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スポーツリレーコラム

2015年04月29日

東大野球部、チャンスは必ずある 連敗脱出へ先輩がアドバイス  

4月19日の早大戦で敗れて連敗が90となり、うなだれて引き揚げる飯田主将(中央)ら東大ナイン(2015年4月19日、共同) 東京六大学野球リーグの東大が長いトンネルから抜け出せないでいる。2010年秋に早大から勝ったのを最後に連敗が続き、今月19日の早大戦で敗れ90連敗となった。このまま止まらなければ、今年の秋に「100」の大台に乗ってしまう。

 実は、私は15年ほど前に東大で投手をしていた。記者のコラムというより、OBの私的な思いの吐露になってしまうかもしれないが、この場を借りて後輩にアドバイスを送りたい。

 現在の選手たちが、東大の歴史の中で特に力が劣っているわけではないと思う。だが、これだけ勝ちから遠ざかってしまった影響はやはり大きい。最後の白星は5年前で、今のメンバーは勝った経験がない選手ばかりだ。勝機が見えた試合を一発でものにするのは難しいだろう。まずは終盤までもつれる展開に頻繁に持ち込めるようになってほしい。そういう試合を繰り返すうちに、チャンスが出てくると思う。

 

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 児矢野雄介(こやの・ゆうすけ)1979年生まれ。98年に東大入学。東京六大学では通算1勝5敗。2003年に共同通信社に入社し、高知支局を経て05年から運動部。主にプロ野球を担当。


2013年10月02日

高校野球、酷使に歯止めを 熱中症対策も不可欠  

1回裏、西脇工の先頭打者から三振を奪ったところで降板する木更津総合の先発千葉。後ろは緊急登板する笈川(2013年8月16日、共同) ことしの夏の甲子園で痛ましい出来事があった。2回戦の木更津総合(千葉)―西脇工(兵庫)で、木更津総合の先発、千葉投手が打者1人に投げただけで右肩痛により降板した。チームは勝ったが次の試合でも投げることはできなかった。投手には肩、肘の故障の危険がつきまとう。選手の健康を守るため、大会運営の抜本的な改革を検討してほしい。
 日程がタイトな高校野球では、しばしば投手への負担の大きさが問題視される。昨秋に右肩を痛めたという千葉投手は、県大会の5回戦で完投し、中2日の準決勝で延長13回を完投。さらに翌日の決勝で完投し、甲子園での1回戦も完投した。故障明けの投手がこれほど投げまくるのは日本の高校野球ぐらいだろう。今春の選抜大会で、済美(愛媛)の安楽投手が計772球を投げ物議を醸したのも、記憶に新しい。
 甲子園では1993年の夏から、大会前に投手の肩、肘の関節機能検査が行われているが、投球禁止の措置が取られたことはない。以前取材した大会で、ある故障明けの選手に「検査結果は大丈夫だったの?」と聞いたところ、「『投げるなとは言えないから』と言われた」という答えが返ってきた。はたしてけが防止に役立っているのか。ことしの夏は準決勝の前に休養日が置かれたが、優勝した前橋育英(群馬)の高橋投手は大会終盤の5日間で4試合を投げ、うち3試合で完投した。今回の日程変更も、負担軽減の実効性は疑わしい。
 負けたら終わりのトーナメント。監督はどうしても、力のあるエースに頼りがちになるだろう。「無理をしてでも投げたい」と言う投手も多いはずだ。だからこそ、運営側が歯止めをかける必要がある。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のように、球数や登板間隔にルールで規制をかけるのが望ましいと思う。その上で、複数の投手を併用するスタイルを徹底させるべきだ。
 熱中症対策も課題だ。今大会では浦和学院(埼玉)の小島投手、常総学院(茨城)の飯田投手が、九回に脚がつって降板した。2人とも、交代の前に一度は続投した。熱中症による脱水症状が疑われる状況であり、危険な行為と言わざるを得ない。これにも運営側がブレーキをかけてほしい。近年の酷暑を考えると、日中の最も暑い時間帯を避けて試合を行う工夫も必要だと思う。日程の消化が難しくなるのは事実だが、大会進行の都合と選手の健康は天秤にかけられるものではない。
 体にむち打ってエースが投げ続ける姿に、胸を打たれる人は多いだろう。だが、「熱投何百球!」というようなたたえ方には、危うさを感じてしまう。故障のリスクも、熱中症のリスクも、可能な限り避けるべきだ。


