音楽玉手箱
「大ヒット盤」山本彩『Rainbow』 間違いなくスーパーアイドル

山本彩『Rainbow』
山本彩『Rainbow』

初のソロアルバム。ブックレットに各楽曲の演奏者名がクレジットされている点からも、NMB48のレギュラー作とは異なる意気込みが伝わる。

全13曲中、山本が6曲の作詞、7曲の作曲を手がけ、詞も曲もタイトル通り多彩。何より自作曲も提供曲も、正確なリズム感や声の抜け具合など抜群に歌が上手い。これで、ダンスやグラビアも完璧なのだから、間違いなく彼女はスーパーアイドルだろう。

その一方で、綺麗にまとまり過ぎなのか、CM用の明解な歌詞とアコギ&ハーモニカ演奏の『ひといきつきながら』以外は、やや印象が薄い。また、スガシカオやGLAYのTAKUROの提供曲ですら、いつもの彼らのギラツキが少ない。他にも、失恋の『雪恋』や片恋の『彼女になりたい』なども、なりふり構わず歌えばもっと良くなる気がする。

いずれにせよ、期待値が高いのは、彼女の潜在能力が信じられる証拠。本作から、音楽で勝負するアイドル出身歌手の歴史をもっと追いたくなるはず。

(よしもとアール・アンド・シー・CD+DVD初回盤3300円+税)=臼井孝

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「再ブレーク盤」鬼束ちひろ『good bye my love』 新生・鬼塚ちひろ5年ぶりのシングル

鬼束ちひろ『good bye my love』
鬼束ちひろ『good bye my love』

メジャーレーベルからは約5年ぶりのシングル。その間は、メークやトークなど予測不可能な行動が多く、色々な意味で聞き手をハラハラさせたが、本作は音楽に集中して楽しめる。

表題曲は、別れのシーンを歌っているのに、決して悲しくならないバラード。力強くも優しい歌声からは、別れた相手への感謝や、同じ立場にいる女性をも包みこむ慈愛が満ち溢れている。「悲しいだけのlovesong もう歌えない」というフレーズも、新生・鬼束ちひろを象徴するようだ。

カップリングでは、花岡なつみに提供した『夏の罪』のセルフカバーを収録。羽毛田丈史による繊細な編曲で鬼束が歌うと、“罪”度合いが5割増になるから面白い。

CDでは他に、穏やかな『碧の方舟』や、言葉の重みがより伝わるようになった『月光』のライブ版を収録し、DVDには楽曲の世界観がより深まる2曲のビデオを収録。本作を聴けば、物事に関して相反する見方の双方に理解を示せるはず。

(ビクター・CD+DVD初回盤1700円+税)=臼井孝

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「隠れた名盤」MAX LUX『砂の果実 Fujiyama Paradise Tribute』 ロシア人トリオと歌謡曲の化学反応

MAX LUX『砂の果実 Fujiyama Paradise Tribute』
MAX LUX『砂の果実 Fujiyama Paradise Tribute』

作詞家・売野雅勇が見いだしたロシア人女性トリオによる彼の作品のカバー集。ダイナミックなハーモニーは、コーラスのEVEを想起させる。

本編の12曲は、ディスコやサルサ、レゲエなどダンサブルで、管楽器の響きも相まってどの曲も情熱に満ちている。そこに(ロシア人×歌謡曲)の化学反応で、憂いや気品が加わるのが面白い。『ジュリアに傷心』や『め組のひと』も原曲と異なる味わいで良いが、ヒット曲以外だと喜びが倍増する。

例えば、中西圭三作曲の『Respect』はヒット狙いでファンキーだし、筒美京平作曲の『摩天楼ブルース』は、メインとサブのボーカルが掛け合う様式美が際立つ。そして、どの歌詞もやや気障だが憎みきれない人物像が浮かび上がるほど完成度の高さに気づく。これも、豊潤な歌声あってのことだろう。

ボーナス収録のオリジナル曲(芹澤廣明作曲)も麗しく、聞き惚れる。本作により、過去の実績に関係なく、人の魅力をもっと探求したくなるはず。

(ポニーキャニオン・3000円+税)=臼井孝

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