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スポーツリレーコラム

2009年04月22日

「再び表舞台に戻って!」 スプリンター末続慎吾へのお願い  

 必ず表舞台に戻り、また日本中に大興奮をもたらしてほしい。今季は休養のシーズンに充てるという陸上男子短距離の末続慎吾(ミズノ)へのお願いだ。
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 北京五輪の四百㍍リレーで銅メダルを獲得したときの写真を見返してみる。ほかの3人のメンバーと比べて、エースと言われた末続の笑顔には影があるように感じる。本職の二百㍍ではまかさの1次予選敗退。メダル獲得の期待が膨らんだ四百㍍リレー決勝に向けては、不振の末続をメンバーから外すという選択肢も一時は浮上していた。末続は第2走者として何とか責任を果たせた安心感こそあれ、個人的には手放しで喜ぶことはできなかったのだろう。

 2003年世界選手権(パリ)の二百㍍で銅メダルを獲得し、世界中を驚かせた。翌年のアテネ五輪は個人種目を百㍍に絞って決勝進出を狙った。その夢は果たせなかったものの、28歳で迎える北京五輪こそが集大成となるとみられた。だが、07年世界選手権(大阪)の二百㍍では2次予選で敗退するなど、明らかに末続らしさを欠くようになっていた。東海大の後輩、塚原直貴(富士通)に後れをとる場面も目立つようになっていた。思うようにことが運ばず精神的な悩みも深くなっていったようだ。

 北京で快挙を達成した昨オフ、ほかのメンバーは各種の表彰などで多忙を極めたが、末続はスポットライトを浴びるのを避けるように、故郷の熊本にこもった。冬季練習を始めるべき時期になっても練習拠点の東海大に戻らず、引退したアンカーの朝原宣治さんや四百㍍障害の為末大(APF)ら、周囲もその動向を心配したほどだ。3月になり「陸上を続けることにしました」という連絡が関係者に一斉に届いた。この言葉は、裏返せば引退も考えていたということ。そこまで思い詰める状況だったことに驚く。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2009年01月07日

衝撃的な1年生の山上り 箱根駅伝、今年も5区に「山の神」  

 今年の箱根駅伝は、東洋大の初の総合優勝で幕を閉じた。その立役者となったのが山上りの5区で区間新の快走を演じ、往路優勝のテープを切ったスーパー1年生の柏原竜二だ。同じ福島県出身で「山の神」とまで呼ばれた今井正人(順大-トヨタ自動車九州)の区間記録を47秒も更新する走りは衝撃的だった。
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 これまで「山上りの名人」とうたわれたランナーはトラックでの実績はそれほどではない例が多く、その後の競技生活で世界に羽ばたくような活躍をした選手はあまりいない。ただ柏原の場合は「平場」での実績がもともとあった点で、従来型とは異なる。昨年は世界ジュニア選手権の一万メートルで7位になったほか、11月の全日本大学駅伝では学生陸上界のエースで北京五輪代表にもなった早大の竹沢健介を抑えて2区で区間賞を獲得するなどしている。かつて早大時代に5区で力を発揮した金哲彦氏が「走りが力強い。身体能力がよほど高いのだと思う」と驚くほどで、今後のトラックでの大成も楽しみだ。

 こうした新しいヒーローの出現は大歓迎だが、どうもすっきりしない気持ちが残る。チームの総合力が問われるはずの駅伝で、あまりにも特定の一つの区間が全体の勝負に占める割合が大きすぎはしないだろうか。柏原が9位でたすきを受けた時点で、トップの早大との差は4分58秒。5分近い大差があれば常識的には、この区間での逆転はよほどのアクシデントがない限り不可能である。それが可能となってしまうあたりに、駅伝として興ざめな部分がある。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2008年09月24日

学生陸上界の異常事態 世界に遅れる日本の男子長距離  

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 学生陸上界で最高峰であるべき大会が異常事態に陥った。

 9月12日から3日間、東京・国立競技場で行われた日本学生対校選手権。北京五輪代表の竹沢健介(早大)を含め、男子長距離のトップ選手の不出場が目立った。今年の箱根駅伝を制した駒大はチーム自体が不参加だ。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2008年05月21日

「末続世代」に注目の陸上界 集大成の北京五輪   

suetugu.jpg  野球界に「松坂世代」と呼ばれる黄金世代があるように、陸上界には2003年世界選手権(パリ)男子二百㍍銅メダルの末続慎吾(ミズノ)に代表される「末続世代」という言葉がある。末続のほか、男子棒高跳びの沢野大地(ニシ・スポーツ)、同走り高跳びの醍醐直幸(富士通)、女子走り幅跳びの池田久美子(スズキ)らは1980、81年の生まれで、米大リーグ、レッドソックスの松坂大輔と同じ学年になる。

 末続は東海大2年生だった2000年シドニー五輪で同年代に先駆けて日本代表となった。これに刺激を受けるように力を競い合った結果だろう。現在の陸上界の主力選手はこの年代に集中している。「ゴールデンエージ」は北京五輪でピークを迎えるべく、競技を続けてきた。だが、春先からの戦いぶりを見る限り、状況は苦しい。

