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スポーツリレーコラム

2017年06月14日

「リレーコラム」野茂抜く、歴史的場面に興奮 絵になる投手、楽天・則本昂大  

プロ野球新記録の7試合連続2桁奪三振を達成し、記念のボードを掲げる楽天の則本昂大投手=1日、仙台市のKoboパーク宮城 プロ野球担当になって11年目で、毎年100試合以上は見てきた。それでも、歴史的な場面を目の当たりにすると興奮する。

 6月1日だった。楽天の則本昂大が巨人戦で野茂英雄(当時近鉄)を抜き、プロ野球新記録の7試合連続二桁奪三振(12日時点で8試合連続2桁奪三振に更新中)を達成した瞬間はまさにそれだった。

 3―2の八回に10個目の三振を奪っても笑顔も見せず、淡々としていた。
 ただ、球場内は大盛り上がり。「ファンの人たちの声援で、今までなかった力が出た」と熱気に後押しされるように、そこからまた一段、投球のレベルが上がった。

 

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 浅山 慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。相撲、ゴルフなどを経て、プロ野球担当に。阪神、ロッテ、巨人などを担当。愛媛県出身。


2017年04月12日

「リレーコラム」野球楽しむ姿が印象的 WBCのオランダ代表  

キューバ―オランダの3回、バレンティン(手前)の2打席連続本塁打に大喜びのオランダベンチ=東京ドーム 日本の優勝はならなかった第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を取材し、今もさまざまなシーンが脳裏に焼き付いている。なかでもオランダ代表の面々のことが印象的だった。

 2大会連続で4強入りする実力を誇るチーム。国を代表している重圧もあるだろうに、野球を楽しんでいるのがよく分かった。ミューレン監督も「集まると、子どものように、わくわくしながらやっている」と口にしていた。

 前回大会以上に集まったメンバーは豪華だった。米大リーグで昨季21本塁打を放ったボガーツ(レッドソックス)や、20本塁打を放って名門球団で正遊撃手を務めているグリゴリアス(ヤンキース)、25本塁打のスクープ(オリオールズ)に、堅守のシモンズ(エンゼルス)、売り出し中のプロファー(レンジャーズ)。準決勝からは通算189セーブのジャンセン(ドジャース)も加わった。それらの顔触れに、日本球界で大活躍をしているバレンティン(ヤクルト)とバンデンハーク(ソフトバンク)も入った。

 

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 浅山 慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。相撲、ゴルフなどを経て、プロ野球担当に。阪神、ロッテ、巨人などを担当。愛媛県出身。


2016年03月09日

紳士的な態度、厚い人望 巨人の高橋新監督  

キャンプ最終日の練習を笑顔で見守る巨人・高橋監督=那覇(2月25日、共同) 「覚悟」と言う言葉を繰り返し、現役引退と同時に伝統球団の監督に就任した。立場が大きく変わっても、感覚はまだ選手に近く、第一に選手のことを思いやる。チームとしての成熟も必要だが「まずは一人一人が強くなることが大事と思っている」。巨人の高橋由伸新監督だ。

 口数は決して多くないが、その紳士的な態度、小さな気配りを欠かさない性格で、現役時代から裏方も含めて周囲の人望は厚かった。チームを率いる立場になっても、その姿勢は変わらず、キャンプ中もさりげない言動で選手を楽にさせた。新外国人のギャレット・ジョーンズは真面目な性格で、周りの助言に素直に耳を傾け、それを受け入れてきた。ただ、その中には培ってきた理論に合わないアドバイスがあるかもしれない。米大リーグ通算122本塁打の実績を持つ強打者のプライドを尊重し、高橋監督は「今までやってきた調整法もある。遠慮することなく、意見を言いなさい」と声を掛けた。

 新人の重信慎之介(早大)は、初の環境でキャンプ初日から張り切っていた。実戦でも好結果を残し、マスコミにも大きく取り上げられた。監督は心身ともに蓄積した疲労を気に掛けたのだろう。キャンプも終盤に差し掛かったころ、練習中のルーキーのそばに自ら歩み寄り、アマチュア時代の練習方法などを聞きながら「疲れていないか? 実戦が続くから、しっかりケアをするように」と言い添えた。何げない言葉だが、その心遣いが重信には響いたという。

