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スポーツリレーコラム

2016年09月14日

何を引き継ぎ、何を変えるか 新HC迎えたラグビー日本代表  

 「こんにちは、皆さん。ジョセフでございます」。第一声は愛嬌たっぷりの日本語だった。ラグビー日本代表の新ヘッドコーチ(HC)に決まっていたジェイミー・ジョセフ氏が正式に就任した。エディー・ジョーンズ前HCが率いて強豪の南アフリカ代表から金星を挙げて間もなく1年。ホスト国として迎える2019年ワールドカップ(W杯)では何より結果が求められる。鍵になるのは、歴史的3勝を挙げた15年W杯から何を引き継ぎ、何を変えるかだろう。

 どういう戦術をとるのか執拗に聞きだそうとする報道陣に対し、ジョセフ氏は「私はエディー(ジョーンズ前HC)ではない。今までやってきたことをそのまますることはしない」とはっきり宣言した。

 ジョーンズ前HCの日本代表は、相手に攻撃権を与えないためキックを極力使わず、パス主体に攻めを継続するのが特徴の一つだった。互角に渡り合っては身体能力で劣る日本が負ける。そのため、守備の時間を減らしながら好機をうかがうのが狙いだった。ただ、世界を見ればキックを活用するのが主流。ジョセフHCは「キック」をキーワードに挙げ、「世界の傾向はキッキングゲーム。賢いチームが勝つ。キックのスキルが求められる」と説いた。

 

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 渡辺 匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニス、スケートなどを担当。東京都出身。


2016年04月27日

険しかった初勝利への道 2019年W杯を見据えるサンウルブズ  

スーパーラグビーの初勝利を喜ぶサンウルブズのフィフティーン=秩父宮(共同) 待ちに待った瞬間が訪れた。スーパーラグビー(SR)に今季参入したサンウルブズが4月23日、東京・秩父宮ラグビー場でジャガーズ(アルゼンチン)に36―28で逆転勝ちし、初勝利を収めた。SRは攻撃的なラグビースタイルが特徴で、世界の潮流をつくり出すと言われる最高峰の大会。シーズン前は、日本代表選手が中心となるチームも編成が遅れては勝つのも難しいだろうと思っていた。第2戦での1点差の惜敗。その後も接戦を演じたので、1勝目は時間の問題かと期待を抱きもしたが、やはり道は険しかった。

 象徴的だったのは4月15日、南アフリカのブルームフォンテーンでのチーターズ戦だった。100点取られればミスマッチと言われる世界で17―92という記録的な大敗を喫した。場所は、1995年のワールドカップ(W杯)で日本代表がニュージーランド代表のオールブラックスに17―145で敗れた因縁の地。再びの悪夢に、大きな衝撃を受けた。驚きを隠せなかったのは私だけではない。地元記者でさえ試合が終わると「予期せぬことが起こった」と大声を上げた。

 今や南アフリカのファンで日本ラグビーのことを知らない人はいない。昨年のW杯1次リーグ初戦。20年以上も勝てなかった日本が2度優勝の「巨人」南アフリカを倒した。その失望は今も色濃く残り、「あれでスプリングボクス(南アフリカ代表の愛称)は目が覚めた」と前向きに捉えるファンもいれば、あるファンは「もうその話はやめよう。確かに日本は強くなった。でもまだまだだ」と悔しそうに苦笑いする。

 

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 渡辺 匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニス、スケートなどを担当。東京都出身。


2015年11月25日

時の人、五郎丸は言葉も魅力 日本開催の19年W杯へ強い思い  

ワールドカップ・ラグビー1次リーグ米国戦の前半、PGを狙う五郎丸歩(2015年10月11日、共同) 取材に向かったある日、年配のタクシー運転手がつぶやいた。「ラグビーは良く知らないんですけどね、あの何だっけ。船の名前みたいな。そうそう…」。これだけでも誰のことを指しているか、大抵の人には説明するまでもないだろう。

 ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で歴史的3勝を挙げた日本代表FB五郎丸歩(ヤマハ発動機)はまさに時の人となった。「ラグビーブームじゃなくて、五郎丸フィーバー」と表現されることは少し悲しい気もするし、本人も不本意だろう。それでも、現段階ではおそらくそれが現実だ。

 これだけの人気を誇る理由は何か。珍しい名前や精悍(せいかん)な顔立ちはもちろんのこと、ただでさえキックを蹴る役割で目立つのに、「拝みポーズ」というおまけまでついた。実力も申し分ない。これほど条件がそろっている人はなかなかいないが、おそらくそれだけではない。言葉の力も大きな魅力の一つではないか。

 

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 渡辺 匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニス、スケートなどを担当。東京都出身。


2015年02月11日

ワウリンカに四大大会の厳しさ痛感 錦織のさらなる成長に期待  

全豪オープンテニスの男子シングルス準々決勝で、前回覇者のワウリンカ(左)に敗れた錦織圭=28日、メルボルン(共同) テニスの四大大会第1戦、全豪オープンが1日に幕を閉じた。日本人として四大大会初優勝が期待された錦織圭(日清食品)は3年ぶりのベスト8入りを果たしたものの、準決勝には進めなかった。128選手が出場し、優勝まで7試合を戦う世界最高峰の大会を勝ち抜くのは難しい。そのことを痛感させたのが、準々決勝で錦織に完勝しながらも、準決勝で敗れて2連覇を逃したスタニスラス・ワウリンカ(スイス)の言葉だった。

 スイスのテニス選手といえば四大大会17勝のロジャー・フェデラーがすぐに思い浮かぶ。「第2の男」だったワウリンカは昨年の全豪オープンで優勝し、一躍脚光を浴びた。昨年11月の国別対抗戦デ杯決勝では母国の初優勝に貢献し、今季ツアー初戦も制した。昨年終盤から、これまでにない充実ぶりで全豪に臨んだ。

 4回戦まで落としたのはわずか1セット。フェデラーが3回戦で敗退する波乱が起きる中、安定感は抜群だった。迎えた準々決勝の錦織戦は、序盤から武器である片手バックハンドのクロス、ストレートがさえ渡った。

 

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 渡辺匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニス、スケートなどを担当。東京都出身。


