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1977年生まれの新鋭ジェイソン・ライトマン監督は、前作『JUNO/ジュノ』に続いて、この新作でもアカデミー賞を賑わした。時代性を敏感に取り入れたウエルメードな作風が特徴だ。
例えば、マイレージを貯めることが生きがいの主人公は、機内で「お住まいは?」と聞かれ「ここ」と答える文字通り“地に足の着かない男”だし、友人たちに写真を預けて世界旅行をした気になるカップルのエピソードや、出張も面接もテレビ電話で済ませようという発想など、すべてがデジタル化されてゆく現代社会を軽妙な語り口で皮肉ることで、物語が卑近に陥ることを回避するばかりか、テーマ主義を鼻につかせない娯楽性まで生み出している。オシャレなセリフの中にも含蓄がある。
また、演技指導者としても一流で、ジョージ・クルーニーはじめ3人もオスカー候補に送り出した。現在、ハリウッドの若手No.1と言える注目株だ。結局、自らの監督賞を含め無冠に終わったのは、この豊かすぎる将来性が敗因だろう。★★★★☆(外山真也)
【データ】
監督:ジェイソン・ライトマン
出演:ジョージ・クルーニー、ベラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック
3月20日(土)から全国公開
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ウディ・アレンが、『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続いてロンドンで撮った作品。
拠点をヨーロッパに移すことで才能を開花させたアメリカの監督は少なくなく、代表格はジョセフ・ロージーだろう。1970~90年代に秀作を連発したニューヨーク派のウディ・アレンも、ロンドンで撮った『マッチポイント』により一時のスランプを脱した。
本作も出色の出来栄えだ。ドストエフスキーやギリシャ神話に目配せしつつ、心ならずも殺人に手を染めた善良な兄弟の悲劇を通じて、人生の不条理に迫る。
そして、得意の話術ばかりか演出家としても円熟の冴えをみせる。とりわけ兄弟が殺人を決意して以降、忍び込んだ部屋のライトの点滅でサスペンスを盛り上げるシーンから凶器を焼却するまでの一連のくだりの、タメと省略のさじ加減は絶妙!
ブラックな笑いがちりばめられているため、一見そうは見えないが、フィルムノワールの香り漂う見事な犯罪劇に仕上がっている。★★★★★(外山真也)
【データ】
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:ユアン・マクレガー、コリン・ファレル、トム・ウィルキンソン
3月20日(土)から全国順次公開

世の中になじめない男と少女の純愛映画といえば、真っ先に『タクシードライバー』が思い出される。本作も、借金の取り立てで生計を立てる中年ヤクザが、女子高生との交流を通して改心する話だ。
両作とも主人公は、年はとっているものの未成熟な魂を持て余し、社会が悪いんだ!と被害者面して生きてきた。それが自分と同じ傷ついた魂に触れることで、眠っていた純真さをよみがえらせる。だから対照的なラストだが、どちらにもカタルシスはある。どこかザラついた、アメリカン・ニューシネマ的な肌触りも似ている。
韓国の個性派俳優ヤン・イクチュンの監督デビュー作だ。自ら主演し、唐突で手加減のない暴力描写から、よく北野武と比較されるらしい。だが北野作品は、同じバイオレンスでも運動性が生む映画的高揚感が魅力。それに対して、本作はむしろ社会へのいらだちを表現したもので、際立つのは作り手のメッセージだ。その意味でも、『タクシードライバー』的と言えるだろう。★★★★☆(外山真也)
【データ】
監督・脚本・出演:ヤン・イクチュン
出演:キム・コッピ、イ・ファン
3月20日(土)から全国順次公開
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