モータースポーツ
やはり、酉年は「縁起の良い年」なのか トヨタがWRC復帰2戦目で優勝の快挙

ラリー・スウェーデンを制して、表彰台で笑顔を見せるトヨタのヤリマッティ・ラトバラ(左から二人目)=WRC
ラリー・スウェーデンを制して、表彰台で笑顔を見せるトヨタのヤリマッティ・ラトバラ(左から二人目)=WRC

酉(とり)年は「縁起の良い年」―。そんな話を先月の当コラムで書いた。すると、どうだろう。節分を過ぎてすぐの12日にビッグなニュースが飛び込んできた。今季、18年振りに世界ラリー選手権(WRC)に復帰したトヨタが、2戦目となるラリー・スウェーデンで優勝を勝ち取ったのだ。

WRCは、F1と並ぶモータースポーツにおける最高峰カテゴリーの一つ。今回勝ったトヨタのエースドライバー、ヤリマッティ・ラトバラ(フィンランド)も、復帰2戦目での優勝は驚きだったと語った。快挙を成し遂げたラトバラはWRCで通算170戦以上出場しているベテランで、今回の勝利で通算17勝目となる。しかし、それ以上に印象的だったのが、レース終了後の記者会見でスポーツ選手なら誰でもぶつかるモチベーションの壁に苦しんでいた事実を明かしたことだ。

「昨シーズン後半は、いまだから正直に認めるけれど集中力も落ちていたと思う。だから、僕がトヨタという新たなチームでドライビングするチャンスを得たことで、僕自身へのモチベーションを一気にブーストアップすることができたんだ。トヨタは素晴らしいスピリットを持ったチームで、僕の気持ちを再び奮い立たせてくれた。以前のチャンピオンを目指していた僕を呼び戻してくれた」

ラトバラは17歳だった2002年にWRCデビューを果たした時から「いつかはチャンピオンを取る器」と言われ続けてきた。だが、そんな彼の前には2人の名ドライバーが立ちはだかることになる。04から12年まで9年連続で王者に君臨した「絶対王者」のセバスチャン・ローブと、引き継ぐように13年から4連覇しているセバスチャン・オジェだ。しかも、ラトバラ自身、昨季までの4年間はオジェのチームメートとして、フォルクスワーゲン(VW)に在籍。目の前で王者を見続ける悲哀を味わってきた。

どんなに才能あるアスリートであっても、モチベーションが保てなければミスをしてしまう。そんなときに出会ったのが、同じフィンランド人で4度の世界王者となったトミ・マキネンが代表となり、チーム本拠地もフィンランドに作ったトヨタだった。VWが突然、WRCからの撤退を発表し、急きょ決まった話だった。

トヨタにとっても、ラトバラの獲得は酉年らしく「羽ばたく」ための最高の幸運だったといえる。03年にスバルで年間王者に輝いたペテル・ソルベルグ以来となる日本車メーカーの王者となることができるのか、無冠の天才・ラトバラに今後も注目してみたい。(モータージャーナリスト・田口浩次)


ブックマーク用固定リンク先→やはり、酉年は「縁起の良い年」なのか トヨタがWRC復帰2戦目で優勝の快挙


酉年のシーズンにファンを“取り”込めるのか 話題満載のモータースポーツ(01月18日)

来年はWRCが再び人気を呼びそう トヨタが18年ぶりに復帰(12月21日)

デビュー11年目での初戴冠はなるか 粘り強さを身につけたロズベルク(11月16日)

難しさを増すメディアとアスリートの関係 誰でも意見が発信できる時代が生んだ騒動(10月19日)

F1人気の復活につながるか、注目 米企業が運営権を取得(09月21日)

厚いサポート体制、モータースポーツにも リオ五輪での日本勢の活躍に思う(08月24日)

視線はすでに18年シーズンへ F1のストーブリーグ、早くも“開幕”(07月20日)

「夢のコンビ」に悲願達成を期待 ルマン24時間に挑むトヨタ(06月15日)

期待のドライバーが記した偉大なる一歩 フェルスタッペンが最年少でF1優勝(05月18日)

F1で起きた“朝令暮改” 予選の新方式、わずか2戦で見直し(04月20日)