音楽玉手箱
「DVD=1」ひめキュンフルーツ缶『威風凛々~Run before the wind 第一章~』 松山城のオブジェを背景に、本気度120%のロックなパフォーマンス

ひめキュンフルーツ缶『威風凛々~Run before the wind 第一章~』
ひめキュンフルーツ缶『威風凛々~Run before the wind 第一章~』

愛媛発・ご当地アイドルグループ…の枠を超え、全国で活躍中のロックアイドル「ひめキュンフルーツ缶」。本作は彼女たちが夢のひとつと掲げる「ひめぎんホール・メインホールでのワンマンライブ」への大きな一歩となる、2016年1月開催の初のホールワンマンライブの模様を収録している。

いわゆる「アイドル」を想像して臨むと面食らってしまうほど、力強いパフォーマンスが畳み掛けるように続く。楽器こそ持たないものの、ギターがうなり、ビートが走る骨太の楽曲に合わせて歌い踊る姿は真剣そのもの。会場も、その熱に巻き込まれるかのようにアツい。ステージ中央には、松山城をモチーフにしたオブジェがその様子を見守るようにそびえ立っている。

特典映像であるドキュメントには、振付師・南流石氏によるダンス指導の様子が記録されており、舞台裏がこれまたアツい。このライブが一区切りとなる第一章に、続く第二章、そしてその先へと、ひたすらに疾走する彼女たちの本気度は120%。こういうアイドルの有り様もあるのかと、ただただ圧倒された137分だった。

(徳間ジャパンコミュニケーションズ・3889円+税)=玉木美企子

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「DVD=2」RIP SLYME『Tour of Ten FINAL at BUDOKAN』 本編はもちろん、特典映像にオーディオコメンタリーまで見どころ満載

RIP SLYME『Tour of Ten FINAL at BUDOKAN』
RIP SLYME『Tour of Ten FINAL at BUDOKAN』

人気を集めれば集めるほど、注目されればされるほど、人の「輪郭」がはっきりと、強くなっていくように見えるのはなぜだろう―。4MC&1DJの言わずと知れたヒップホップユニット「RIP SLYME」もまた、全員が異なる際立った個性を放っているのに全体としてしっくりとまとまっていて、画面からも「スター」の輝きが伝わってきた。結成から約20年、その間に数々のヒットチューンを世に送り出しながら研ぎ澄まし、磨き上げられた魅力というものなのだろう。

そんな彼らの約4年半ぶりとなる全国ホールツアー「Tour of Ten」のなかから、千秋楽となる日本武道館の模様を収録したDISC1。小型の懐中電灯でフロアを煽りながら幕を開けたダンスフロアライブは、chay、ヨースケ@HOME、浜野謙太(在日ファンク)といった豪華ゲストを交え、新旧楽曲を織り交ぜたバランスの良い展開。オーディエンスがメンバーと同じ振り付けで踊るあたりに、いわゆる硬派な「ヒップホップ」のイメージを覆してきた彼ららしさを感じる。

そしてDISC2には特典映像として、過去のフェスでの貴重なライブ映像や2015年公開の4曲のMV&メイキングミックス、さらに本作のためだけに収録されたラジオ番組の映像化(面白かった!)といった、魅力的なコンテンツが惜しみなく盛り込まれている。

そうそう、一度2枚を見終わったら、もう一度DISC1に戻ってオーディオコメンタリーを楽しんでほしい。メンバー全員に加え、なんと宇多丸(RHYMESTER)とBose(スチャダラパー)という2人の大先輩が登場し、鋭利なオモシロ角度から、ライブはもちろん彼ら自身の赤裸々な思いに切り込んでいる。

(ワーナーミュージック・ジャパン・4800円+税)=玉木美企子

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「DVD=3」U2『イノセンス+エクスペリエンス ライヴ・イン・パリ』 「人生という旅」を感じさせる圧巻のステージを映像作品に

U2『イノセンス+エクスペリエンス ライヴ・イン・パリ』
U2『イノセンス+エクスペリエンス ライヴ・イン・パリ』

2015年、北米・欧州の22都市での76公演で動員した人数は120万人以上。U2ならではの桁違いのワールドツアーの中でも、本作に収録されたパリでの公演は特別なものとなってしまった。同年11月に開催されるはずだったライブが、テロにより1カ月延期。そのためオープニングから「自由の都・パリ」を改めてたたえる強いメッセージを放っている。

たんなる「ライブ映像の記録」を超え、一つの映像作品として仕上げられた2枚組の本作。少し前に、「音楽の政治性」についての議論がネット上で起きたことを記憶しているが、そんな議論そのものが空しく思えるほど、U2のステージには世界の「今」から母への思いまで、自らを取り巻くすべてがこの場所に表現されていた。

パフォーマンスの途中には、オーディエンスをステージにあげ、その1人にスマートフォンを持たせてメンバーを撮影させるという演出も。音楽を志した10代の頃の思い(イノセンス)と、現在の彼ら(エクスペリエンス)がステージ上で交差し、時空を旅するような世界観を、音楽と(会場に設置された約30メートルのLEDスクリーンをはじめとする)最新の技術で立ち上げていく。それは、ごく私的な思いのようでいて、見事に普遍へと昇華されているのだった。

やっぱり、すごい。パティ・スミスとの共演を含むボーナス・マテリアルが収録されたDISC2まで見終わった後、しばしぼんやりしてしまった。

(ユニバーサルミュージック・5300円+税)=玉木美企子

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