば片岡千恵蔵、三船敏郎、中村錦之助(萬屋錦之介)、高橋英樹、北大路欣也、役所広司、上川隆也、市川海老蔵…。かなうことなら長府毛利藩の城下町を歩いてもらい、コンテストでもしてみたい。
▽歩いて行き来
下関と北九州の門司港は連絡船で五分。地図で分かっていても、初めて見ると隣町感覚に驚かされる。しかも、歩いて行き来できるとは。一九五八年開通の「関門トンネル人道」が、そのからくり。歩行者無料で、自転車とバイクは二十円を払う。
エレベーターで十数階分を降りて、海底へ。全長約七百八十メートルの一本道。天井や壁の絵を景色に、黙々と歩く。中ほどには山口県と福岡県の県境表示が。本州と九州を足でつなぐ感激がこみ上げるのは初心者だけらしく、地元の人はウオーキングの服装で何往復もしていた。一度だけではもったいない。伊能忠敬も通らなかったのだから、と歩数を測る。答えは「千百六歩」でした。

人道を抜け、たどり着いた門司港は「レトロ」を前面に、旧門司税関など役目がいったん終わった建物をよみがえらせていた。夜のライトアップはひときわ美しく、映画「スパイ・ゾルゲ」(〇三年)などの撮影地になった。下関の町を包んで、沈む夕日。赤い光が海峡の波に揺れ、荘厳で幻想的なひとときが舞い降りた。
「松本清張記念館」が、生まれ故郷の北九州市小倉北区にある。東京の自宅を基に書斎や書庫を再現。太陽がギラギラと小倉城を照らす。「全力で駆け抜けた巨人」の創作エネルギーを見た思いがした。

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2007年07月13日
丸の内 洗練と風格
おすすめ度:★★★★★
丸の内仲通り
カフェやブランドショップが並ぶ
東京駅を皇居側に出れば、見渡す限り高層ビルがそびえる。あまり圧迫感を感じないのは、幅員七十四メートルの行幸通りなど道路幅が広く、その奥に皇居の緑を見通せるからだろう。日本経済の中心・丸の内は今、再開発が途切れることがない。明治期には「一丁ロンドン」と呼ばれた赤れんが造りの街並みは、今や幾つかのビルの一部に面影が残るだけだ。
▽元は大名屋敷
地域のシンボル「丸ビル」は、百八十メートルの高層ビルにリニューアルし、隣の「新丸ビル」は二〇〇七年四月に開業。石畳で整備された丸の内仲通りの両側は、洗練されたカフェやブランドショップが並ぶ。江戸時代に大名屋敷が連なっていた一帯は、街路樹と花壇が彩りを添えるショッピングストリートに。財布を片手に歩く〝丸の内OL〟たちは楽しそうだ。

有楽町方向へ進み、明治安田生命ビルの隣で白壁の風格あるたたずまいを見せているのは、国の重要文化財の明治生命館。歌舞伎座などを手掛けた建築家の岡田信一郎設計の洋風建築で、一九三四年に完成。再開発が続く丸の内にあっても現役のオフィスビルだが、隣接する建物とをつなぐガラスの屋根が設置され、明るい中庭で憩う人も多い。