【写真】1回裏、西脇工の先頭打者から三振を奪ったところで降板する木更津総合の先発千葉。後ろは緊急登板する笈川(2013年8月16日、共同)

 

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 児矢野雄介(こやの・ゆうすけ)2003年共同通信入社。高知支局を経て、05年から運動部で主にプロ野球を取材。栃木県出身。


2013年02月13日

代表ブランドの確立目指せ WBC3連覇に挑む「侍ジャパン」  

侍ジャパンでも主将を務める阿部(右)と言葉を交わすWBC日本代表の山本監督(2月11日、巨人宮崎キャンプで、共同) 野球の国・地域別対抗戦、第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が迫ってきた。山本浩二監督率いる日本代表は15日に宮崎市で直前合宿に入る。目標は3連覇。だが、日本球界にはもう一つ重要な課題がある。日本代表「侍ジャパン」のブランドを、いかに確立していくかということだ。

 日本野球機構(NPB)は「代表の常設化」を掲げる。大会後も継続的に日本代表の事業を行い、収益の確保を狙う。軌道に乗せるまでの道は険しいが、その方向性は正しいと思う。

 昨夏、大手玩具メーカーが3~12歳の子どもを対象に好きなスポーツのアンケートを実施したところ、野球は11.1%でサッカー、水泳に続き3位だったという(回答したのは保護者)。低年齢層での人気低下は深刻と言わざるを得ない。もはや国内のプロ野球だけでは、この流れに歯止めをかけることはできない。代表の力を最大限に使うべきだ。国際舞台での活躍は、コアなファンだけでなく、それまで関心のなかった層にも訴える効果がある。一昨年のワールドカップ(W杯)優勝で一躍注目が高まったサッカー女子「なでしこジャパン」は、その好例だろう。WBCを五輪やサッカーW杯に比肩するイベントに育てながら、その中で「侍ジャパン」の魅力をアピールしていくという努力が必要になる。

 

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 児矢野雄介(こやの・ゆうすけ)2003年共同通信入社。高知支局を経て、05年から運動部で主にプロ野球を取材。栃木県出身。


2012年04月04日

統一球2年目 巨人、戦略浸透目指しミーティング改革 重責担う「ID野球の門下生」橋上秀樹コーチ  

ミーティング改革の中心的な役割を担う巨人の橋上秀樹戦略コーチ(共同) プロ野球は統一球導入から2年目のシーズンを迎えた。飛ばない球への対応は、今季も各球団の大きなテーマになるだろう。以前は強力打線を誇った巨人も例外ではない。2010年に4・94点だった1試合の平均得点が、昨季は3・27点に下がった。貧打からの脱却へ向け、原辰徳監督はミーティング改革を掲げている。その中心的役割を担うのが、今季入団した橋上秀樹・戦略コーチ。かつてヤクルトで選手として、楽天ではコーチとして、野村克也監督の下で研さんを積んだ「ID野球の門下生」だ。

 07年から3年間、担当記者として楽天を取材した。「野球は確率のスポーツ」というのが「ID野球」の基本理念。ベンチの役割は、選手がより確率の高いプレーを選択できるように後押しすること。より具体的に言えば、合理的な判断をした上で逆の目が出た場合に、責任をベンチが取り、選手に押しつけないということである。実際には、野村監督は辛らつな「ぼやき」を連発していたのだが、ほとんどは「判断の是非」を問うものだった。正しい選択をして、裏目に出たら仕方ないという原則は崩していない。

 プロ、アマを問わず、よく「見逃し三振は消極的だからよくない」といわれる。だが、前述の考え方を取れば、こうした批判は成り立たない。手が出ないのは予測が外れたからであって、消極的だからではないのだ。裏をかかれたときにあっさり凡退することを覚悟した上で、よりプレーの確率を上げるために、情報を集め、データを整理する。それが「ID野球」のアプローチだ。

 

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児矢野雄介(こやの・ゆうすけ)2003年共同通信入社。高知支局を経て、05年から運動部で主にプロ野球を取材。10年から巨人担当。栃木県出身。