
開票結果に目を潤ませる安倍首相=29日午後11時8分、東京・永田町の自民党本部
52歳の若さで政権のトップに就いた「選挙の顔」の威光は、初めての審判で大きく失墜した。参院選で自民党惨敗、与党の過半数割れを招いた安倍晋三首相。年金記録の不備、閣僚の失言、政治とカネ…。相次ぐ失点に防戦一方だった選挙戦。終盤には実績をアピールする演説にも“懇願”がにじみ、首相の応援を断って「安倍隠し」に走る陣営まで出た。
歴史的大敗が明確になった29日深夜の自民党本部。「惨敗の責任はわたしにある」。安倍首相はそう認めながら「わたしの新しい国づくりはスタートしたばかり」と続投を表明した。「逆風の中、大変苦しい状況になった…」。能面のように表情を失った顔は、厳しい戦いを振り返っているように見えた。
実際、最終日に首相が東京・お台場などを歩いた際、普通ならそばにいるはずの候補者との距離が徐々に開いていった。ある選対幹部は支持者から忠告されたという。「あんまり(候補者に)演説で安倍さんのことを話させるな。不人気に引きずられて票が減る」
ほかにも、松岡利勝前農相の自殺や後任の赤城徳彦農相の事務所費問題、久間章生前防衛相の失言が足を引っ張り、対応も後手に。若さと甘いマスクに国民的な人気が期待された「選挙の顔」は、自民党候補の陣営からも敬遠される存在になった。
最後まで維持した強気。しかし、演説は懇願調になっていった。「勝たせてください」「力を与えて」。願いはかなわなかった。