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特定非営利活動法人国境なき医師団日本 02/09 13:45

【プレスリリース】シリア:医療の場が迫害の道具に


2012年2月9日

国境なき医師団(MSF)日本

シリア:医療の場が迫害の道具に

シリア政府は病院を監視下に置き、反体制デモの負傷者と、その負傷者を治療しようとする医療従事者を厳しく弾圧している。
国境なき医師団(MSF)は、医療の場を迫害の道具として悪用することを今すぐに止め、医療活動を尊重するよう強く求める。
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MSFフランス事務局の会長、マリー=ピエール・アリー医師は述べる。
「現在のシリアでは、負傷者と医師が迫害され、保安部隊による逮捕や拷問に脅かされています。医療の場が迫害の道具として悪用されているのです」

現在、MSFはシリア国内で活動を開始できない状況にあるが、国外で治療を受けている負傷者や、国内の医師たちから証言を得ている。シリア国内の異なる地域に住んでいた人びとによるこれらの証言は、医療活動が厳しい取り締まりの対象となり、負傷者への迅速な治療が妨げられていることを指摘している。

避難先の国でMSFの治療を受けている、ある患者は、こう証言する。
「太ももにけがを負い、軍に捕まりました。頭と患部を殴打されましたが、知人たちの助けで何とか逃げ出したのです。苦労しましたが、治療してくれる人を見つけました。医師ではなく看護師です。ですが、麻酔の備えもありませんでした」

シリアの保安部隊は、抗議活動やデモでけがを負った患者を探している。拷問や逮捕を恐れ、負傷者の大半は公立病院での治療を避け、入院する場合も偽名を使って身元を隠すことがある。また、捜索の目をそらす手助けとして、医師たちもときに診断を偽っている。

負傷者が治療を受けているのは、医療従事者らが有志を募ってアパートや農場に設置した非公式の診療施設で、間に合わせの手術室を備えた簡素な外科施設は「移動病院」と呼ばれている。しかし、衛生状態が悪く、麻酔薬や薬剤、ガーゼなど最低限の医療物資さえ足りていない。

ある医師は、匿名を条件にこう証言している。
「保安部隊が移動病院を攻撃し、破壊していくのです。連中は住居に押し入り、薬剤と医療物資を探しまわります」

秘密裏に医療活動を続ける医師たちにとって、最大の懸念は身の安全である。
多くの医師が逮捕され、拷問を受けている。恐怖が支配する環境下で、当局の捜索を避けるために医療従事者と患者は絶えず移動しなければならず、治療にかけられる時間も限られている。特に大きな外傷の治療や術後ケアは極めて困難な状況にある。
また、当局の目を逃れて活動する医療従事者には、シリア国防省が管理する国内唯一の血液供給機関、中央血液銀行から血液を取り寄せることができない。

アリー医師はこう語る。
「シリア当局は今すぐに、医療施設の中立という医の倫理を遵守しなければなりません。負傷者への迫害や拷問のない治療の場として、病院は保護されるべきです。医療従事者も、職務上の倫理規範に従ったがために、その命が脅かされるようなことはあってはなりません」

数ヵ月にわたりMSFは、シリア国内での負傷者の援助について公式認可を求めているが、これまでのところ成果は出ていない。MSFは、シリア国外で負傷者の治療にあたり、国内の医師たちの非公式ネットワークに、薬、医療物資、外科・輸血キットを提供している。