▽ハヤシライス
昼食には複合施設「丸の内オアゾ」四階にある老舗書店「丸善」丸の内本店内のカフェで「早矢仕ライス」を注文。広く親しまれている「ハヤシライス」は、実は丸善の創業者早矢仕有的が考案したという説があるのだ。こくのある味わいに満足。窓際の小さなカフェテーブルに座ると、赤れんがの東京駅を行き交う電車を見下ろせた。レトロと最新が程よく融合した街なのかもしれない。
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2007年07月12日
市ケ谷 囲碁殿堂資料館 名勝負の記録
おすすめ度:
囲碁殿堂資料館
棋士が気分転換に訪れることも
市ケ谷駅前から帯坂を上って右手が碁盤町ならぬ千代田区五番町。ここに拠点を構える囲碁の〝総本山〟、日本棋院の建物地下1階に2004年11月、開館した。
ひっそりと時間が止まったような館内の入り口に掲げられているのは、徳川家康の肖像レリーフ。囲碁史上、多大な業績を挙げた「囲碁殿堂」の1人として顕彰され、事跡が紹介されている。囲碁が日本に伝えられたのは6世紀ごろとされるが、庶民の間に広まったのは江戸時代で、その基礎を作ったのがほかならぬ家康という。
▽深奥幽玄
囲碁殿堂はほかに、碁聖とたたえられる本因坊秀策ら江戸期の棋士ばかりわずか4人。明治時代から現代まで多くの名棋士が登場したが、「なにしろ長い歴史ですから、あわてず毎年1、2人の割合で殿堂入りが選ばれていくはず」と学芸員は笑う。
展示棚には名だたる棋士が繰り広げた名勝負を記録した棋譜をはじめ、ブームを巻き起こしたテレビアニメ「ヒカルの碁」の資料、岩倉具視が愛用した碁石、作家川端康成による「深奥幽玄」の書などが並ぶ。
収蔵品の貴重さに感心させられるが、それ以上に先人たちの並々ならぬ「囲碁愛」が心に迫る。
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2007年07月11日
音だけですが…暑中見舞ビール 花火、風鈴もサプライズ
おすすめ度:★★★★★
押すとシュポン
笑えます!
ビールの絵を押すと「シュポン、トクトクトク…」とビールを注ぐおいしそうな音がする。これは2007年の新商品として、サンリオが売り出した暑中見舞いカード。東京都内のデパートでは、一時品切れも起こす人気だ。
「音と光のサプライズ」シリーズとして同社が発売したのは4種類。ビール版は、長さ約21センチのビール瓶を模したペーパークラフトのほぼ中央にスイッチが付く。内蔵の小型スピーカーから勢いよく栓が抜ける音と、ビールが注がれる音。封筒付きで、切手を張れば暑中見舞いに使えるという趣向で、特に会社員に好評のようだ。
花火版は「ヒュー、ドン」という打ち上げの音とともに緑黄赤3色が発光。他に「ちりーん、ちりーん」と涼しげな音が聞こえる風鈴版や、月夜の絵の中でライトが点滅するホタル版がある。1セットが840円から1260円。
「サンリオというとキティちゃんが有名ですが、こんな風流なものも手掛けているんですよ」と、開発に当たった社員は話している。
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2007年07月10日
横浜鎌倉 烏帽子岩が遠くに♪
おすすめ度:★★★★★
コンテナのオブジェ越しに
ランドマークタワー
「三日住んだら、ハマっ子じゃん」。古くからの住民は、こう言ってよそ者を受け入れるという。その言葉通り、横浜は開放的な大都市だ。中心部から電車で約三十分にひかえるのが古都・鎌倉。どちらにも海があり、丘がある。東京からは日帰りゾーン。映画やテレビドラマの撮影が引きも切らない。
▽ロケの定番
「あぶない刑事」「喰いタン」などドラマに登場する定番といえば、山下公園。世界最高(百六メートル)の灯台に認定されたマリンタワー、かつての豪華客船「氷川丸」、野口雨情作詞の「赤い靴はいてた女の子」像と、海沿いの細長い敷地周辺に横浜の顔がそろう。

人工美を主張する高層ビル群。手入れの行き届いた並木。サングラスが似合うジョギング中の外国人女性、ヘッドホンをしながらローラースケートに興じる若者。よそ者の目には、悔しいけれどあか抜けている。
公園に面してホテルニューグランドが建つ。一九二七年に誕生した石造りの本館は戦前戦後を通じ、市民に愛され続ける。進駐軍のマッカーサー元帥も宿泊し、歴史の証人でもある。クラシカルな肌触りを室内ロケで巧みに取り込んだのが、三谷幸喜脚本・監督の映画「THE有頂天ホテル」(二〇〇六年)だ。
黒澤明監督もこの町を愛したといわれるが、巨匠は影の部分を見落とさなかった。「天国と地獄」(一九六三年)は、「もはや戦後ではない」はずなのに消え去らない社会の闇、会社と家族はどちらが大切か、貧富の差といった人間にかかわるテーマを描き、サスペンスの枠に収まらない。

