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スポーツリレーコラム

2015年01月21日

難しい「最優秀選手」の基準 ロナルド選出に釈然としない思い  

「FIFAバロンドール」に2年連続で選ばれ、トロフィーを抱えるポルトガル代表FWクリスティアノ・ロナウド(2015年1月12日、FIFA提供・ゲッティ=共同) 「最優秀選手」の基準をどこに置くか。人によって見解の分かれる、難しい問題だと思う。国際サッカー連盟(FIFA)は12日、2014年の最優秀選手「FIFAバロンドール」にポルトガルのFWクリスティアノ・ロナルド(レアル・マドリード)を選んだ。母国の英雄が2年連続3度目の受賞を果たして大騒ぎするポルトガル報道陣を横目に、若干釈然としない思いも残った。

 一見すれば、妥当な選出とも言える。ロナルドは欧州チャンピオンズリーグ(CL)でレアル・マドリードに12シーズンぶりの優勝をもたらし、史上最多となる「デシマ(10度目の優勝)」達成の立役者になった。CLの13試合で大会最多記録を更新する17得点をマークしたのをはじめ、スペイン1部リーグでも得点を量産。常人離れしたそのスピードや正確で強烈なシュートなど、華のあるプレーは何度現場で目にしても記憶に焼き付く。一人のアスリートとして「最優秀」に値するパフォーマンスを見せたことは間違いない事実だ。

 一方、2014年はワールドカップ(W杯)ブラジル大会が行われた年であり、W杯で優勝したドイツの強さは印象的だった。もともと勤勉で労を惜しまないドイツの選手たちが、南米の選手たちに大きく引けを取らない技術や戦術眼を身につけた結果、圧倒的な強さを示した大会だったと思う。その中でもバロンドールの最終候補3人に残ったGKマヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)は、
 まさに守護神と呼ぶにふさわしい堅守を披露した。特にペナルティーエリアの外に飛び出し、最後尾のフィールドプレーヤーとしてピンチの芽を次々と摘み取っていったプレーは、GKの新たな可能性を示したという点で画期的だった。

 

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 日高 賢一郎(ひだか・けんいちろう)1976年生まれ。2001年共同通信社入社。大阪運動部、広島支局、東京運動部を経て13年からロンドン支局。国内では主にプロ野球の広島、巨人などをカバー。サッカーは昨年のブラジル大会などW杯を取材し、女子W杯は11年ドイツ大会で優勝した「なでしこジャパン」を担当した。


2013年10月23日

欧州駐在で実感する言葉の壁 「英語の勉強を」と松山英樹  

全英オープン第3ラウンド、17番で第2打を放った後、競技委員にスロープレーによる反則を告げられる松山英樹(左端)(2013年7月21日、共同) ロンドン赴任から9カ月。欧州各地に取材に行き、主に日本選手の活躍を追ってきた。取材をする中で特に最近、「ランゲージ・バリア」の存在を実感する。直訳すれば「言葉の壁」。日本語は日本以外で公用語になっておらず、世界的には特殊な言語だ。その日本語を母語にする選手たちが、海外で戦う時、技術や環境に加えて、いや応なく言語の壁にもぶつかることになる。


 7月に行われたゴルフの全英オープン選手権では松山英樹がスロープレーを注意され、1罰打を科された。その時に競技委員から警告を受けたが、松山は完全に内容を理解したとは言えない状況だったようだ。裁定したロイヤル・エンシェントクラブ(R&A)の担当者は「もし彼が、英語が苦手であったとしても、ここで戦う以上、それは考慮していられない」ときっぱり。あらためて“アウェーの厳しさ”を実感させられた。松山自身、最初は「英語が中途半端に分かって気になるぐらいなら、全然分からない方がいい」と語っていたが、最終日には「英語の勉強もしないといけない」と口にした。


 8月の陸上の世界選手権では、心理面に与える影響も感じた。棒高跳びで自己タイの5メートル75を跳び、6位に入賞した山本聖途(中京大)は「ユニバーシアードで友達もでき、リラックスして試合に臨めた」と言った。かたことであっても英語で試合の前後に言葉を交わすことで、普段通りの力を発揮できたという。初の海外遠征だった1年前のロンドン五輪では「まったく他の選手の輪に入れなかった」と孤独を感じてペースをつかめず、記録なしに終わった選手だと聞いていただけに、その変貌ぶりに驚いた。

 

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 日高 賢一郎(ひだか・けんいちろう)1976年生まれ。2001年共同通信社入社。大阪運動部、広島支局、東京運動部を経て13年からロンドン支局。 国内では主にプロ野球の広島、巨人などをカバー。 サッカーでは02年W杯でブラジル、11年女子W杯で日本といずれも優勝チームの取材を担当。昨年の五輪はなでしこの激闘を追った。


