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スポーツリレーコラム

2008年02月20日

「これぞ、アメリカ!」  記者会見で表現力の差痛感  

BS-0052__-200802191039_M.jpeg 1時間5分、1人で質問に答え続けた。2月18日、自分のドーピングに関する記者会見という、誰もが嫌がる場に立ったヤンキースのアンディ・ペティット投手(35)は、よどみなく話し続けた。「これぞ、アメリカだな」と思った。

 ペティットの言葉は、文章として完結しており、そのまま活字にできる。話すことを訓練した人間にしかできないことだ。日本の野球選手はもちろん、政治家でも、ここまでできる人は、そんなにいないのではないか。だが、米国育ちの大リーグのベテラン選手は、これができる。

 各球団がキャンプ初日のミーティングで選手に見せる映像に「メディア対処法ガイド」があるという。受け答えの模範例から、過去の失敗例まで盛り込まれており、ヤンキースの広岡勲広報は「本当によくできたビデオ。すごく面白い」と絶賛する。残念ながら、メディアは見ることができないが、毒づいたり、放送禁止用語を連発したりする失敗例も含まれているという。

 もちろん、プロになってからの教育だけで、よどみない返答ができるわけではない。同僚の見事な話しぶりを見ている松井秀喜選手は「日本の学校はやっぱり、暗記に重点を置いているんですかね」と、米国との違いを実感している。

 米国の学校は、自分で文章を作ること、そして発表することを徹底して鍛える。例えば、ニューヨーク市の公立小学校に通うわが家の長女の場合、週3度の読書感想文(1冊読み終わるのを待たず、読み進んだ分だけ書く)と週2度の自由作文の提出が義務付けられている。そして中学生になれば、討論の授業が始まる。

 知識を身に付ける場が「日本の学校」だとするなら、自分の考えを人に伝える方法を身に着ける場が「米国の学校」ということだろうか。少年時代から表現の技術を身に着け、プロ入り後に数々の取材を受けてきたスターたちが、長時間のインタビューに動じないはずだ。

 松井選手の大リーグ1年目、担当記者として米国のテレビから取材を受ける機会が何度もあった。球場を離れてから「何であんなことが言えなかったのか」と悔いるのはいつものこと。テレビ局に忍び込んでテープを処分したくなるほどの恥をかいたこともある。

 一歩引く、出かかった言葉をのみ込む。そんな沈黙を「美徳」として育てられたはずが、黙っていられず、声を大にして主張する仕事に就いた。だが雄弁だと思っていた自分が、雄弁さを大人のたしなみとする米国では、幼稚園児みたいに見える。言葉に詰まったときの言い訳ぐらい、うまく言いたい。

【写真】薬物使用問題で記者会見するヤンキースのアンディ・ペティット投手=18日、タンパ(共同)


神田 洋(かんだ・ひろし)1966年生まれ。東京都出身。高松支局、アマチュア野球担当を経て、95年からプロ野球担当。2003年、松井秀とともに渡米、ニューヨーク支局でヤンキースを中心に大リーグを取材。


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感服、感服、感服!!!
ペティット投手の表現力が想像できます。
僕も海外出張でよくいわれました。
「あなたの話を聞いていると日本の官僚の発言みたいだ」
「それで君の意見はどうなんだ」
われわれは英語力以前に問題がありそうです。

投稿者 伴 : 2008年02月21日 12:45


 伴さん、コメントありがとうございます。
 要は訓練なのでしょうね。腰を据え、時間をかけ、回り道をしながら、素晴らしい論を展開する人は、私の周りの日本人にたくさんいます。伴さんも、そうなのだと思います。ただ米国人は物事を考えると同時に、それをどう他人に伝えるかも考えているような気がします。頭の中で1度他人にしゃべっているような感じなのではないでしょうか。

投稿者 神田洋 : 2008年02月23日 01:32


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