衝撃的な1年生の山上り 箱根駅伝、今年も5区に「山の神」
今年の箱根駅伝は、東洋大の初の総合優勝で幕を閉じた。その立役者となったのが山上りの5区で区間新の快走を演じ、往路優勝のテープを切ったスーパー1年生の柏原竜二だ。同じ福島県出身で「山の神」とまで呼ばれた今井正人(順大-トヨタ自動車九州)の区間記録を47秒も更新する走りは衝撃的だった。
これまで「山上りの名人」とうたわれたランナーはトラックでの実績はそれほどではない例が多く、その後の競技生活で世界に羽ばたくような活躍をした選手はあまりいない。ただ柏原の場合は「平場」での実績がもともとあった点で、従来型とは異なる。昨年は世界ジュニア選手権の一万メートルで7位になったほか、11月の全日本大学駅伝では学生陸上界のエースで北京五輪代表にもなった早大の竹沢健介を抑えて2区で区間賞を獲得するなどしている。かつて早大時代に5区で力を発揮した金哲彦氏が「走りが力強い。身体能力がよほど高いのだと思う」と驚くほどで、今後のトラックでの大成も楽しみだ。
こうした新しいヒーローの出現は大歓迎だが、どうもすっきりしない気持ちが残る。チームの総合力が問われるはずの駅伝で、あまりにも特定の一つの区間が全体の勝負に占める割合が大きすぎはしないだろうか。柏原が9位でたすきを受けた時点で、トップの早大との差は4分58秒。5分近い大差があれば常識的には、この区間での逆転はよほどのアクシデントがない限り不可能である。それが可能となってしまうあたりに、駅伝として興ざめな部分がある。
これには4年前に行われた区間割り変更が関係していると思う。2006年の大会から4区が「トラック選手の参加を促す」目的で21・0から18・5に短縮となり、5区が20・9から23・4に伸びた。それ以来、5区の力関係が往路の成績を左右する傾向が強まり、箱根の山で首位が逆転しての往路優勝は4年連続となった。前回大会では距離延長があだになり、終盤に走行不能となった順大の選手が途中棄権に追い込まれる悲劇も起きた。
駅伝は流れが大事だと言われる。今年の早大は3区の竹沢を含め、4区までの3区間で区間賞を占めた。それが5区で区間13位にとどまったことで、2区で14位まで落ちている東洋大に22秒差の往路2位に甘んじた。85回の歴史と伝統を誇る箱根駅伝では、以前から「山を制するものは箱根駅伝を制す」などと言われてきたが、5区でこれほどの逆転が続くと、「それまでの4区間の積み重ねはいったい何だったのか」という思いが消えない。毎年のように「山の神」と呼ばれるような存在が出現すること自体が異常なのではないだろうか。中継点のスペース確保など難題はあるのだろうが、区間割りの再検討が必要な時期がきているのかもしれない。
【写真】往路5区で早大・三輪真之(左)を抜いて首位に躍り出た東洋大・柏原竜二(2009年1月2日)
宮田 宏(みやた・ひろし)1970年生まれ。栃木県出身。93年入社。名古屋、大阪でプロ野球などを取材し、97年末から本社運動部。現在は主に陸上を担当。
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コメント
「それまでの4区間の積み重ねはいったい何だったのか」
だから駅伝は面白いんじゃないですか?
良くないことです。
順位の変動があってこそ楽しいのに…。と思います。
投稿者 : 2010年07月27日 19:00
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箱根は山なんだから山登りがあるのは当たり前だ。
山登りが嫌なら別の駅伝大会に出りゃいいだろう。
それぞれの大会の特徴を皆、潰していくというなら、マラソンも駅伝も何もかも皆トラックでやりゃいいじゃないか。
馬鹿げた論説には私は絶対に同意しない。
投稿者 : 2010年01月04日 14:04