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スポーツリレーコラム

2017年09月20日

「リレーコラム」圧倒的存在感だった宮里藍 転換期迎えた日本女子ゴルフ  

現役最後のラウンドを終え、記者会見する宮里藍=17日、エビアン・リゾートGC(共同) 女子ゴルフの人気選手宮里藍が、ついに現役を引退した。
 9月17日終了のメジャー最終戦、エビアン選手権の最終ラウンドで、最後は「私らしい」と表現した1メートル強のパットを沈めてナイスパーでフィニッシュした。

 プレーを終えると18番グリーンで待ち構えた男子でメジャー通算9勝のレジェンド、ゲーリー・プレーヤー氏(南アフリカ)のほか、曽雅☆(女ヘンに尼)(台湾)、ポーラ・クリーマー(米国)といった長年のライバルたちと涙で抱擁するなど、誰もが彼女の引退を惜しんだ。
 悲願のメジャー制覇には手が届かなかったが、日本、そして世界のゴルフ界に大きな影響を与えた元世界ランキング1位の存在感は圧倒的だった。

 ミネラルウォ-ターで有名なフランスのレマン湖沿いのコースで毎年行われるこの大会を引退試合に選んだのは、米ツアーで躍進するきっかけとなった大会だったからだった。
 メジャーに昇格する前の2009年に念願のツアー初勝利を飾り、「自分自身のLPGAのキャリアがここから始まった」と翌10年には年間5勝を挙げて世界ランキング1位に上り詰めた。

 東日本大震災後の11年大会では2度目の優勝。高校時代を宮城・東北高で過ごしただけに第二の故郷の状況に心を痛めており、優勝賞金の一部を被災地に寄付した。
 数々の支援を行った宮里にとって単なる大会2勝目ではなく、いろいろな思いの詰まった大会だった。

 振り返れば、エビアン選手権だけでなく今季出場した試合は、自身に縁のあるものを多く選んでいた。
 自身の今季初戦となった2月の米ツアー、ホンダLPGAはスポンサーの冠大会で、6年ぶりに出た日本ツアー開幕戦、ダイキン・オーキッド・レディースも故郷の沖縄での開催。国内四大大会のワールド・サロンパス・カップ、05年以来の出場だった中京テレビ・ブリヂストン・レディースは、ともに支援を受けているスポンサーのトーナメントで、日本での最後の試合となったサントリー・レディースは所属先の冠大会だ。
 その後の米ツアーでの試合も優勝経験のある試合が多く、彼女にとって今季の一つ一つの試合に大きな意味合いがあった。

 すごいのは決して引退興行というものではなく、全ての試合を勝ちにいっていたことだ。
 米ツアーは12試合に出場して予選落ちはわずかに2度。日本ツアーに至っては4試合全てで予選通過を果たし、中京テレビ・ブリヂストン・レディースでは最終日に64の好スコアをマークした。
 引退理由は「モチベーションの維持が難しくなった」ということだが、ここ一番での集中力は抜群で、日米両ツアーで戦える実力を十分に保持していることは明らかなだけに、今後プレーが見られなくなるのは残念でならない。

 米ツアーでは男子は松山英樹が世界でもトップ選手として大活躍を果たしているが、女子は野村敏京が奮闘しているとはいえ、宮里美香、横峯さくららが賞金シードを逃すなど苦戦が続いている。
 宮里藍が06年に渡米して以来、大きな注目を集めてきた米女子ツアーの日本勢にとっても、これまでけん引してきたスターの引退は大きな転換期となりそうだ。


【写真】現役最後のラウンドを終え、記者会見する宮里藍=17日、エビアン・リゾートGC(共同)


 杉山 勝則(すぎやま・かつのり)1984年生まれ。山口県出身。2008年共同通信社入社。本社運動部、大阪運動部を経て、広島支局で主に広島カープを取材。12年末から本社運動部でゴルフ、ラグビーなどを担当。


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