47NEWS >  スポーツ >  スポーツリレーコラム >  佐藤 暢一

ライター名

スポーツリレーコラム

2017年05月02日

「リレーコラム」“大遅刻”の神宮デビュー 東大の40歳右腕、伊藤一志  

東京六大学野球リーグの新人戦「フレッシュリーグ」慶大戦に先発した東大3年の40歳、伊藤一志投手=15日、神宮球場 4月15日、新人戦「フレッシュリーグ」の慶大戦。朝8時とあってまだ肌寒い神宮球場の先発マウンドへ向かう投手に温かい拍手が送られた。
 40歳の元医師という異色の経歴を持つ東京六大学野球リーグ、東大の3年生伊藤一志だった。

 一回にいきなり連打で失点したが、直球とナックルボールで打ち取り2アウト。だが連続四球と遊撃手の失策でさらに失点を重ね、結果は打者9人に対して1回2安打3四球4失点(自責点1)だった。

 憧れの神宮デビューまでの紆余曲折を問われた伊藤は「40歳できたかったわけじゃなくて18歳できたかった。大遅刻ですね。でもやる以上は結果を出したかった。それができなかったのは自分の力のなさ」と悔しさをあらわにした。

 

続きはこちら



 佐藤 暢一(さとう・まさかず)2009年に共同通信に入社し、プロ野球楽天、西武などを取材。現在はアマチュア野球担当の32歳。学生時代にはフライングディスク競技、アルティメットに没頭。神奈川県横浜市出身。


2015年11月11日

日本シリーズで感じた士気の重要性 内川不在で団結したソフトバンク  

2連覇を果たして歓喜するソフトバンクナイン。試合には出られなかった内川聖一主将(上)も祝福の輪に加わった(2015年10月29日、共同) 2015年のプロ野球はソフトバンクが球団初の2年連続日本一を果たしてシーズンを終えた。プロ野球担当になって4年。毎年取材を通して色々なことを学んでいる。ことしは特に日常生活においても通ずるものを感じた。それは漠然と当たり前の目標を掲げているだけでは難しいということ。さらにもう一つ、目標に向けて人を突き動かす士気の重要性に気づかされた。

 10月24日。日本シリーズ開幕の前日だった。ソフトバンクの内川聖一外野手が肋骨を骨折していることが分かり、2連覇をかける大舞台を欠場することになった。チームに走った衝撃は大きかった。李大浩内野手が「彼がいなければリーグ優勝、クライマックスシリーズ(CS)は突破できなかった」と言ったように、レギュラーシーズンでは主将と4番の重責を一身に背負ってリーグ2連覇に貢献。CSファイナルステージの第1戦で、左翼の守備で打球を追ってフェンスにぶつかり、脇腹を痛めたが、その試合、さらに第2、3戦と全3試合で決勝打を放って最優秀選手賞に選ばれた。日本一への決戦を前に大黒柱の不在は大きな痛手となった。

 だが、それが逆にチームの結束と戦う意気込みのアップへと変わった。選手たちは「内川のためにも」という気持ちが大きくなった。試合中は背番号1のユニホームをベンチに掲げ、選手会長の松田宣浩内野手は内川選手の打撃用手袋をポケットに忍ばせて打席に入り、第1戦では先制のソロ本塁打を放った。代わりに4番に座った李大浩内野手は「内川選手は自分にとっては大きな存在。チームメートというだけでなく、同級生であり、友達であり、外国人の僕がスムーズにみんなになじめたのは彼のおかげ」という思いを抱きながら、5試合で2本塁打8打点の活躍で最高殊勲選手に輝いた。

 

続きはこちら



 佐藤 暢一(さとう・まさかず)1984年生まれ、神奈川県横浜市出身。2009年に共同通信に入社し、12年からプロ野球楽天を担当。15年からは西武を取材。学生時代にはフライングディスク競技、アルティメットに没頭。


2014年10月29日

秋晴れに感じる寂しさ 大久保新監督の下、楽天はどんな花を咲かせるか  

来秋、チームはどんな花を咲かせているだろうか。就任早々、秋季練習でノックバットを振る楽天の大久保新監督(中央)(2014年10月15日、共同) 最近、仙台の気候は心地よい。肌寒くはなってきているが、暑がりの私にはこのくらいの風がちょうどいい。透き通るような青空のもと、すがすがしい気持ちで「職場」に向かう。行き先は、担当しているプロ野球楽天の本拠地、Koboスタジアム宮城だ。
 チームは現在、秋季練習中だ。キャッチボールでの捕球音、守備練習で捕手が状況を確認する声、打撃練習での打球音、その打球がスタンドではねる音が、秋晴れの天気の下でよく響く。ぽかぽかとした陽気の中、練習を見ている。これが仕事の一つであるから、記者とは何と幸せな職業であろうか、とも思う。でも、昨年の秋とは気分が違う。誤解を恐れずに言えば、どうも張り合いがないのだ。優勝争いにも絡めず、最下位に終わったチームのシーズンオフは、もの寂しい。
 1年前は、そんなことは思えないぐらいの状況だった。球団創設9年目で初のリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズも突破。星野仙一前監督の永遠のライバル、巨人との日本シリーズに臨んでいた。11月3日、偶然すぎる巡り合わせ。東日本大震災が発生した3月11日の日付をひっくり返したその日、前日に160球で完投したエース田中将大が、リリーフ登板で九回のマウンドに向かう。登場曲の「FUNKY MONKEY BABYS」の「あとひとつ」を、観客が大合唱して迎える。そして、田中が最後の打者を三振に仕留めて悲願の日本一。映画でも見ているかのような場面が何度もあった。野球に限らず、プロスポーツはどれだけ見る人を熱狂させられるか、ということをあらためて感じた。
 退任した前任者に代わり、大久保博元氏が2軍監督から昇格し、チームは来季へ向けてスタートした。大久保新監督は「常勝軍団になるには厳しい鍛錬が必要」と秋季練習から早速、早出練習の「アーリーワーク」を導入。各選手の課題克服を目的とし、ベテランにも参加を促している。全体での投手と内野手の連係守備練習では、バント処理と一塁ベースカバー、二塁けん制と3ケ所に分かれ、時間で区切ってローテーションする方式をとるなど、効率的に質と量のバランスを配慮した練習をしている。メディアへの非公開練習も行い、サインプレーにも積極的に取り組んでいる。
 11月からの岡山県倉敷市での秋季キャンプでは、今よりも濃密な練習が待ち受けていることだろう。星野前監督は今シーズン中、低迷している状況を嘆きながらも「今の戦力でも3位には入れる。差は意識の違い」と話したことがある。「開花は春じゃない。(花は)秋に咲かせるものだ」とも言っていた。
 来シーズンに向け、選手がことしの結果を心底悔しがり、それぞれの課題を克服しようとする姿を取材できることを楽しみにしている。来年のこの時期、楽天はどんな花を咲かせているのだろうか。


【写真】来秋、チームはどんな花を咲かせているだろうか。就任早々、秋季練習でノックバットを振る楽天の大久保新監督(中央)(2014年10月15日、共同)

 

続きはこちら



 佐藤 暢一(さとう・まさかず)1984年生まれ、神奈川県横浜市出身。2009年に共同通信に入社し、大阪運動部で大相撲などを取材。12年からプロ野球楽天を担当。