花まるシネマ
『ドラゴン・タトゥーの女』 原作者へのリスペクトを感じる

(C)2011 Sony Pictures Digital Inc.All Rights Reserved
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レッド・ツェッペリンの『移民の歌』をカバーした曲が流れる予告編が、やたらめったらカッコ良かった本作。スウェーデン版『ミレニアム』シリーズの記憶もまだ新しく、蓋を開けてみたらキャストが変わっただけという感じではあるのですが(苦笑)。

でも、猟奇的殺人にSM、ナチ思想とR指定確実の題材を、ハリウッドメジャーが手がけるチャレンジ精神を買った。案の定、インドではフィンチャー監督がヌードシーンのカットを拒んだそうで公開中止だとか。日本でもR15+(15歳未満鑑賞禁止)だ。とことん残酷で、とことん原作に忠実。なのでスウェーデン・ロケも敢行。原作者へのリスペクトを感じるな。

物語は、雑誌記者が取材能力を買われて、巨大同族企業を持つ老紳士から、40年前に失踪した姪の捜査を依頼される。次第に一族にまつわる闇が明らかに…。スウェーデン版とは異なるラストに注目だ。

本年度アカデミー賞にリスベットを演じたルーニー・マーラがノミネートされたが、筆者はダニエル・クレイグにロックオン。やっぱり申し訳ないけど、スウェーデン版より色気と華があり。結局、そこが一番ハリウッド版を支持する理由なんだけどね(照)。

★★★★☆(中山治美)

【データ】

監督:デヴィッド・フィンチャー

原作:スティーグ・ラーソン

出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ

2月10日(金)から全国公開



『逆転裁判』 おふざけシーンに笑う!笑う!

(C)2012 CAPCOM/「逆転裁判」製作委員会
(C)2012 CAPCOM/「逆転裁判」製作委員会

本作に関してはマスコミ試写ではなく熱狂的な三池崇史ファンが多数いるロッテルダム国際映画祭で鑑賞したので、面白さ10倍ぐらいになっているかも。三池作品ならではのおふざけシーンに笑う!笑う! 筆者の中では前作『一命』は消化不良だったので、これは満足。

だって、人気ゲームが原作の法廷劇だけど、あり得なさ加減は三谷幸喜監督『ステキな金縛り』以上。あっちが落ち武者なら、こっちは霊媒師やタイホくん(着ぐるみのマスコット)、サユリさん(オウム)など、バラエティーに富んだキャラクターが裁判に携わる。さらに彼らが、新人弁護士・成歩堂龍一の危機を絶妙なタイミングで救うのだ。

同級生のすご腕検事・御剣怜侍にかけられた殺人容疑を成歩堂が晴らすことはできるのか? そして、事件の根底に関わる15年前に起こったDL6号事件の謎を解明することはできるのか? 法廷劇をさらにスリリングにする秘密兵器も必見よ。

とまぁ、あくまで娯楽作ではあるけれど、検察の証拠捏造問題を描いていたり、近未来が舞台で、犯罪増加でスピード結審を優先させる「序審裁判」なる制度が導入されていたり、考えさせられる面も多々ある。そしてまさかの、鮎川誠の出演もアリ! 三池ワールドへ、ようこそ(笑) ★★★★☆(中山治美)

【データ】

監督:三池崇史

脚本:飯田武、大口幸子

出演:成宮寛貴、斎藤工、桐谷美玲

2月11日(土)から全国公開



『キツツキと雨』 映画づくりを通した交流の楽しさ

(C)2011「キツツキと雨」製作委員会
(C)2011「キツツキと雨」製作委員会

ただ今、役所広司に惚れ直し中だ。つい先日、映画『聯合艦隊司令長官 山本五十六』で頼れるリーダー・五十六を演じていた人が、今度はきこりですよ。

それだけではない。彼の住む山村にゾンビ映画の撮影隊がやってきて、ひょんなことから巻き込まれた彼が、徐々に映画の魅力に取りつかれていく展開で、エキストラ出演した映像を見て瞳を輝かせるシーンまで初々しくやってのける。俳優業30年以上の大ベテランが、だ。いや、映画の魅力を知り尽くしている役所だからこそ、偽りなくできた表情なのかもしれない。

本作は、そんなベテランをもとりこにした、映画というモノ作りを通して交流が育まれる楽しさを再認識させてくれるピュアな人間ドラマだ。

監督&脚本は、『南極料理人』が好評だった沖田修一監督。極寒の地で繰り返される変化のない暮らしから、男たちの個性と、家族のような人間関係が形成されていく過程を巧みに描き出したように、本作も出会うはずのなかった新人監督ときこりが心を通わせていく様子を何げないやりとりで紡いでいく。ふたりの疑似親子のような会話の一言一言がグサリと胸に突き刺さる。オリジナルの脚本で勝負できる沖田監督に期待大。★★★★★(中山治美)

【データ】

監督・脚本:沖田修一

脚本:守屋文雄

出演:役所広司、小栗旬、高良健吾

2月11日(土)から全国公開