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スポーツリレーコラム

2014年06月25日

米“コメ”事情精通が活躍の鍵? 米プロスポーツに挑む日本選手  

お米が恋しくなる長期出張には欠かせない必需品で、筆者には炊飯器代わりとなるシリコンスチーマー。米国で厳しい戦いを続ける日本選手たちも、パワーの源泉確保のためあれこれと知恵を絞っている。(木村壮太記者撮影) 写真を見てなんだかお分かりだろうか。これ、電子レンジで野菜や肉を蒸したりする時に使うシリコンスチーマーと呼ばれる調理器具。ご覧のように折りたたむと平らになるし、長期にわたる海外出張の際にはスーツケースに入れている。いろいろと使い道はあるようだが、自分にとってはもっぱら「炊飯器」代わりだ。
 食べ物の好き嫌いはあまりないものの、日本を離れて2週間くらいたつと、必ずお米が恋しくなる。ゴルフ取材は和食のレストランを探すのが大変な田舎街だったり、店はあっても営業時間が合わなかったりと苦労する。5月中旬まで6週間のアメリカ滞在だった今回は、最初に訪れたロサンゼルスで、知り合いからおいしいカリフォルニア米を譲っていただく幸運にも恵まれて大活躍だった。乾燥した気候のせいか、日本に比べて1・5倍くらい必要な水加減が難しいのだけれど、レンジで20分弱、一度に3合以上炊ける優れもの。外食が多くて消費スピードが追いつかなかった時は、おにぎりを作って関係者に配ったら好評だった。
 最近は糖質制限健康法なるものがはやっていることもあり、夕食はおかずだけでご飯を食べないとか、周囲の「米離れ」が進む。サッカーのワールドカップ(W杯)を見ていて、ラモス瑠偉の「日本人ならお茶漬けやろが!」のCMを思い出す人も少なくなっただろうから、考え方が古いのかもしれないが、やはり腹持ちやスタミナ、栄養面のバランスでも、主食がパンでは物足りなく感じる。
 それでも、海外で活躍する日本のスポーツ選手にとっては、年代にかかわらず「米=パワーの源」といえそうだ。例えば男子ゴルフの石川遼は、ラスベガスの日本料理屋から専属のシェフが同行し、キッチン付きホテルの一室を食堂にして和食をほおばる。松山英樹はどちらかといえば無頓着で、昨年の米ツアー遠征の際には、東北福祉大の阿部靖彦監督に「チポレ(メキシコ料理のチェーン店)でブリトーが食べたいというから参った」とぼやかせたこともあった。ただ、米国を主戦場とする今季は、やはり落ち着くのか、コース近くの日本食レストランで毎日のように姿を見かけた。大リーグを担当していたとき、当時レッドソックスの松坂大輔投手は、キャンプ期間中は有名ラーメン店の「一蘭」から料理人が来て栄養管理をしていた。
 このようにそれぞれが工夫して自分の「米どころ」を確保する。アメリカが米国と書かれるようになったのは「亜米利加」の当て字から来ているそうで、当然ながら、米とはなんのゆかりもない。ただ、米国プロスポーツで活躍するためには、「米」事情に精通することも、大切な条件なのかもしれない。


【写真】お米が恋しくなる長期出張には欠かせない必需品で、筆者には炊飯器代わりとなるシリコンスチーマー。米国で厳しい戦いを続ける日本選手たちも、パワーの源泉確保のためあれこれと知恵を絞っている。(木村壮太記者撮影)

 

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 木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社し相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)などを取材。2007年からボストン支局でレッドソックスを中心に大リーグを担当。12年1月に帰国しゴルフ担当に。


2014年01月22日

「ライブ」について考えた 忘れたくない空気感  

暗闇の中で行われた表彰式でグリーンジャケットに袖を通し、感無量の面持ちのアダム・スコット。右は前年優勝のバッバ・ワトソン(2013年4月15日、共同) 最近、「ライブ」という言葉についてよく考える。テレビの生中継ができるようになって何年たつかは知らないけれど、近年は文字情報も即座に流れるようになった。スポーツの結果、いや、近頃は経過さえがライブだ。例えば大リーグの1球速報なら投手、打者が誰で、投球ごとに球速、球種、コースまで分かる。ゴルフなら1打速報で石川遼のティーショットが右のラフにいったとか、3メートルを沈めてパーと知れるし、サッカーだってチャンスのたびに文字情報が流れ、ACミランの本田が「味方の放ったシュートをGKが弾き、こぼれ球を左足で真ん中に決めて移籍後初ゴール」なんてことが数秒後に分かる。速報が重視される通信社記者として、この流れに対応しないといけない、と力が入る。

 ところで先日、天気予報がこの冬一番の寒波到来を告げたころ、担当競技のゴルフを離れ、慣れないラグビーの取材に行った。当たり前だが、スタジアム観戦はすごく「寒かった」。プラスチック製の椅子はきんきんに冷えている。おっさんくさいズボン下を履き、背中と腹には貼るカイロ、手袋はパソコンを打つ時のために薄手を1枚、さらに上から厚手をはめた。それでも手足はかじかみ、小刻みに体を動かさないと耐えられない。