丘の上の富裕層にぶつけた犯人の叫びは、現代にも、こだましているのではないだろうか。電車を乗り継ぎ、海の見えるところで江ノ島電鉄を降りた。「天国と地獄」では、独特な走行音や、トンネルを抜ける光景が犯人をあぶり出す手掛かりとなっていた。
▽サヨナラ色
鎌倉の海はキラキラ輝いて、たとえれば青春色。江の島を眺め、潮騒を聞きながらタイムスリップする。目に映るのは、この一帯でロケをした学園ドラマ「おれは男だ!」で砂浜を走る森田健作。流れてくるのは、サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」「チャコの海岸物語」「真夏の果実」。

ノスタルジックな空気を全編で伝えたのが、竹中直人監督・主演の「サヨナラCOLOR」(〇四年)だった。海辺の病院で医師が、高校時代のあこがれの女性と再会する。つかの間の幸福。やがて訪れる運命の逆転…。青春の苦さ、切なさを、他人にはこっけいに思えるという視点も交え、大人の映画に仕上げた。北鎌倉に眠る小津安二郎、木下恵介両監督への竹中流オマージュなのかもしれない。
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江東区深川江戸資料館
おすすめ度:★★★★★
再現された江戸の町
夜が明けて日が暮れる
一階から入場するとすぐ、眼下に江戸の町並みが広がっていた。当時の長屋や八百屋が軒を連ねる風景を実物大で再現。地下一階から地上二階までが吹き抜けの大掛かりな構造だ。
▽町を体感
地下に降り立つと、米屋、油問屋がある大通り。遠くに、高さ約十メートルの火の見やぐらがそびえていた。板をふいた長屋の間には、路地がある。
学芸員は「町を体感できるのが魅力です。江戸情緒に浸ってもらえればいい」と話す。タイムスリップした町歩きを楽しめる。
長屋の玄関の障子には、名前が書かれていた。「秀次(ひでじ)」は米屋の奉公人。資料館が考案した町人だ。四畳半に、女房と男の子の三人暮らし。
隣に住む独り者の「政助(まさすけ)」の部屋には畳がない。江戸に出てきたばかりで畳を買えないでいるという設定だ。当時の暮らしをのぞき見している気分になった。
▽一日を演出
一日を照明と音を変化させて二十分間で演出する。夜を迎えると、「そーばうー、そーばうー」と、夜鳴きそば屋の寂しげな物売りの声がした。
四季に合わせて模様替えする。季節ごとに、ふらりと立ち寄りたくなる町だ。
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向島 東武博物館
おすすめ度:★★★★★
東武博物館
大正末期の木造車両
館内に入ると、優美な姿の蒸気機関車が目に飛び込んでくる。東武鉄道が1899年、北千住―久喜間で開業した際に走っていた英国製の「5号機関車」だ。隣には大正末期に登場した木造の電車を展示。浮き彫りのある木材や真ちゅうのポールが、レトロで重厚な雰囲気を醸し出している。
▽見たり触れたり
ほかにも、日光で活躍した路面電車や昭和30年代のバスなど、歴史を物語る車両が並ぶが、入館者は展示物を鑑賞するだけではない。見たり、触れたりして、楽しむ設備も充実している。
模擬運転を体験できるシミュレーター。電車が3台、バスは1台ある。運転してみると、音や揺れまで再現しており、リアルさに圧倒される。模型電車を遠隔操作するコーナーやパンタグラフを上下させる運転席とともに、いつも親子連れでにぎわっている。
▽車輪を観察
2階には、東向島駅のホーム下に位置する大きな窓があり、実際に走っている電車の車輪やモーターなどを間近に観察できる。停車に合わせて写真撮影する鉄道ファンも多いという。
2006年は入館者が前年比で約20%増えた。「交通博物館が06年5月に閉館し、鉄道好きの方がこちらに来るようになったからでしょう」と担当者は話している。
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2007年07月09日
国立 郊外の文教地区
おすすめ度:★★★★
東京都国立市
「大学通り」
JR国立(くにたち)駅前の広場から、街を南北に貫くメーンストリート「大学通り」。サクラやケヤキ並木の青葉がまぶしい緑のトンネルの中を、制服姿の小学生や、大学生らが行き交う。
▽新東京百景
国立は一橋大学、桐朋学園、自由な校風で知られる都立国立高校などがある文教地区。整備された大学通りの景観は新東京百景にも選ばれた。
南へ進むと石畳、ベンチ、西洋風の街灯が目に留まる。スケッチの一場面のように美しい街並み。すぐ横を六十代の夫婦が、軽快に自転車でこぎ抜けていった。専用道も整備され、大学生や高校生、前かご部分に子供を乗せたママが悠々と乗りこなす。
通りの一角に、ロープで囲いをされた木々。ヤマザクラの幹にかかった小さな看板には、手書きの文字で「桜の木が元気になるように治療中です」。国立市と市民ボランティアらでつくる「くにたち桜守」の活動だ。木の根元にムラサキハナナを植え、人が踏まないようにして木を守る。自然や景観を大事にする細やかな心遣いを感じた。