  醍醐こそ2㍍27を5月3日の静岡国際で跳び、まずまずの状態だが、末続は5月10日の国際グランプリ大阪大会で百㍍を走っただけで、本来のスピードからほど遠い。6㍍86の日本記録を持つ池田も本調子とはいえず、沢野は故障で屋外の大会で全力を出しての競技はできずにいる。それぞれの選手が北京五輪代表選考会となる6月末の日本選手権(川崎)、8月の五輪本番にピークを合わせようとしているが、不安が残る。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2008年02月13日

「感動」の声には違和感 福士の初マラソン  

BS-0273__-200801271816_L.jpg 陸上女子長距離トラックのエース、福士加代子(ワコール)の初マラソンは壮絶なものとなった。1月27日の大阪国際女子マラソン。前半は快調に飛ばしながら、30㌔手前から失速し、最後はフラフラ。4度も転びながらゴールにたどり着くシーンは、痛々しく衝撃的だった。

 その姿にどんな印象を持っただろうか。テレビを通じて見た多くの人は「感動」したという。高校生のある有力女子選手も「スピードを生かして、ワンランク上のマラソンに挑戦したことは尊敬します。何回転んでもゴールを目指したところに感動した」と話した。現場で取材した立場から言えば、違和感を覚える。

 既に報じられているように、福士がマラソン挑戦を表明したのは12月中旬。ジョギングの量は以前から増やしてきたようだが、マラソンに向けた本格的な準備は1カ月半弱。通常、必要と言われる3カ月の半分の準備期間しか確保しなかった。一度に最も長く走った距離は30㌔程度。それも1回だけで、日本のマラソン練習の定番と言われる40㌔走は行っていない。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2007年10月17日

メディア側にも反省が必要 日本勢惨敗の世界陸上  

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日本勢が予想外と言える不振に終わった夏の世界陸上選手権(大阪)。閉幕から1カ月以上がたった今、報道に携わった立場で、その責任の一端を感じている。

 1991年東京大会に続く16年ぶりの国内開催。陸上人気を飛躍的に伸ばす絶好機と考えて、2年前のヘルシンキ大会で男子四百メートル障害銅メダルを獲得した為末大(APF)らが積極的にメディアに露出を繰り返した。
 男子棒高跳びの沢野大地(ニシ・スポーツ)、同走り高跳びの醍醐直幸(富士通)、女子走り幅跳びの池田久美子(スズキ)らも「メダル獲得」を目標として掲げ、競技場での応援を呼び掛けてきた。だが為末、沢野、醍醐、池田は決勝進出すら逃した。結果的には惨敗と言わざるをえない。
 ここで選手の実力不足と言うのは簡単。だが、選手の威勢のいいコメントを、そのまま伝え、周囲の期待感をあおるだけあおった、われわれメディアの姿勢にも反省が必要な気がする。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2007年07月11日

目先の好記録は要注意? 鋭いトップ選手の感性  

 調整の一環で出場した大会で、「ここに調子を合わせたわけではないのに、思ったより記録が良かった」と手放しで喜ぶ陸上の選手がいる。これが最近、好きではない。

 右肩上がりで成長するジュニア選手ならともかく、調整段階で「思った以上の記録」が出るのはピークが早すぎるというサインかもしれない。仕上がりの感覚と実際の記録にずれが生じたということは、肝心の大会で力を発揮できない可能性がある。目先の好記録を単純に喜ぶ選手がいると心配になる。

 その点でトップ選手の感性は鋭い。先の日本選手権(大阪)。今季初戦の男子ハンマー投げの室伏広治(ミズノ)は79メートル24で13連覇を飾ったが「感覚と実際の距離が1メートルぐらい違った」と首をひねった。「思ったより飛んだときもあった」というが、それで良しとはしない。原因を探り、8月末に開幕する世界選手権(大阪)にどう状態を合わせるかに集中する姿勢が伝わってきた。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。


2007年04月04日

人の一生左右するパワー 楽しみな陸上世界選手権  

 この夏、陸上の世界選手権が大阪にやってくる。メダル獲得が期待される日本選手は「現役のうちに地元で世界選手権があるなんて、一生に一度あるかどうか」と目を輝かせるが、記者にとってもそれは同じ。高校以来、陸上にかかわって人間として、今の立場でどう大会を盛り上げることができるか。あれこれと考えを巡らせる日々だ。

 ▽間近で「ヘイ、カール」

 前回、日本で開催された1991年の東京大会。当時大学3年生だった。中継テレビ局でアルバイトをする機会に恵まれ、連日、国立競技場に通った。実況のアナウンサーに、競技の経過状況などを知らせるのが主な業務内容のはずだった。実際に与えられたのは総合司会役の長嶋茂雄さんらをお世話をする仕事。男子百メートルを世界新記録で制したカール・ルイス(米国)に「ヘイ、カール!」とスタンドから巻き舌で呼び掛けたとき、間近にいた。マイク・パウエル(米国)の男子走り幅跳びの世界新記録に興奮し、男子マラソンの谷口浩美の金メダルや四百メートルの高野進の決勝進出にも感激した。毎日が刺激的だった。この大会前までは実は教員志望。だがスポーツを伝える現場に初めて身を置いたことで、気持ちが変わった。この大会にかかわることがなければ今の自分はなかった。

 

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宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。