 ここで、入場してくるラガーマンを見て、目が点になった。なんだ、あれ。半袖、短パン。今どき小学生でもそんな格好はしないでしょ。手袋もしていない。筋骨隆々たるフィフティーンは、全身に湯気をまとってフィールドに立つと、激しい肉弾戦を繰り広げた。

 

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 木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社し、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)などを取材。2007年からボストン支局でレッドソックスを中心に大リーグを担当。12年1月に帰国し、ゴルフ担当に。


2013年06月12日

ゴルフに見た「もうはまだなり、まだはもうなり」 優勝争った中嶋と松山  

勢いで突っ走るか、熟練の技がものをいうか。21歳の松山英樹(左)と58歳の中嶋常幸はダイヤモンド・カップ最終日、最終組で競り合いを演じた(2013年6月2日、共同) 「もうはまだなり、まだはもうなり」というのはたしか、株式など相場の格言だったはずだが、2日まで行われた男子ゴルフのダイヤモンド・カップを見ていて、この言葉が頭を離れなかった。

 トップに並んで最終日を迎えたのは、4月にプロ転向してから破竹の勢いが続く松山英樹と、大ベテランの中嶋常幸だった。58歳と21歳、年齢差は実に37年で松山の父、幹男さんがちょうど中嶋と同じ年の生まれである。親子ほど年が離れた2人が、プロの第一線、同じ土俵で勝負した。実力者、谷口徹の表現を借りれば「(年齢が)二回り? いや、三回り違うんだろ。すごいスポーツだね、ゴルフって」。なかなか他の競技では見られない組み合わせとなった。

 大変失礼な話、始まる前は最終ラウンドの盛り上がりをあまり期待していなかった。“的当て”の要素が強いゴルフを「スポーツじゃない」なんて冷やかす人がいるが、これは週に1、2度、18ホールしか回ったことのない人がいう言葉。1ラウンド集中力を保って10キロ近く歩き、4日間続きで72ホールを戦えば、やはり体力がものを言う。シニアの域に達している中嶋が優勝できるとは思えなかった。

 

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 木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストン支局でレッドソックスを中心に大リーグを担当。12年1月に帰国し、ゴルフ担当に。


2012年10月03日

松坂大輔と石川遼 前向きで頑固な2人  

笑顔でキャッチボールする松坂大輔(9月23日、共同) 大リーグ、レッドソックスの松坂大輔投手とプロゴルファーの石川遼選手は似ている。どこが? ゴルフのうまいところが、というのは冗談。ただし松坂投手の趣味はゴルフで、スコアは70台前半を誇る。テキサス遠征の際は、必ずといっていいほど契約スポーツメーカーのゴルフ用具工房で試打などに汗を流し、ドライバーショットは300ヤードを飛ばす。「野球をやめたらプロゴルファーを目指そうかな」と話す腕前なのは事実である。

 真面目な話としては、記者会見での話し方が似ている。2人とも若くして全国的なヒーローとなり、圧倒的な注目にさらされた。だからだろうか、質問されたあと十中八、九「うーん…」とか「そうですね…」と考え込み、一拍間を置いてから慎重に言葉を選んで答える。自分の発言の重さ、そして誤解を招く怖さを知っているのだと思う。

 次に、ともに発言が前向きである。結果が悪かった時でも「いや、気にしていないです。悪かった点は○○だけど、○○は良かった」と必ず収穫を挙げる。この辺りは、一流のアスリートに共通するポジティブシンキングなのかもしれない。

 

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木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストン支局でレッドソックスを中心に大リーグを担当。2012年1月に帰国し、ゴルフ担当に。


2011年11月02日

やっぱり面白さは「世界級」 米大リーグのワールドシリーズ  

カージナルスの両雄、最後の?ツーショット。チームを栄光に導き、その後引退を表明した知将ラルーサ監督(左)と契約最終年を見事に締めくくった主砲プホルス(2011年10月28日、ブッシュ・スタジアム、共同) よく言われることだが「ワールドシリーズ」という名称は不遜というか、傲慢(ごうまん)だと思っていた。米国内のプロ野球リーグの頂上決戦なので「ナショナル・シリーズ」、カナダにトロント・ブルージェイズがあるから「北米シリーズ」とは言えても「世界」はやり過ぎとツッコミを入れたくなる。

 もちろん日本人メジャーリーガーに限らず、韓国や台湾、キューバ、ドミニカ共和国、プエルトリコなどから、多彩な顔ぶれが集まっているのは事実。「レベルの高い戦い」だったり、素直に「高額年俸」を求めて海を渡る選手は少なくない。それだけの魅力があることは確かだ。

 ことしは11度目の頂点を目指す古豪セントルイス・カージナルス(ナ・リーグ)と、球団創設51年目で初制覇を狙うテキサス・レンジャーズ(ア・リーグ)が対戦した。最初の印象は、地味な顔合わせ。東海岸の名門ヤンキースやレッドソックス、フィリーズが敗退。レンジャーズは一応西地区だが、日本人になじみの深い西海岸からは遠く、地図上はアメリカのど真ん中に位置するテキサス州アーリントンを本拠地としている。

