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スポーツリレーコラム

2016年11月30日

追われる立場の難しさ カーリングのLS北見  

準決勝で中国に敗れ、肩を落とすLS北見の藤沢(左端)=義城(共同) 追われる立場の難しさを痛感させられる大会となった。11月前半に韓国の義城で開催されたカーリングのパシフィック・アジア選手権で、日本女子代表のLS北見は世界選手権の出場権を逃した。昨季、日本勢初の銀メダルを獲得した舞台に、今季は立つこともできなくなった。

 LS北見のメンバーは、大会前から「挑戦者の気持ちで戦う」と口をそろえていた。昨季の活躍で追われる立場となったが、アジアのライバル、韓国や中国も大きな実力差があるわけではない。気持ちの面で受けに回れば好結果はついてこないことは自覚していた。しかし、勝負どころの準決勝でショットの精度を欠き、経験豊富なスキップを擁する中国に敗戦。どんな状況でも笑顔でのびのびとプレーするLS北見らしさが欠けていたようにも見えた。2018年平昌冬季五輪を前に、日本に世界選手権の出場権をもたらせなかったことのショックは大きく、選手たちは膝を抱えて涙を流した。

 昨季の世界選手権では、優勝を逃した悔しさも強かったはずだが、日本勢初の表彰台に立った満足感も大きかったのではないか。イベントなどで快挙を祝福される機会も多く、いやでも「世界2位」という肩書を意識せざるを得ない状況になった。今大会終了後、サードの吉田知那美は「どこかで守る気持ちになっていた」と「挑戦者」になりきれなかった精神面を反省した。五輪2大会を経験している30歳の本橋麻里を除けば、全員が25歳以下の若いチーム。本橋も精神面を課題に挙げ、今後の大会に向け「いかに挑戦者の意識でいられるかが鍵になる」と同じキーワードを口にした。

 

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 中嶋 巧(なかじま・たくみ)1983年生まれ。仙台市出身。2007年7月共同通信入社。松江支局、大阪支社経済部を経て13年2月から運動部へ。アマチュア野球を中心に冬季競技など取材。


2015年02月18日

ロングとの二刀流に期待 ショートトラックのホープ、吉永一貴  

国体のスピードスケート少年男子1万メートルに挑む15歳のホープ吉永一貴(2015年1月29日、共同) スピードスケート・ショートトラックで注目のホープがいる。15歳の吉永一貴(愛知・名古屋経大市邨中)だ。昨年10月の全日本距離別選手権の1500メートルで優勝し、2018年平昌冬季五輪への成長が期待される。1月下旬から群馬県で開催された国民体育大会冬季大会では、日程の関係でショートトラックにエントリーできず、通常のスピードスケートである「ロングトラック」に出場した。

 高校生が中心の少年男子500メートルと1万メートルに出場し、結果はともに予選落ち。本職のショートトラックとは勝手が違い、特に1万メートルはショートにはない未知の距離で、後半は膝に手を置きながら息も絶え絶えになり「しんどかった」と振り返った。普段は大会の直前以外はロングの練習をすることはないというが、国体後に出場した全国中学校スケート大会ではロングの3000メートルで優勝と、同世代の中ではトップクラスの力を持っている。あくまで軸足はショートと強調しつつ「両方頑張っていけたら」と“二足のわらじ”を続けることに意欲的だ。

 スピードスケートではロングとショートのどちらもこなす選手は珍しくなく、12年の第1回冬季ユース五輪では女子の菊池純礼(現トヨタ自動車)が両方でメダルを獲得した。吉永の母で、現役時代はショートの国際大会で活躍した美佳さん(旧姓加藤)は「私たちの時代はみんな両方やっていた」と話す。

 

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 中嶋巧(なかじま・たくみ)1983年生まれ。仙台市出身。2007年7月共同通信入社。松江支局、大阪支社経済部を経て13年2月から運動部へ。アマチュア野球を中心に冬季競技など取材。


