音楽玉手箱
「DVD=1」 くるり『NOW AND 弦』 結成20周年を迎えた彼らが今に重ねる音、表現

くるり『NOW AND 弦』
くるり『NOW AND 弦』

2016年、バンド結成から20周年の節目を迎えたくるりのライブ作品2枚組。Disc1は2016年9月、7thアルバム『ワルツを踊れ Tanz Walzer』のレコーディングにも参加した作曲家フリップ・フィリップ氏とウィーン・アンバサーデ・オーケストラとともに行ったライブ「NOW AND 弦」(2016年9月東京・Bunkamuraオーチャードホール)の様子を収録。そしてDisc2には特典映像として、彼ら自身の過去のライブを再現する「NOW AND THEN」シリーズより、メンバー監修のもと選出された20曲のライブ映像を収録している。

まず、DISC1「NOW AND 弦」。岸田氏が「敬愛する」というフィリップ氏をステージに迎え、とてもうれしそうな表情が印象的だ。いわゆる「オーケストラアレンジ」されたロックやポップスは正直苦手なのだが(ちなみに歌謡曲のボサノバアレンジも苦手)、そこはくるり。彼らの世界観のなかにオーケストラという表現手段を見事に招き入れている。じつは、このライブの3日前に予定されていた音楽フェス「京都音楽博覧会」へのフィリップらの出演が、強まる雨足のため中止になり、急遽「LINE LIVE」での配信となったとか。ステージ上の彼らの晴れやかさのなかには「やっとステージでできた…」という感慨もあったのかもしれない。

そしてDISC2「NOW AND THEN」は、素晴らしい企画だ。音楽はタイムカプセル、なんて、よく言われる。つい、「懐かしのあの曲!」と過去のほうにフォーカスしてしまいがちだし、アーティストのなかには「思い出にしばられたくない」なんて言うひともいるかもしれないけれど、本当は、音楽は生まれ出でた瞬間からTHENであり、ともにNOWがある。機材も含めてTHENをしっかりと再現してみせたらなおさら、NOWが浮かび上がってくる。流れた年月、その間の研鑽や、抗えぬ加齢や、みんなの人生に降り注いだいろいろなことや。だからDISC2を観ていると大きな時間をまるごと感じられる。そしてなんだか、すぎゆく時間のすべてが愛おしく思えてくる。

(SPEEDSTAR RECORDS・5000円+税)=玉木美企子

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「DVD=2」 南野陽子『NANNO 30th & 31st Anniversary』 アイドルは封印!? 記念コンサートで数々の名曲を堪能

南野陽子『NANNO 30th & 31st Anniversary』
南野陽子『NANNO 30th & 31st Anniversary』

タイトルどおりデビュー30周年、そして31周年を記念したコンサートの様子を収録した本作。三方背BOXケースでデジパック、そして同梱のブックレットにはライブ写真やオフショットとともに彼女自身の思いを綴ったエッセイがたっぷり収録されているという豪華仕様で、外もナンノ、中もナンノ、開けても…の、ナンノづくしがうれしい。2枚組でこそないが、アニバーサリーにふさわしい充実の内容となっている。

懐かしのテレビドラマ「スケバン刑事」の映像が流れた後、意表をついた登場(ぜひ本作で確認してほしい)、そしてあの「鉄仮面」を手に歌う。ちょっと緊張したような表情で、大きく口を開けて歌う姿がとにかくかわいい。

また、改めてナンノの楽曲は名曲ぞろいだと実感させられた。『涙はどこへいったの』『秋からも、そばにいて』『はいからさんが通る』…! かつてあるテレビ番組で「曲のアレンジや演出にはすべて意見を言ってきた」と話していたが、たんに耳障りがよいだけでなく、一作ごとに「実験」を感じる楽曲の幅広さと豊かさにうなってしまった。個人的に秀逸と感じたのは、アンコールで歌われた『フィルムの向こう側』。大好きだったことも忘れていたけれど、懐かしい記憶の扉が開き、胸が熱くなった。

事前インタビューでは、本公演で一旦「アイドルとしてのナンノは封印」という言葉も聞かれている。ステージの最後に「私も年相応の、老眼のおばあさんの役も演じていきたいですから」と話されていた。もちろん、アイドルとしての彼女を見続けていたいけれど、一人の人間として真っ当な考えではないだろうか。南野陽子さん(あえて「さん」を付けたい)というひとは、とても自立した大人の女性なのだということが、本作に触れてよくわかり、改めてファンになってしまった。

(GT music・6000円+税)=玉木美企子



「DVD=3」 アクセプト『レストレス・アンド・ライヴ』 地元ドイツでの最新ライヴを収録

アクセプト『レストレス・アンド・ライヴ』
アクセプト『レストレス・アンド・ライヴ』

まず最初に、私はヘヴィ・メタルについてまったくの素人であることをお断りしておきたい。本当に失礼な話だが、ヘビメタ=空耳アワーが思い出されてしまうくらい貧困な経験しか持ち合わせていない。しかし、なんだか観ていてとても楽しかった。本作はドイツはゾーリンゲンで結成されたヘヴィ・メタルバンド、アクセプトが、2015年に地元ドイツのその名も『BANG YOUR HEAD!!!』(タイトルがもう…)出演時に撮影した素材で構成した、最新ライヴ映像だ。

ヘヴィ・メタルってなんだか怖くて危険なものかと思っていたけれど、ステージ上のメンバーたちのさわやかな笑顔と、きれいにフォーメーションを組んでギターをかきならすという秩序を感じる姿に1曲目から予想を裏切られてしまった。以前、「KISS」が歌舞伎役者の姿で浮世絵調に描かれていた記憶があるが、そうした「様式美」との相性の良さようなものがヘヴィ・メタルにはあるのかもしれない(予想です)。間奏で『エリーゼのために』をフィーチャーしたヒット作『METAL HEART』、同じくグリーグの『ペール・ギュント』を取り入れた『FINAL JOURNEY』など、聴き馴染んだメロディが流れてきたのも、親しみがもてた。

ミュージシャンは、魂の代弁者。なんて、大げさかもしれないけれど、道端でこんな風に叫んでいたら通報されてしまう。でも、私たちだって叫びたいときはある。だから、ヘヴィ・メタルがあるのだと思う。アクセプトの、初期メンバーでの結成はなんと1968年だそうだ。これからも叫び続け、熱狂のなかにある透明な世界を見せ続けてほしい。

(Ward Records・4000円+税)=玉木美企子

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