花まるシネマ
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 男の子はきっとみんな、この映画が大好きなはず

(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

1993年に放送され、岩井俊二の出世作となった伝説的なドラマの劇場アニメ化だ。脚本を『モテキ』『バクマン。』の大根仁が担当している。花火大会の日、中学一年生の典道は、思いを寄せるクラスメイトのなずなから「かけおち、しよ」と誘われ…。

主人公たちの年齢が小学生から中学生に引き上げられてはいるが、前半は驚くほどオリジナルに忠実。セリフまでほぼそのままだ。50分ほどの短編を長編アニメ化するにあたり、まるで続編のように後半のエピソードが足されているのだ。そして、その後半こそが、アニメならではの表現を駆使した本作の見せ場となっている。はっきり言って、スゴイ! 日本のアニメの力、恐るべし!である。

また、オリジナルは時間が戻ってやり直す話だったが、今回は同じ一日が何度も繰り返される。実はこのアレンジこそがミソで、製作陣が本当にオマージュを捧げているのは岩井俊二よりも、同じ一日が繰り返される傑作アニメ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ではないだろうか。なぜなら、本作もまた誰かの妄想の世界を描いたもの。男の子の理想を具現化した夢物語だから。男の子はきっとみんな、この映画が大好きなはずである。

その一方で本作は、岩井俊二のオリジナルにはリアリティーがあったこと、子供を描きながら大人の鑑賞に耐えうる作品だったことを、改めて気付かせてくれるのだ。★★★★☆(外山真也)

総監督:新房昭之

原作:岩井俊二

脚本:大根仁

声の出演:広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子

8月18日(金)から全国公開



『ベイビー・ドライバー』 サエない青年が音楽を聴くと天才ドライバーに変身!

(C)2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
(C)2017 TriStar Pictures, Inc. and MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』などで熱狂的なファンを持つ鬼才エドガー・ライト。彼が20年以上温めてきたアイデアを携えてハリウッドに進出したカー・アクション映画だ。

アイデアとは本作の冒頭、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンのヒット曲『ベルボトム』がカーチェイスの場面で流れるというもの。確かに、交通事故の後遺症で耳鳴りが止まない童顔のサエない青年が、iPodで音楽を聴いている間は天才的なドライバーに早変わりするという設定は秀逸だ。彼はその腕前を買われて強盗団の運転手をさせられていたが、好きになった女の子のために犯罪から足を洗い、二人で町を出ようとするが…。

斬新なアイデアで包んではいるが、骨組みは古典的なラブコメ。そこにミュージカル映画ではないものの音楽の魅力を融合させたことにより、“カーチェイス版『ラ・ラ・ランド』”と形容されているらしい。実際、『ラ・ラ・ランド』好きの若い観客を取り込む可能性はありそうだ。

ただし、残念なことにカー・アクションがもう一歩。流れる曲のビートに合わせたカット割りを狙ったのかもしれないが、アクション自体が線ではなく点になってしまっている。アクションを空間で演出できていないからだ。いくらほかが魅力的でも、カー・アクション映画で、やはりそれは致命的な欠点だろう。★★★☆☆(外山真也)

監督・脚本:エドガー・ライト

出演:アンセル・エルゴート、ケビン・スペイシー、リリー・ジェームズ

8月19日(土)から全国公開



『LUCK-KEY/ラッキー』 笑いを重視した韓国の犯罪コメディー

(C)2016 SHOWBOX AND YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED.
(C)2016 SHOWBOX AND YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED.

内田けんじ監督作『鍵泥棒のメソッド』の韓国リメイクだ。伝説的な殺し屋が、仕事の後に立ち寄った銭湯ですべって頭を打ち、記憶喪失になってしまう。居合わせた売れない役者がロッカーの鍵をすり替えたことで、殺し屋は役者として生きるハメに。だが、生来の完璧主義から売れ始め…。

忠実というわけではないが、ストーリーの骨格は思った以上にオリジナルを踏襲している。とりわけ銭湯で転ぶシーンは、カット割りまでほぼ忠実。というより、日本版では最大限に笑いの側に振り切ってやや浮いていたこのシーンが、韓国版の全体を通じた基本トーンとなっている。つまり、内田けんじが得意とする、トリッキーなサスペンスものの中に笑いのスパイスを振りまくというスタンスから、ラブコメ要素のある犯罪コメディーへとシフトチェンジしているのだ。要は笑い重視。もちろん後出しジャンケンのメリットはクライマックスの仕掛けなど随所に生かされているものの、ニュアンスの面白さやスリルは目減りしている。

もう1つの大きな変更は、3人いた主人公を香川照之が演じていた殺し屋に絞り込んでいる点。そのため、日本版で秀逸だった広末涼子のヒロインが、主人公(つまり男)にとって都合のいい添え物キャラに落ちてしまっている。両作の違いは、お国柄という以上に、エンタメ作品における作家性の問題を考えさせられる。★★★☆☆(外山真也)

監督:イ・ゲビョク

出演:ユ・ヘジン、イ・ジュン、チョ・ユニ

8月19日(土)から全国順次公開



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