2014年06月04日

“聖地”解体に寂しさつのる ガンバレ!日本ラグビー  

往年の名選手たちが集った「レジェンドマッチ」。全盛期とは隔たりのあるスタンドの熱気を彼らはどう受け止めただろうか(2014年5月31日、共同)
 2019年ラグビーワールドカップ(W杯)や20年東京五輪・パラリンピックなどに向けて解体、改築される国立競技場が先月末、56年の歴史に幕を下ろした。国立はラグビーの歴史においても数々の名シーンが生まれた“聖地”。5月25日にアジア5カ国対抗の最終戦、日本―香港が最後のスポーツ大会として開催され、31日のお別れイベントでも往年の選手による「レジェンドマッチ」が行われた。二つのイベントを通して感じたのは、日本ラグビー界の全盛期の熱気と現在の低迷ぶりの違いだった。
 31日、締めを飾ったのは早大と明大のOBによる「早明戦」だった。年代別で対戦したが、中でも明大の吉田義人さん、早大の清宮克幸さん、堀越正己さんらがそろった40代同士の試合は大きな声援を浴びた。
 終盤、早大の背番号「11」の選手がトライ後のゴールキックで助走するために後ろに下がった時、「イーチ、ニー、サーン…」とスタンドから声が上がった。1987年12月の「雪の早明戦」に1年生で出場するなど人気を集めた今泉清さん(46)が現役時代、プレースキックをする時におなじみだった掛け声だ。実はこのレジェンドマッチでは、早大チームには「11」をつけた選手がグラウンドに2人いた。今泉さんと、元日本代表で活躍した増保輝則さん。少し前にオーロラ・ビジョンで増保さんが映し出されたからか、ゴールキックを決めた直後のアナウンスでは「増保」とコールされた。だが、正解は今泉さん。当時に比べて太めの体形になったものの、ファンはよく分かっていた。
 「イーチ…」の掛け声は今泉さんが大学1年の時、早慶戦で受けた相手ファンのやじから始まったという。「一向にやめてくれないから、だったら自分を応援してくれる声だと思って…」と開き直り、その姿にファンも乗った。観衆を味方につけたルーキーは、その後の早明戦や翌年1月の日本選手権で重要なキックを決め、一躍スター選手となった。
 今泉さんはレジェンドマッチに向けて早大で練習したが、ことごとくキックが決まらず、現役学生からからかわれたそうだ。それが、この“国立最後のキック”で左サイドからの難しい角度をど真ん中に決めてみせた。「僕は国立で一人前の選手にしてもらった」。多くのファンの声援に支えられて成長した、記憶に残る選手だった。
 一方、25日の日本代表戦は観客が伸び悩み、寂しさが残った。試合前のイベントでは2019人を集めて人文字をつくるはずだったが想定を下回り、子どもたち対象という制限をなくして人を呼び込み、さらに協会関係者も加わった。それでも、集まったのはわずか600人余り。事前の準備が不十分で、関係者によると、その一因には日本協会の財政状況の苦しさもあった。ある幹部は「僕らもじくじたる思いがある」と悔やんだ。
 ラグビー人気はなかなか回復の兆しが見えない。W杯での勝利に20年以上も見放され、日本代表戦は観客減が指摘される。劇的な収入増は難しい一方、来年にW杯が控える15人制日本代表、さらには16年リオデジャネイロ五輪で実施される7人制男女代表、19年W杯日本大会を見据えた若手育成と、最も大事な強化費は増加の一途をたどる。日本ラグビー界はまさに正念場を迎えるが、寂しかった人文字は現在の苦境を象徴していた。
 31日、イベントのフィナーレでは、バックスタンドに「SEE YOU IN 2019」の文字が浮かび上がった。20年東京五輪の盛り上がりに埋もれそうだが、新国立競技場では五輪よりひとあし先にラグビーW杯が行われる。5年後、生まれ変わった満員の国立競技場で、将来まで語り継がれるようなラグビーの名場面、名選手が誕生することを願っている。


【写真】往年の名選手たちが集った「レジェンドマッチ」。全盛期とは隔たりのあるスタンドの熱気を彼らはどう受け止めただろうか(2014年5月31日、共同)

 

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 渡辺匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニスなど担当。東京都出身。


2013年08月14日

日本代表HCの成果と不安 ラグビー・ウェールズ戦での歴史的勝利  

ウェールズ代表を下し歴史的勝利を喜び合うラグビー日本代表のジョーンズHC(左)と広瀬主将(2013年6月15日、共同) ラグビーの日本代表が現在北半球で最強と言われるウェールズ代表に勝利した。もう2カ月前のことになるが、欧州6カ国対抗出場チームに勝ったのは1989年のスコットランド戦以来24年ぶり2度目だった。6月15日にほぼ満員の秩父宮ラグビー場で挙げた歴史的勝利は、2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会だけでなく、19年ワールドカップ(W杯)日本大会に向けても明るい話題となった。ただ、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は大きな成果を得るとともに、将来の日本に不安も募らせている。

 1番の成果はジョーンズHCが「気持ち、闘争心。80分間やり続けることができた」と言うように、勝ちきれたという点だろう。

 日本はパシフィック・ネーションズカップで初戦のトンガ戦に続き、6月1日のフィジーにも敗れた。ウェールズとの初戦はその1週間後。日本人で初めて世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」入りしたSH田中史朗らが合流したのは大きいが、短期間で突然地力が一気にアップしたとは考えにくい。田中が「そんなに強いと感じなかった」と指摘したように、今回のウェールズはまさに2軍メンバーだったというのが正直な感想だろう。

