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スポーツリレーコラム

2009年06月24日

自然との一体感が魅力 五輪種目のオープンウオータースイミング  

 泳ぐことだけを目的に海を訪れたのは久しぶりだった。先日、日本水連が主催したオープンウオータースイミング(OWS)の「メディア・カンファレンス湘南」で大海原を泳ぐ楽しさを味わった。規格通りに作られたプールで泳ぐのとは爽快(そうかい)感が違う。1988年ソウル五輪の競泳男子100メートル背泳ぎで金メダルを獲得した鈴木大地さんも強化と普及に尽力するOWSは、自然環境との一体感を満喫できるスポーツだった。
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 梅雨時にもかかわらず陽気に恵まれた神奈川県藤沢市の鵠沼海岸。サーファーでごった返す海にスイミングキャップとゴーグルをつけて飛び込んだ。ダイビングやサーフィンのように用具を使わずに波間を漂うのは、すごく身軽な感じがした。泳いだ距離は200メートルにも満たないだろうか。この日の泳ぎだけで10キロ以上の距離で争うこともあるOWSの醍醐味(だいごみ)をすべて体験することはできないが、都会にあるジムのプールとはまったく違う開放感があることだけは実感できた。
 
 昨年の北京五輪で正式種目となったOWSのセールスポイントは、プールでは味わえないこの気持ち良さだろう。日本水連のOWS委員を務める順大水泳部監督の鈴木さんは「現役時代からプールの中だけを泳ぐのは単調だと思っていた。持久力を鍛えるのならプールでなくてもいいのではと思ったことがOWSにかかわるきっかけ」と明かす。2006年に指導している順大の学生をジャパン・オープン(館山市)に出場させたところ、教え子の東翔選手が初出場で優勝。鈴木さんはコーチとして東選手とともに同年のOWS世界選手権に参加し、OWSのとりこになったという。
 
 日本水連は国内の競技レベルがまだまだ低いことを理由に、昨年の北京五輪や7月に開幕する世界選手権(ローマ)への選手の派遣を見送った。今後は、メダル争いができる選手の育成が大目標になる。

 2012年ロンドン五輪に向けた興味深い強化策の一つが、競泳日本代表との連携だ。競泳長距離陣の練習にOWSを導入し、競泳とOWSの「二刀流選手」を育てる計画の検討を、日本水連のOWS委員会は競泳日本代表の平井伯昌ヘッドコーチと始めている。 長い時間を水の中で過ごす競泳選手でも、海で泳ぐことはめったにないそうだ。しかし、鈴木さんのように一度体験すれば、自然と融合する魅力にとりつかれる選手は多いはずだ。

 取材する側にとっても、青空の下で繰り広げられるレースを観戦することは、屋内での競泳とはひと味違う喜びが感じられる。オーストラリアなど海外勢には珍しくない競泳とOWSを両立させる選手が日本にも増えることを期待したい。

【写真】オープンウオーター・メディカルカンファレンスでOWSの魅力について語る鈴木大地さん(6月20日、共同)


伊藤 慎吾(いとう・しんご)1973年生まれ。福岡県北九州市出身。1998年入社。アテネ五輪やサッカーの02、06年ワールドカップ(W杯)などを取材し、2008年秋からスキーと水泳を担当


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