2013年03月06日

変わっていく常識 香川を頼もしく思ったマドリードの夜  

レアル・マドリード戦の後半、競り合うマンチェスターUの香川真司(右)(2013年2月13日、マドリード、共同) 今さらではあるが「常識」というのは変わっていくものなのだと、あらためて実感した。2月13日にマドリードで行われたサッカーの欧州チャンピオンズリーグ(CL)で、レアル・マドリード(スペイン)とマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)の一戦を取材した。世界中が注目する強豪同士の激突という大舞台に、日本の香川真司がマンチェスターUの一員として先発した。試合後に「簡単にはうまくいかないし、まだまだと感じさせられた」と話しながら、込み上げる興奮を抑えられないように浮かべた笑みが強烈に印象に残った。

 イングランドのリーグ戦では、クラブの方針でなかなか香川の生の談話を聞けないため、余計に印象的だったのかもしれない。ただ普段はどちらかというとクールなコメントを残す香川の感情をそこまで揺さぶった欧州CLという舞台、そしてレアル・マドリードの力を実感した。何より、世界中で知られている強豪の一員として日本選手が先発してプレーし、さらに上を目指そうと意欲をかき立てる姿を頼もしいと思った。

 香川は3月17日で24歳になる、ロンドン五輪代表世代だ。欧州でプレーする選手には清武弘嗣(ニュルンベルク)や酒井高徳(シュツットガルト)ら同年代の選手も多い。その一人、金崎夢生(ニュルンベルク)は香川の笑みについて「気持ちはわかる。やっぱりうれしかったんじゃないですか。誰でもできる経験じゃないので」と共感を示した。彼らも香川の姿に大きな刺激を受け、それに続こうと決意を新たにしているのだろう。

 

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 日高 賢一郎(ひだか・けんいちろう)1976年生まれ。2001年共同通信社入社。大阪運動部、広島支局、東京運動部を経て13年からロンドン支局。国内では主にプロ野球の広島、巨人などをカバー。 サッカーでは02年W杯でブラジル、11年女子W杯で日本といずれも優勝チームの取材を担当。昨年の五輪はなでしこの激闘を追った。


2012年05月02日

「なでしこ」に見る女子サッカーの楽しさ 国内は日テレ・ベレーザに注目  

なでしこジャパンの主将でチームきってのテクニシャン、宮間あや(右、岡山湯郷ベル)が豪快なシュートを放つ(3月2日、アルガルベ杯デンマーク戦から、共同) 昨年のサッカー女子ワールドカップ(W杯)ドイツ大会を取材する機会に恵まれて以降、「なでしこジャパン担当」として、彼女たちの姿を追い続けている。W杯期間中から徐々に盛り上がった熱は、準々決勝のドイツ戦勝利を境に一気に高まり、そのまま冷めることがない。今夏のロンドン五輪での金メダル獲得が期待されることはもちろんだが、彼女たちがサッカーに真面目に向き合う姿勢や個性あふれるプレーの数々のほか、特に高い技術で相手を手玉に取る壮快さも、その一因だろうと感じる。

 W杯で知り合ったドイツの記者がこう語っていた。「男子のサッカーはだまし合いや駆け引きばかりが横行している。反則された選手が大げさに痛がって、時間稼ぎをしたりするのはその典型だ。一方で、女子のプレーは基本に忠実で、ピッチで勝負をつけようとする。純粋なサッカーの楽しさを思い出させてくれる」と。確かにスピードやぶつかり合いの迫力では、男子にはかなわないだろう。だが、サッカーの楽しさや面白さはそれだけではないはずだ。持てる技術をぶつけ合い、互いに持ち味を出し合って最後まで諦めずに戦う。そんなところは、男子以上かもしれないと納得した。

 さらに、日本の女子選手の技術レベルは、W杯や2月末からポルトガルで行われたアルガルベ・カップで証明されたように、世界屈指の高さを誇る。W杯で世界に衝撃を与えたテクニックの確かさは、30年という長い時間をかけて培ったもの。なでしこジャパンの佐々木則夫監督が「他の国もそう簡単には追いつけない」と自負するほどだ。

 

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日高 賢一郎(ひだか・けんいちろう)1976年生まれ。宮崎県出身。01年共同通信社入社。大阪支社運動部、広島支局を経て、07年から東京運動部。サッカーでは02年W杯でブラジル、11年女子W杯で日本と、男女とも優勝チームの取材を担当した。04年から10年まではプロ野球を担当。