 

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木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストン支局に赴任し、レッドソックスを中心に大リーグなどを担当。


2011年07月27日

「ONE ON ONE」 取材現場で思い出す学生時代の1対1  


 「ワンワン」と聞くと、今でも少し血圧が上がる。といっても犬の話ではない。「ONE ONE」。正式には間にONが入り「ONE ON ONE(ワン・オン・ワン)」という。

 アメリカンフットボール版のぶつかり稽古とでもいえばいいだろうか。アメフト部だった大学生のときよくやらされた、1対1で当たり合う練習である。

 相撲の稽古と同じように、周りを他の選手が囲み、勝った方が残って違う人間が挑む。夏合宿の時など時間が長いから、わざと負ける部員もいた(はず)。私は線の細いレシーバーなので、どうやっても体格のいいラインの選手には勝てない。痛いし、暑いし、あまりいい思い出ではないのだが、最近よくあのころのことが頭をよぎる。

 

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木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストン支局に赴任し、レッドソックスを中心に大リーグなどを担当。


2011年04月27日

どん底から立ち直り2連勝 レッドソックスの松坂大輔投手  

 大リーグのレッドソックスとプロ野球阪神のファンには、共通点が多いと思う。 第一に「三度の飯より野球が好き」ということ。常に満員の甲子園球場と同様、フェンウェイ・パークはジェット風船こそ飛ばないが、2003年からチケットの完売記録が続く。どちらも古い歴史と伝統を誇り、来年で100周年を迎えるフェンウェイの赤れんが造りの壁は、つたの絡まる甲子園に似て味わい深い。

 一度聞いたら忘れない「六甲おろし」に対して、ボストンでは八回に、ニール・ダイヤモンドの「スイート・キャロライン」で声をからす。さびの部分で「オッ、オッ、オー!」と合いの手を入れる。
 倒すべき相手がはっきりしているのも、そっくりだ。阪神ファンがアンチ巨人に通じるのと同じで、ヤンキースに対する激しいライバル意識をむき出しにする。阪神でプレーし、昨季はレッドソックスに所属したアッチソン投手は「たしかに両方のファンは似ている。情熱的で、野球をよく知っている。客席の雰囲気がエネルギッシュで独特なのも同じだ」と話してくれた。

 それだけ入れ込んでいるから、不調の時は手厳しい。レッドソックスは今季、開幕6連敗の苦しいスタートを切った。心理学的に「怒り」の大きさは「期待」の大きさに比例するものらしいが、大型補強で優勝候補と見られたチームのふがいなさに、ファンのフラストレーションは一気に高まった。

 

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木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストンに駐在し、レッドソックスを担当。


2011年01月26日

プロスポーツは米国の文化 寒さも忘れスタジアムは熱気でいっぱい  

 人は氷点下何度まで屋外でバーベキューができるのか。ギネスブックに申請したら認められるのではないか、とさえ思った。気温は氷点下12度。厚手の手袋をしていても、その中で手を「グー」にしていないと指先がかじかむ寒さの中で、ピッツバーグのスタジアム周辺は、ファンが食材を持ち寄ってバーベキューを楽しむ、いわゆる「テールゲート・パーティー」でにぎわっていた。
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1月23日に行われた米プロフットボールNFLのアメリカン・カンファレンス(AFC)決勝は、ピッツバーグを本拠地にするスティーラーズがニューヨーク・ジェッツを迎え撃った。リーグの王者を決めるスーパーボウル進出を懸けた大一番とはいえ、キックオフまで4時間以上ある吹きさらしの駐車場で、素手に缶ビールを持ってひいきチームについて熱く語る。米国の4大プロスポーツの中でも、一番の人気を誇るNFLの試合前の見慣れた光景だ。

 アメリカ人はおしなべて薄着の印象だ。私が住むボストンは、4月でもかなり寒い。それでも大リーグ、レッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークを開幕時に訪れるファンにはTシャツ姿が珍しくない。寒さが厳しくなる頃に佳境を迎えるNFLのファンは、さらに過酷な条件下で、長袖のTシャツの上にジャージーといういでたちで「おらがチーム」に熱い声援を送る。

 ここまで書いてふと気が付いた。薄着のファンには共通点がある。ほとんど例外なく、お気に入りの選手の背番号と名前が書かれた服を着ているのだ。野球はユニホームかTシャツ、アメフットはジャージー。どちらも半袖だ。アメフットのジャージーは伸縮素材でできているが、厚着を想定してサイズを決める人は少ないだろうから、自然と軽装になるのかもしれない。渡米したばかりのころ、家人はこの光景に「選手になりきって応援するの?」と驚いていた。米国での生活も4年が経ち、今では4歳の長男にNFLペイトリオッツのQBブレイディ選手やNBAセルティックスのガーネット選手のユニホームを着せるようになった。

 

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木村 壮太(きむら・そうた)1973年生まれ。横浜市出身。97年共同通信に入社後、相撲、プロ野球(オリックス、阪神、横浜)、モータースポーツなどを取材。2007年からボストン支局に赴任し、レッドソックスを中心に大リーグなどを担当。