高校野球の監督は老け顔? 指導者としての風格の現れ
高校野球の監督は見た目が実年齢よりずっと上。6月中旬に始まった全国高校野球選手権大会の沖縄大会から取材を続けてきた中で痛感していることである。
大阪代表として甲子園に出場した金光大阪の横井監督は32歳だが、とても自分より5歳も年下とは感じられない貫録があった。遊びたい盛りの何十人もの子どもたちを指導していくことで徐々に風格が身に着いていくのだろう。
大阪大会決勝で金光大阪に敗れた、中田翔を擁する大阪桐蔭の西谷浩一監督も自分と同い年とは思えない。昨夏の甲子園を制した早実の和泉監督は、優勝決定時で44歳。だが、白髪の目立つ容姿はもっと上に見えるし、今夏の選手権に出場した選抜優勝2度の実績がある広陵の中井監督の45歳もまたしかりである。
私自身も、甲子園大会の現場責任者として奮闘?しているが、それだけでは実年齢より上に見えるようなものは何も身に着かないようだ。自分は童顔なので、風格のようなものがあれば越したことはないのだが…。
それでも、年を取ったと実感することはある。選手に親の年齢を聞くと自分とほぼ同世代ということがあった。二十歳ぐらいでできた子どもは、親が三十代後半になるころには高校生になる。入社間もない九十年代半ばに取材した高校球児には特別なものは感じなかったが、三十歳を過ぎてから夏の甲子園を取材した時は選手たちが可愛いと思えたものである。
そんな中、強豪・常総学院の監督に何と76歳の木内幸男監督が復帰するというニュースがあった。夏2度、春は1度の甲子園制覇経験がある名将には、どこまでエネルギーが残っているのだろうか。孫ほども、いや孫以上も年齢の離れた子どもたちを指導する“おじいちゃん”。体調面は気になるが、そこは情熱でカバーしていくのだろう。自分の生まれるはるか前から監督を務め、再び現場に戻ってくる。高校野球の「魔力」に取りつかれたと、解釈したい。
それでは一体、高校野球の監督は何歳が適任なのか。過去10年間の夏の優勝監督の平均年齢を調べてみると46・8歳。この中には、10人の中には智弁和歌山の高嶋仁監督、駒大苫小牧の香田誉士史監督と2度優勝を経験している監督が2人もいた。
単純に解釈したら、選手たちとは年齢が離れすぎす、かと言って近すぎないという理想の年齢像が浮かんでくる。指導者として一番油の乗りきっているのが、この年代なのだろう。自分もその年齢に到達するころには、もっと立派な大人になっていたいと思う。
(写真=昨夏の甲子園で初優勝を飾った早実の和泉実監督)
榎本 一生(えのもと・かずき)1969年横浜生まれ、92年入社。プロ野球担当、大相撲担当などを経てことしから高校野球担当。取材で最も印象に残っているのは1994年夏の甲子園佐賀商の優勝。
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