記者コラム
浅草、再びエンタメの街に 演芸からアイドルまで

「浅草フランス座演芸場東洋館」(左)と「planter*」で歌う多摩川ヘビ子さん
「浅草フランス座演芸場東洋館」(左)と「planter*」で歌う多摩川ヘビ子さん

浅草といえばかつて、映画館や芝居小屋などが軒を連ねる「興行の街」だった。戦後、テレビの普及や娯楽の多様化に伴い、映画館などが次々と姿を消し、街は寂しくなったが、近年は東京スカイツリー効果もあって街は活気を取り戻し、国内外の観光客が押しかけるようになった。

観光客の多くは雷門から仲見世通りを通って浅草寺にお参りし、グルメのお店やホッピー通りなどを訪れて…というパターンだと思うが、実は浅草、いま「エンターテインメントの街」としても再び注目を集めているのだ。

そのメジャーどころから、かなりディープな穴場まで駆け足で紹介してみたい。まずは漫才や手品などを楽しむことができる「浅草フランス座演芸場東洋館」。前身はストリップ劇場で無名時代の井上ひさしが座付き作家を務め、萩本欽一、ビートたけしらお笑いのビッグスターも若いころ、ここで修業していたことで知られている。

東洋館ではさまざまな芸人が日替わりで登場。現在94歳で現役最高齢芸人といわれる内海桂子師匠も月数回出演している。ご自身のツイッターによると最近骨折してしまったとたということだが、一日も早く回復して舞台に戻っていただきたい。

お次は「虎姫一座」。東洋館のお向かい、ドン・キホーテ浅草店7階にある専用劇場で日々、アイドル顔負けの美女たちが懐かしの昭和歌謡レビューなどを上演し、オジサマたちを夢中にさせている。1時間以上にわたるショータイムの間、一座のメンバーは何度も衣装替えをしながら「東京キッド」などの歌謡曲や洋楽ヒットナンバーを熱唱し、コント仕立てのミュージカルも披露。最後は客席に下りてのハイタッチなんかもあり、会場は大盛り上がりとなる。いろんな意味で青春を取り戻したい人にお薦めである。

最後はかなり変わり種で、遊園地「浅草花やしき」横の路地裏にある小さなカフェ「planter*」。アイドル、モデルなどいろいろな夢を持った女の子たちがそこで日替わりの定食やドリンクなどを提供しながら、店内で歌のライブも行っている。いわばアキバとアサクサとが融合した空間といったところか。代表を務めるのは地下アイドル活動も行っている大学生の多摩川ヘビ子さん。アイドル、店舗プロデューサーとして成長するべく、日々アイデアを練っている。いざ店内ライブが始まれば、隣の常連客に教えてもらいながら「タイガー、ファイヤー、サイバー」などと掛け声を入れるのも一興だ。(少し恥ずかしいけど・・)

このほか、大衆演劇の老舗の一つ「浅草木馬館」や若手お笑い芸人らが舞台に立つ「浅草リトルシアター」など、見どころはさまざまあるけれど、こうした特別な場所でなくても、ふと入った細い路地裏の喫茶店や居酒屋に、往年の芸人さんや近くのストリップ劇場の看板女優さんがいて…なんてことが決して珍しいことではない浅草。もはや街全体がエンターテインメント。楽しくなりすぎて「なんでそうなるの!」(by欽ちゃん)と自分に突っ込みを入れたくなるかも。(共同通信文化部記者)


せきぐち・やすお 1996年入社。現在は文化部で芸能・放送を担当。年末に高熱を出して体重が5キロ減ったことに気をよくし、テレビで偶然知った腰で8の字を描く「オチョダイエット」を始めました。