 

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 浅山慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。相撲、ゴルフなどを経て、プロ野球担当に。阪神3年間、ロッテ2年間のカバーを経て12年から巨人担当。愛媛県出身。


2014年05月14日

あの手この手でファンサービス 消費税増税で球界も危機感  

DeNAに圧勝しファンの声援に応える(左から)満塁本塁打の巨人・アンダーソン、プロ初本塁打の小林、勝ち越し打の井端(2014年5月7日、共同) 消費税が8パーセントに上がり、ふとしたところで値上がりを実感する。4月1日の朝、いつものようにコンビニで数紙のスポーツ新聞を手にし、レジまで持っていったが用意していた額よりも数十円高かった。「そっか、消費税が上がったからか」と複雑な心境になった。たかが数十円のことだが、増税を実感した。
 プロ野球の球団にとっても、今回の増税はマイナスになることは避けられない。巨人の桃井恒和球団社長は「料金に見合った満足できるものをファンに提供しなければいけない」と危機感を口にする。試合内容の充実はもちろん、ファンサービスもより必要になってくる。ここ数年の巨人は、イベントなどに力を入れている。例えば、「橙魂(とうこん)デー」。選手がオレンジ色のユニホームを身につけ、来場者には全員にオレンジ色のユニホームをプレゼントする企画で人気だという。巨人だけではなく、同様の企画は他球団でもよく実施されている。「おまけ」に人は弱いもので、この「橙魂デー」の試合後は東京ドームの最寄りの水道橋駅では、オレンジ色のユニホーム姿で千鳥足で帰っていくファンがやたらと多い。ほかにも「レディースデー」や「生ビール半額ナイター」などもある。
 試合の企画以外でファンに最も喜ばれているのは、練習見学ツアー。ベンチ前で、間近で練習する選手を眺められる。ファンサービス担当者は「テレビのニュースなどでは試合のシーンしか見られない。フィールドまで降りて、選手を近くで見られるのをすごく新鮮に感じるようです」と語る。球団ホームページ(HP)を見れば、多種多様なイベントが掲載されている。
 その球団HPも、ファン層拡大のためにひと役買っている。2003年からチームカメラマンを務める鈴木一幸さんは「売りは速報の写真」と言う。試合中、リアルタイムで活躍した選手の写真などを何枚も、とにかく多く載せている。練習中の写真も多い。「(練習は)限られた人しか見られない。できるだけオフショットを撮るようにしている」と鈴木さん。素の選手を見て、より身近に感じてもらおうという思いからだ。写真を見たファンから感謝の言葉を伝えられることもあるという。
 私は愛媛県出身で身近に球団がなく、数えるほどしか観戦に行ったことがないが、子供のころに見たプロ野球は今ほど華やかなものではなかった。単に、野球を見るためだけに行っていた気がする。野球通の玄人には、それがいいのかもしれないけど。桃井社長はコアなファンを固めるとともに「ライトユーザー(最低限の利用者)とも言うべき層に対し、来場のきっかけをつくってファンの幅を広げる。きっかけ、誘いの要素を出せるかどうかが頭の使いどころ」と言った。野球にそんなに興味がない人にも門戸を広げようと、ファンサービスの充実を図っている。
 5月2日、プロ野球のセ・パ両リーグが開幕してからひと回りした1日時点の観客動員数が発表された。昨季と比べ、1試合平均でセが4・8%増の2万8089人、パが1・6%増の2万1123人だった。現状ではファンはスタジアムに足を運んでいる。ただ、まだたった1カ月。消費税増税の影響は、楽観視はできない。あの手この手のファン獲得作戦は、実を結ぶか。


【写真】DeNAに圧勝しファンの声援に応える(左から)満塁本塁打の巨人・アンダーソン、プロ初本塁打の小林、勝ち越し打の井端(2014年5月7日、共同)

 

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 浅山慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。相撲、ゴルフなどを経て、プロ野球担当に。阪神3年間、ロッテ2年間のカバーを経て12年から巨人担当。愛媛県出身。


