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スポーツリレーコラム

2016年11月09日

「突き抜けた」姿を見たい 大相撲の学生出身力士  

大相撲九州場所の番付表を手にする新小結の御嶽海=10月31日、福岡県新宮町の出羽海部屋宿舎  他にも東農大出身の正代は幕内上位に定着し、業師として人気の関学大出身の宇良も観客を大いに沸かせている。大器の呼び声高い、東農大出身の小柳も九州場所で新十両になった。20代前半から中盤のこれらの力士は今後の土俵の充実を担うべき存在だろう。だからこそ、楽しみなことがある。誰が「突き抜けた」力士になるか、だ。

 学生相撲は多くの人材を大相撲に輩出してきたが、横綱になったのは第54代横綱の輪島だけ。中卒たたき上げや外国出身の力士と比べて、ハングリーさが少ないと指摘する角界関係者もいる。学生相撲出身者の多くは22歳で入門。関取の座を決めればしっかり地位を守ることを意識してしまい、けがを恐れ思い切りの良さを失ったり、本来の長所が伸びてこなかったりする力士がいる。ある関係者からは「若いし、才能もあるのに“サラリーマン力士”になっちゃって、もったいないなあ」との嘆き節も聞こえてくる。

 日本相撲協会は有望力士の入門促進のために、昨年から導入した三段目最下位格付け出し資格を、今年の全国学生選手権の個人戦ベスト8以上の選手にも与えることを決めた。ただ、あるアマチュア関係者も「入りやすくなるのはいいことだけど、一人でもパーンと上がっていけば、それが一番後輩たちの励みになるよね」と、出世して後輩たちに夢を抱かせる力士となることを期待する。

 期待できるといっても、3横綱や4大関との地力の違いはまだまだ明らかだろう。門戸は広くなっても、目指すべき最高位への道は果てしなく厳しく、狭い。北勝富士の師匠でもある八角理事長(元横綱北勝海)は「早く(番付は)上がるのではなく、最後にどこに上がるかが大事だ」と弟子の指導について熱弁してきた。努力で才能を最も輝かせることができるのは誰か。冒頭に上げた力士や、これから入門する力士ら全員が「突き抜けた存在」になるべく、激しい出世競争が巻き起こることを楽しみにしている。


【写真】大相撲九州場所の番付表を手にする新小結の御嶽海=10月31日、福岡県新宮町の出羽海部屋宿舎


 七野 嘉昭(しちの・よしあき)1984年、岐阜県出身。東京外大でカンボジア語を専攻し、2008年共同通信社入社。09年末、福岡支社に異動し、プロ野球ソフトバンク、サッカーゴルフなどを担当。13年末から東京本社で相撲、ボクシングなどを担当。


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