音楽玉手箱
<ブレーク盤> 知念里奈『20th Anniversary -Singles & My Favorites-』 終始、声のキレが良い

知念里奈『20th Anniversary -Singles & My Favorites-』
知念里奈『20th Anniversary -Singles & My Favorites-』

1996年にデビューし、98年の1stアルバムは週間1位を獲得、近年はミュージカルで人気の女性の20周年記念盤。

Disc1は、初期5年間のシングル表題全15曲を収録。明るい曲調も激しい曲調も、とにかく高音ボーカルのダンスチューンが連続するが、終始、彼女の声のキレが良く感心する。やや力んでいる気もするが、その懸命さも彼女の魅力だろう。

Disc2は、初期のオリジナル曲に加え、今回の新録音3曲を収録。ここでは穏やかな曲がぐんと増え、近年ファンになった人も好みそうだ。特に、新録音の『好きだったよ』は優しくメロウな歌声に余裕を感じるし、『命をあげよう』と『夢やぶれて』は、ピアノ伴奏だけとは思えぬほど、スケール感のある歌声が溢れている。才人なだけに久々に新作が聴けること自体が嬉しい。

ブックレットには、彼女の音楽への真摯な姿勢が伝わるインタビューも掲載。本作を聞けば、たとえ時間がかかっても、形を変えても努力が報われると信じられるはず。

(ソニー・2778円+税)=臼井孝

この商品を購入する



<大ヒット盤> 小泉今日子『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』 全楽曲のスタッフ証言も読めて“そうだったのか!”の連続

小泉今日子『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』
小泉今日子『コイズミクロニクル~コンプリートシングルベスト 1982-2017~』

35周年記念のシングル集。常に前衛的な作品を発表してきた彼女にしては地味に見える外装だが中味は豪華だ。

まず、シングル50曲には、別名義や両A面、近年の配信限定などベスト選外になりがちな楽曲も収録。中でも『夏のタイムマシーン』は、爽やかな青春&応援ソングで、10分近くなのに自然に聴ける。また、サラリと歌いつつ随所にコブシ的節回しも見られ、彼女がJ-POPも歌謡曲もこなせる所以がここにあると実感。

そして、特筆すべきは約360p、70人の証言に基づいたスペシャル書籍だろう。何でもコイズミ流になるという絶対的信頼から、各クリエイターが最高の“初モノ”を目指してきたことが分かる。本書籍は“そうだったのか!”の連続で、各曲への理解は感動的に増幅。この“全楽曲のスタッフ証言+音源”という形式は、今後伝説のアイドル歌手達にも応用すべきだろう。

ビジュアルブックの方は、当時のアートワークが中心。本作を堪能すれば、自分を支えてくれた人々の笑顔が見えてくるはず。

(ビクター・初回限定盤BOX 3CD+2BOOKS 6500円+税)=臼井孝

この商品を購入する



<隠れた名盤> 北原ミレイ『北原ミレイ~阿久悠作品を歌う』 どの登場人物も、この人が歌うと“訳あり”に

北原ミレイ『北原ミレイ~阿久悠作品を歌う』
北原ミレイ『北原ミレイ~阿久悠作品を歌う』

本人が恩師と仰ぐ阿久悠の作詞曲を集めたアルバム。イラストも歌声のイメージ通りだ。

全12曲中10曲は、他の歌手によるヒット曲のカバーだが、低音の北原が歌うと、どの登場人物も“訳あり”になるのが興味深い。例えば『思秋期』は、十代の美しくも切ない岩崎宏美版とは対照的に、その輝きが戻らぬ事への悲哀が満ちる。他方、堺正章『街の灯り』の北原版は、苦難を乗り越えたシルバー世代への応援歌にも聞こえる。勿論、ダイナミックな原曲の方が良いという声もあろうが、景色を一変させる“名歌手”だと実感する。

他の2曲は、北原自身の『ざんげの値打ちのない(完全版)』とピアノや弦楽器の演奏が切ない新曲『マニキュア草紙』。前者では、愛憎のあまり“鉄格子”に入る女性を演じ、後者も年老いたからこそマニキュアの意味が深まる。阿久悠は、何十年経っても色あせない作品を目指していたことを確信した。

本作を堪能すれば、ただ古いだけと思っていたモノへの愛着が沸いてくるはず。

(徳間・1852円+税)=臼井孝

この商品を購入する



アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…