2013年08月21日

繊細で鋭い一流投手の感覚 驚かされた杉内俊哉のスライダー  

力投する「ドクターK」杉内俊哉投手(9勝目を挙げた2013年8月17日の対中日戦から、共同) 一流投手が持つ感覚は繊細で鋭く、そして独特だ。凡人の私は、話を聞きながら「う~ん…」と頭を悩ませるケースも出てくる。6月上旬のある日。プロ野球・巨人の左腕、杉内俊哉の発想に驚かされた。

 それまで開幕から調子が上がらず、杉内は決め球であるスライダーの精度に納得がいっていなかった。「曲がりが大きくて、打者がワンテンポ待てる球になっていた」と自ら分析した。本来、杉内のスライダーは打者の手元で鋭角に曲がり、速球だと思って振り始めた打者はどうしようもなく、面白いように空振りしてくれる。通算でプロ野球歴代4位の57度の2桁三振(8月18日現在)を奪った「ドクターK」の大きな武器である。今季は切れが悪く、曲がり始めも早い(言い換えれば、これまでよりも投手寄りで曲がり始める)ために、打者にとって見極めやすい球となった。空振りを奪えずに、当てられてしまった。

 この日のブルペンでスライダーを念入りに投げ込んだ。手応えをつかんだのか、途中からは表情も明るく、気持ち良さそうに投げた。練習後、開口一番「スライダーが良かった」と納得の口調で振り返った。何を修正し、どう変えたのか、本人に聞いた。球の握り?「一緒です」。では、投球フォーム?「いえ」。じゃあ、腕の振り?「変えていないです」。答えは「意識を変えた」だった。打者の手元で、切れよく、速く曲がるようにと意識付けし、投球を繰り返したと言う。「投げながら『曲がれ!!』と念じるんです。『びゅっと』曲がれと」と左腕は笑う。これまで何千何万球と投げ、理想の腕を振る角度や速さ、指先の微妙な力の入れ加減などを体が覚え、意識づけを変えるだけで自然と球筋も変わったのだろう。念じたから曲がったのではなくて。と、杉内の話を聞きながら推測した。

 

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 浅山慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。相撲、ゴルフなどを経て、プロ野球担当に。阪神3年間、ロッテ2年間のカバーを経て12年から巨人担当。愛媛県出身。


2012年07月04日

ストイックな生きざまに驚き 筋トレいちずの巨人・沢村拓一投手  

筋力トレーニングの効用を信じて疑わず力投する沢村投手(6月8日の西武戦、共同) 中大時代から鍛え上げた肉体は、さらにたくましさを増した。プロ2年目を迎えた巨人の沢村拓一投手は今まで以上に筋力トレーニングに励み、食事の量、回数も増やした。オフの間だけで、体重は6、7キロも増加。下半身の分厚さは、強靱な肉体が並ぶプロ野球選手の中でもひときわ目立つ。大きくした理由は「相手を制圧するため」。圧倒的な球威で打者をねじ伏せていく投球を目指している。

 巨人担当1年目で、特に驚かされるのが沢村のストイックさだ。筋力トレーニング中はマウスピースをつけ、うめき声を上げながら重い負荷を上げていく。休養日をつくる選手も多くいるが、沢村はほぼ毎日、ウエート場に足を運ぶ。自らの肉体を深く知ろうと、500ページ以上はある解剖学の専門書を読破。読んだだけではなく、内容も頭の中に入っている。取材中、どこにどんな筋肉があるのか解説してくれる時もあるが、聞いている報道陣には分からない専門用語がつらつらと出てくる。自分の肉体を深く探求する沢村らしい言葉が聞かれたこともあった。

 キャンプ中。大きくなった体になじまず、最初は投球フォームがばらばらだった。中盤を過ぎたころ、実戦でようやく納得がいく球を投げることができた。理想の動きに近づき、沢村は「筋肉が動きを獲得し始めている」とうれしそうだった。これまでスポーツ選手を何人も取材したが、初めて聞いた独特の言い回しだった。一つ一つの筋肉の動きに気を配っているからこそ、自然と口を突いて出た言葉だった。

 

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浅山慶彦(あさやま・よしひこ)2004年共同通信入社。2年間の相撲、ゴルフ担当を経て、プロ野球に。阪神、ロッテと担当し、ことしから巨人担当。愛媛県出身