 

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 渡辺匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニスなど担当。東京都出身。


2012年10月31日

発展途上、活気づくラグビー女子   16年リオ五輪の7人制実施で  

W杯地区予選で獲得したメダルを披露する中村千春主将(左)と浅見敬子ヘッドコーチ(10月9日、東京都内で、渡辺匡撮影) 2016年リオデジャネイロ五輪でラグビーが実施される。種目は日本で見慣れた15人制ではなく、スピードある展開が魅力の7人制が採用された。五輪に向けて注目が集まる中、女子の日本代表が貴重な国際強化の舞台となる7人制のワールドカップ(W杯)のアジア地区予選で3位となり、来年6月にロシアで開かれる本戦出場権を獲得した。サッカー女子の「なでしこジャパン」も五輪より以前に開催されたW杯でブレークしたこともあってか、メディアの関心も高まってきた。

 驚いたのは帰国後の会見で中村知春主将が発した言葉だ。「W杯の目標は世界一。組織力を磨けば五輪金メダルも取れる」と言い、報道陣の反応ぶりを感じてか「声高に言いたい」と付け加えた。冷静に見るとアジアで3位。正直、現時点では世界上位にはまだまだ遠い。だが、ほかの選手も「金メダル」と迷いなく口にした。「優勝する」「金メダルを取る」という言葉はスポーツを取材していると珍しくはないが、これほどまでの“すがすがしさ”は、なかなかなかった。

 背景の一つに「成長の余地」があった。今の代表メンバーを見れば、他競技からの転向組が目立つ。ラグビーを始めて8カ月という選手もいる。その分、太田治チームディレクターは「やればやるほど成長する」という。いわば乾いたスポンジだ。

 

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渡辺匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニスなど担当。東京都出身。


2012年06月27日

ラグビー代表、一筋縄ではいかないチーム強化 怒りあらわのジョーンズ監督  

ベンチから大声で指示を飛ばすエディー・ジョーンズHC(中央)だが、チーム強化は思い通りには運ばない(5月5日のUAE戦=福岡=から、共同)「ぶち切れた」という表現がぴったりだった。6月20日、ラグビーのフレンチ・バーバリアンズ戦の記者会見で、日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチは「ひどいパフォーマンスだった。選考を考え直さないといけない。本当に勝つ気はあるのか」と最後まで怒りは収まらなかった。成長を促すために刺激を与える意味があったのだろう。「私は我慢強い」と言っていた本人が、報道陣を前に真っ先に感情をあらわにした。日本ラグビー界を変えるには、世界的な名将でも一筋縄ではいかないということだろう。


日本ラグビーは、世界を知って人気が低迷したと言っても過言ではない。「6万人で国立競技場が満杯になった」というのも今は昔。さまざまなスポーツが次々と世界で活躍する一方、ラグビーはワールドカップ(W杯)で既に20年以上勝ち星がない。6月10日のパシフィックネーションズ・カップで、日本代表がトンガ代表と対戦した試合の観衆は7719人。すぐそばの国立競技場で行われたサッカー女子のプレナスなでしこリーグでは、IN神戸と日テレという首位決戦で観衆は1万6663人と倍以上だった。「6万人」を知らない世代の私にとっても、スタンドに出て寂しさを感じることが多い。

 人気低迷というひと言では済まされない特別な事情がある。2019年W杯の日本開催だ。参加チームは20チーム、計48試合を開催し、サッカーW杯より長い約6週間にわたって行われる。過去に開催したのはニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなど名だたる強豪国ばかり。収入の大部分をチケット販売に頼らざるを得ないという課題を乗り越えられるか、大きな不安が残る。

 

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渡辺匡(わたなべ・ただし)2002年共同通信入社。和歌山支局、大阪社会部などを経て11年から運動部。ラグビー、テニスなど担当。東京都出身。