格闘技
TKO防衛井上と判定負けの内山 明暗分けた2人の強打者

3回、河野公平(左)を攻める井上尚弥=有明コロシアム
3回、河野公平(左)を攻める井上尚弥=有明コロシアム

日本ボクシング界は年末の世界戦ラッシュが恒例となっているが、昨年も大いに盛り上がった。

その中、4度目の防衛を目指した世界ボクシング機構(WBO)スーパーフライ級王者の井上尚弥(大橋)、王座返り咲きを狙い、リベンジの舞台に立った前世界ボクシング協会(WBA)スーパーフェザー級スーパー王者の内山高志(ワタナベ)。両者の闘いがひときわ注目を浴びた。そして、「明と暗」がはっきりと分かれた。

井上の群を抜く才能は誰もが認めている。スピード、パワーに加え、類いまれな勝負根性も持ち合わせ、日本のエース格に成長してきた。

相手は前WBA同級王者の河野公平(ワタナベ)。最後のチャンスとばかりに捨て身で挑んでくるのは容易に想像できた。案の定、初回から河野は左右フックを振り回してくる。すべて井上の読み通り。

6回、見事な左フックでダウンを奪い、あっという間にTKO勝ちにつなげた。詰めの鋭さも文句なし。最近は拳、腰などの故障に泣かされてきたが、不安を吹っ飛ばす快勝。本人も「どこも痛めずに終わったのはよかった」と久しぶりに笑みが広がった。

近い将来、大きな目標が待ち受けている。全階級を通して最強とも言われる世界ボクシング評議会(WBC)同級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)との大一番である。

無敵のゴンサレスの強さは本物だが、井上なら勝つ可能性があるのではないか。その能力を最大限に発揮すれば、高いハードルを越える予感がする。

井上とは対照的に意気消沈しているのが内山である。WBAスーパー王者のジェスレル・コラレス(パナマ)へのリベンジに燃えていたが、1―2のスプリットによる判定で敗れた。

消化不良の感が強く、本人も納得していないのではないか。進退に関心が集まるのは当然だが、「しばらく休ませてほしい」と明言を避けた。

果たして、歴史に残る強打者はどういう道を選ぶのだろうか。コラレス戦では王者の変則的な動きについていけず、得意のパンチが空を切る場面が目立った。

一発でKO決着するパワーを秘めているが、それが当たらない。年齢も37歳2カ月。引退の潮時と見る向きも多いが、逆に「あの内容では引退に踏み切れないのでは…」という声も聞く。すべては内山の決断次第。その時が待たれる。(津江章二)


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