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スポーツリレーコラム

2016年12月14日

「リレーコラム」増える世界戦、ボクシング界に活気 新団体の承認でさらなる競争力と人気を  

マニー・パッキャオ(左)と記者会見でポーズをとる井上尚弥=11月25日、東京都渋谷区 ことしの年末もボクシング界は多くの世界タイトルマッチが組まれ、活気づいている。30日は、注目を集める世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)の防衛戦。大みそかは、前世界ボクシング協会(WBA)スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(ワタナベ)が王座返り咲きを狙う一戦を筆頭に、東京、岐阜、京都の会場で試合が組まれている。

 世界戦が増えることは日本ボクシング界の隆盛につながるのは間違いない。多くの選手に世界挑戦の好機が到来することは歓迎したい。だが、現状では日本ボクシング界で選手がステップアップを狙う図式が複雑になり、混乱している面がある。日本、東洋太平洋(OPBF)で王座を獲得して、世界へ進出するのが「王道」だったが、ことしからWBO傘下の「WBOアジア・パシフィック」が加わった。日本で長年認められてきたOPBFと同じ地域タイトルだが、よほどのファンでないとなじみはないだろう。

 このタイトルを国内の統括団体である日本ボクシングコミッション(JBC)は正式には認めていない。ジムの会長ら興行を取り仕切る側の強い要請を受け「WBOアジア・パシフィック」の名称を付けて国内で試合を行うことは9月から認めたものの、タイトルが増えることで世界に通じるステップだった日本タイトル、OPBF王座の権威が低下するという懸念を抱いている。新団体を支持しているのは、興行主や選手を育成する各ジムの会長らで組織する日本プロボクシング協会。試合のレベルに問題がないと主張し、JBCによる承認を強く求めている。タイトルが懸かった試合となれば、注目を集めやすく集客面への期待もあるだろう。

 JBCは一定期間精査してから正式に認めるかどうかを決めるとしている。既に動きだした流れを止めるのは難しいのではないか。実際に世界ランクを目指し、日本王座を返上してWBOアジア・パシフィックへ挑戦を表明する選手も出てきた。組織の運営能力を細かくチェックすることが大前提となるが、今後は「WBOアジア・パシフィック」のタイトルを認め、日本、アジアから世界へ向けて鍛錬と競争の機運を高めていってはどうか。日本のベルトの権威を守るためには、日本王者となって初防衛戦を行わないと世界戦はできないなどの条件を付ける。国内での競争力を高めた上で、門戸の広がった世界へ挑む構図になれば、活性化につながるのは確かだろう。「WBOアジア・パシフィック」王座を獲得した選手は「世界ランカーにふさわしい実力をつけて、さらに上を目指したい。このタイトルの価値を高めたい」と話していた。そういった選手の思いが、見応えのある試合を生み、ボクシング人気を支える力につながっていくはずだ。


【写真】マニー・パッキャオ(左)と記者会見でポーズをとる井上尚弥=11月25日、東京都渋谷区


 伊藤 貴生(いとう・たかお)1977年生まれ。鳥取県出身。他社での記者経験を経て2005年に共同通信入社。3年間、札幌支社でプロ野球日本ハム担当。本社運動部、名古屋支社運動部と移り、15年5月から本社運動部でアマ野球、ボクシングなどをカバーしている。


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