2014年05月07日

悩める中大の左腕・島袋洋奨 意地見せたい甲子園連覇の立役者  

亜大2回戦で先発した中大の島袋は、制球がままならず2回途中で降板した。(2014年4月8日、中嶋巧記者撮影) ことしの大学球界には秋のドラフト会議の上位候補に挙がる好選手が多く、「豊作」の年と位置付けられている。春のリーグ戦で有力選手はおおむね順調に滑り出したが、唯一気がかりなのは東都リーグ・中大の左腕、島袋洋奨だ。
 今春の開幕戦のマウンドに、エースの姿はなかった。秋田秀幸監督は登板回避の理由を「調子が悪く、ゲームをつくれるか不安だった」と説明した。その不安は翌日の4月8日、現実になる。2回戦に先発したが二回途中で降板。5連続を含む6四死球とまともにストライクが入らず、打者の背中の後ろを通るとんでもない球も。試合後は「情けない」と話すのがやっと。開幕前のオープン戦から不調で、コントロールを意識するあまりか腕を振り切れておらず、迷いをうかがわせた。指揮官は「ブルペンではいい球を投げるが、マウンドでは駄目。本人が一番悩んでいるだろう」と心中を察した。
 沖縄・興南高時代は打者に背中を向ける「トルネード投法」で甲子園を沸かせ、春夏連覇を達成。高校での実績や知名度はことしの4年生の中でもナンバーワンと言える。しかし、大学での歩みは順調とはほど遠い。10年近く優勝から遠ざかっているチームにおいて打線の援護に恵まれない試合も多いが、通算成績は11勝18敗(5月6日現在)と黒星が大きく先行している。2年時は過度な連投の影響もあってか左肘を故障。満足に投げることができなかった。3年生だった2013年は大きな故障もなく「肘はもう問題ない」と話していたが、本来の投球を取り戻せずに炎上を繰り返した。秋田監督は「昨年(12年)まではあんな球はなかった」ともらした。
 球速が150キロに達するなど、力が付いている部分も確かにある。一方で、制球面以外にも気になる点が昨年から散見される。甲子園では武器としていた、縦に大きく割れる変化球をあまり使わなくなったことだ。本人は「緩いカーブは使っていきたい」と口にし、練習や試合前のブルペンで投げることはあるが、何か意図があるのか、試合になれば投球の軸は直球とツーシーム。打者の目先を変えたり緩急を使ったりすることができず、追い込んでもファウルで粘られ、球数と四球が増える場面が目立つ。投球フォームも高校の時よりは小さくなっており、対戦打者からは「タイミングは(以前ほど)取りにくくなかった」との声も聞こえた。打者からすれば「いやらしさ」を感じなくなっているのではないか。ことしのドラフト候補には安楽智大(愛媛・済美)高橋光成(群馬・前橋育英)といった高校の注目投手もおり、今の低調が続くようなら島袋の存在感は薄れるばかりだ。
 最終学年を迎え、大学球界では珍しく投手ながら主将に指名された。周囲からの信頼と期待は変わっていない。「目標は優勝と自分の『借金』をなくすこと」と本人にもこのままでは終われないという意地がある。高校時代からプロの注目を集めながら「自分には足りないところがある」と中大に進んだ島袋。残りは1年を切っている。その「足りない物」を埋めることはできるだろうか。


【写真】亜大2回戦で先発した中大の島袋は、制球がままならず2回途中で降板した。(2014年4月8日、中嶋巧記者撮影)

 

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 中嶋巧(なかじま・たくみ)1983年生まれ。仙台市出身。2007年7月共同通信入社。松江支局、大阪支社経済部を経て13年2月から運動部へ。アマチュア野球を中心に取材。


2013年11月13日

派手な感情表現は「ご法度」?! 奥深い野球のマナー、流儀  

 力投するオリックスのエース金子千尋(2013年9月24日のソフトバンク戦、共同)マナーや流儀は日本と米国、アマとプロといったように、プレーする環境によって様々な違いがある。少し前の話だが7月の日米大学選手権第5戦で学生野球では珍しく、あわや乱闘かという場面があった。直接のきっかけとなったのは日本選手が死球を受けたことだが、その前に伏線があり、別の日本選手が本塁打を放ってガッツポーズをしたことなどで米国ベンチが「態度が良くない」と指摘していた。

 派手なガッツポーズや雄たけびは対戦相手への敬意を欠くとされ、特に米国は日本に比べてタブー視する向きが強い。第5戦は勝った方が優勝という状況だった。貴重な本塁打を打ったことで、選手は喜びを抑えきれなかったのだろう。普段は日本の野球を見ている身にとってはそこまで派手なパフォーマンスに思えなかったが、米国選手からすれば不快だった。そう考えるともし楽天の田中将大投手が米大リーグに挑戦した場合、マウンドで1回転するようなガッツポーズは「ご法度」となるのだが…。あの気迫に満ちた姿を見られなくなると思うと、ちょっぴり寂しい。

 プレー中に投手が笑顔を見せることにも、アマチュアに比べプロは厳しいようだ。先日のクライマックスシリーズで好投した巨人の菅野智之投手に対し、原辰徳監督が「にやけていた」と苦言を呈したという。昨年はソフトバンクの高卒ルーキー、武田翔太投手がマウンドでにこやかな表情を浮かべることにも賛否があった。高校野球では笑顔を見せる投手が多いが、それが問題になったという話はあまり聞かない。

 

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 中嶋巧(なかじま・たくみ)1983年生まれ。仙台市出身。2007年7月共同通信入社。松江支局、大阪支社経済部を経て13年2月から運動部へ。アマチュア野球を中心に取材。