第11回世界陸上選手権の開幕を告げる男子マラソンは25日午前7時から、大阪市長居陸上競技場を発着点に行われる。スピードでは劣る日本勢は予想される酷暑の下、粘りの走りで活路を見いだしたい。5選手とも夏のレース経験や対応力があり、日本のメダル第1号が期待される。
その中心は34歳の前回ヘルシンキ大会銅メダリストの尾方剛(中国電力)だろう。勝負勘に優れ、今回の日本代表でただ一人、主要マラソンの優勝経験を持つのは強み。調整も順調だ。アテネ五輪6位の諏訪利成(日清食品)はレースをまとめる能力に優れた選手。走り込みも十分でメダルを狙える位置にいる。
昨年のドーハ・アジア大会3位の大崎悟史(NTT西日本)も終盤の追い込みに定評がある。故障による出遅れが痛いが、生まれ育った大阪で力を出し切りたい。旭化成からは2人が出場。久保田満は昨年の北海道で2位に入るなど暑さに強い。補欠から繰り上がった佐藤智之もスタミナに定評があり、上位を狙う。
メダルを獲得した日本人1位は来年の北京五輪代表に決まる。
海外勢は「皇帝」ハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)、アテネ五輪王者ステファノ・バルディニ(イタリア)らが出場を回避し、日本勢にとってはメダルが近くなった印象がある。
だが、3連覇を目指してエントリーしたジャウアド・ガリブ(モロッコ)を最大の強敵に、アジア大会を制したムバラク・ハッサン・シャミ(カタール)も力がある。ケニア勢では日本の暑さを知るJFE所属のラバン・カギカが不気味な存在。夏のレースは伝統的に力を発揮するスペイン勢や、タンザニア、米国勢も要注意だ。
暑くなれば日本勢有利 日本陸連の瀬古利彦理事
「実際の力だけ考えると日本選手は苦戦するところ。だが日本の暑さで差し引けば戦えるだろう。メダルの可能性も十分にある」と日本の男子マラソンの元エース、瀬古利彦氏(日本陸連理事)は指摘する。
大会組織委員会が発表した資料によると、過去12年間で男子マラソンがある8月25日の大阪の平均気温はスタート時の午前7時が26・6度で2時間後の同9時は28・7度。だが日差しが強ければ体感温度はより上がる。瀬古氏は、加えて日本独特の湿度が3連覇を目指すジャウアド・ガリブ(モロッコ)ら海外勢を悩ませるとみている。
日本の中心は前回銅メダルの尾方剛(中国電力)、アテネ五輪6位の諏訪利成(日清食品)。瀬古氏は「日本の5人の代表選手はスピード型ではなく、全員粘れるタイプ。どんどん暑くなった方が有利になる」と、谷口浩美(旭化成=現OKI監督)が金メダルに輝いた1991年東京大会のような“耐久レース”を理想とした。
記録を狙うレースとは違い、勝負がかかるマラソンでは前半はけん制し合って超スローな展開がしばしばとなる。だが後半に入ると一気にペースアップを繰り返し、そのたびに先頭が入れ替わりながら優勝争いが進むことが多い。瀬古氏は「大阪城内の起伏で元気な選手がまず仕掛けて、28キロぐらいから本当の駆け引きが始まるのでは」といかに力を温存して終盤の勝負どころにつなげるかをポイントに挙げた。
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