▽居酒屋兆治
大学通りを南端まで歩くと、JR南武線谷保(やほ)駅。駅前の路地を少し入ると、目を引く赤ちょうちんの店がある。ここは国立に長年住んだ山口瞳が夜ごと通い、小説「居酒屋兆治」のモデルにした酒場「文蔵」があった場所だ。
文蔵を長年営んできた夫婦の思いを引き継ぎつつ、現在は別の居酒屋「婆娑羅(ばさら)」の明かりがともる。「今でも山口ファンの初老の方が時折来られますね」と、店主の大重貴裕さん。大学街のゆったりした一日を、のれんをくぐって締めくくろう。
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青梅 赤塚不二夫会館
おすすめ度:★★★★★
レレレッのレー
赤塚キャラが大集合
“昭和レトロブーム”の火付け役となった東京都青梅市。泥絵の具で描かれた懐かしい映画看板が並ぶ商店街に、かつての外科医院を改装して2003年10月に開館。街おこしのテーマ「元気な昭和」にぴったりの人物、漫画家赤塚不二夫さんの作品や写真などを常設展示する。
1階の展示室に入ると、映画「駅馬車」の看板と、赤塚漫画の100のキャラクターが走る青梅マラソンの大きな絵が目に飛び込んでくる。
▽シェー
2階には赤塚さんが故石ノ森章太郎(いしのもり・しょうたろう)さんらと暮らした伝説のアパート「トキワ荘」の部屋が再現され、色鮮やかな原画100点を展示。その前に、イヤミが「シェー」のポーズをとるブロンズ像が立つ。
商店街には、ブリキのおもちゃや駄菓子などを展示する「昭和レトロ商品博物館」、戦中戦後の古い街並みをジオラマにした「昭和幻燈館」もある。ガード下の酒場の陰影まで模型で再現した山本高樹さん
の緻密な作品は必見だ。
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2007年07月02日
西新宿 絶景かな
おすすめ度:★★★
西新宿の高層ビル街
西新宿は、高さ二百メートル級の摩天楼の林。地上ではビル風が舞い、ビジネスマンは足早に行き交う。昭和の高度経済成長を懐かしみながら、巨大建築をはしごして絶景を無料で楽しんだ。
▽のぞき見
新宿センタービルは超高層ビル街の中心。さまざまな企業が事務所を構える。働く人たちと肩を寄せ合いながらエレベーターに乗り五十三階へ。展望室は小さく、ひっそりとしていた。近くの新宿駅も見下ろせるのだが、視界は少々窮屈で、のぞき見気分。
新宿野村ビルは、白色の壁に四角い窓が整然と並ぶ、いかにも昭和の高層ビルといった外観。エレベーターは打ち上げロケットのように急速上昇。無口な利用者たちを乗せて、十秒ほどで五十階に到着した。
大きな窓から遠く富士山を望むことができる。同じ階にはレストランもあるが、展望室も六畳ほどの広さを確保している。高層階から東京を鳥観するにもお金のかかる時代に、ここは無料見学者を大事にしている。

▽上空散策
さらに充実しているのは新宿住友ビル。五十一階展望室には軽食のスタンドまである。ジュースなどは自腹で。すすりながら大都会を眺めれば「絶景かな!」。観光気分をかなり満喫できる。
上空散策の締めくくりに東京都庁舎を訪ねた。大聖堂のような姿の建物は、世界的建築家の丹下健三(たんげ・けんぞう)さんが設計。豪華さが批判されてきたが、そっけない見た目のビル群にアクセントを加えているのは確か。
四十五階の展望室には大パノラマが広がっている。中年女性が一通り眺めてつぶやいた。「ここから都庁は見えないの?」。
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