花まるシネマ
『神様メール』 面白すぎる神様パロディ キリストは「JC兄ちゃん」で登場!?

(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage
(C)2015 - Terra Incognita Films/Climax Films/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage

「わたしは、神様の娘でお父さんは神様。私達一家はブリュッセルに住んでいるの」というセリフに思わず笑ってしまいました。なんというぶっ飛んだ設定なのでしょう? そして、お父さんの神様が出てくるのですが、この「神様」がまたとんでもない!ひどいクソ親父なんです。

タンクトップにステテコみたいなのを着て、タバコをバカスカ吸いながら人の運命を決めていく。神様パソコンっていうのが誰も入れない書斎の中にあって、そのパソコンで気まぐれに事故を起こしたり、天災を起こしたり、まるでゲームでもしているかのように人類で遊んで楽しんでいる嫌なヤツ。

嫁の女神は、この意地悪な神様の旦那に耐えながら、刺繍と野球カードで暇つぶししている主婦。はっきり言って、かなり最悪な家庭です。そんな神様の娘、エアは親父のことが大嫌いで、なんとか一泡吹かせてやろうとある日、人類の余命を全員に送信! この世の中を少しでも素敵なものに変えようと、下界へと冒険の旅に繰り出すのです。

ご紹介したストーリーはまだまだ序盤なのですが、わたしはこの映画の冒頭10分だけで、「楽しすぎる! 面白すぎる!」とこれから始まるエアの冒険にワクワクしてしまいました。しかも大ウケなのは、エアが自分の部屋にあるイエスの陶器像に「JC兄ちゃん! どうしたらいい?」と話しかけるところ。JC=ジーザス・クライスト、つまりイエスも神の子なのでエアのお兄ちゃんなのです。よくもまあこれだけ好き勝手に描けたもんだ!とびっくりしてしまいました。

こんな面白いストーリーを思いついたのは、1991年に映画『トト・ザ・ヒーロー』で監督デビューし、同作で第44回カンヌ国際映画祭のカメラ・ドール賞を受賞したジャコ・ヴァン・ドルマル監督です。ダウン症の青年と会社員との友情を描いた『八日目』(96年)では、ダニエル・オートゥイユとパスカル・デュケンヌに、第49回カンヌ国際映画祭の主演男優賞をダブルでもたらしました。どちらも人間を鋭い目線で描いたとても素晴らしい作品なので、もし興味を持たれた方はぜひ!

この作品、たとえば神の子を描いてローマ教会から「イエス・キリストを冒☆(サンズイに贖のツクリ)している」とボイコット運動までされたトム・ハンクス主演の『ダ・ヴィンチ・コード』と違って、ベルギーでは教会の人たちから「観るように!」と歓迎までされたそう。これはおまけですが、なぜか余命5年にしてゴリラと恋に落ちるという大役(?)を演じたカトリーヌ・ドヌーヴにも拍手を送りたいです。

監督・脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマル

出演 ブノワ・ポールヴールド、ヨランド・モロー、ピリ・グロワーヌ

5月27日(金)から全国公開



『ヒメアノ〜ル』 舞台役者としての実力を存分に発揮した森田剛の演技に鳥肌!

(C) 古谷実・講談社/2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会
(C) 古谷実・講談社/2016「ヒメアノ〜ル」製作委員会

『行け!稲中卓球部』などで知られる古谷実の同名漫画作品を映画化。平凡な生活を送っている主人公・岡田と、彼の高校の同級生で快楽殺人犯の森田が対照的に描かれていて、暴力シーンも多いかなりヘビーな作品です。古谷原作では『ヒミズ』が園子温監督によって映画化されましたが、『ヒメアノ〜ル』となるとかなり衝撃的。しかも主人公の森田を演じるのがV6の森田剛と聞いてさらにびっくり。

わたしは、お芝居も大好きで舞台をよく観に行っているのですが、森田剛は蜷川幸雄、宮本亜門をはじめ、さまざまな有名演出家の舞台で圧倒的な存在感を示し、アイドルということを完全に忘れさせてしまう芝居をするひと。そんな森田剛の初主演にして、演じる役が快楽殺人鬼とは!

しかもキャストは、濱田岳にムロツヨシと演技派揃い。監督は、鬼才・塚本晋也監督のもとで長きにわたり照明技師を務めていた吉田恵輔。わたしはこのメンバーが、こんな問題作を映画化したら一体どんな作品になるのだろうか、と怖さ半分、期待半分でずっと出来上がりを楽しみにしていました。

始まってすぐは濱田岳とムロツヨシの絶妙なやりとりが続き、大笑いしながら楽しく観ていられたのに、最初の30分が過ぎたあたり、「こうきたか!」とこちらも驚愕の場面転換によって、見事に叩き落されてしまいました。なんかもう全然ちがう作品を観ているような感覚になる程、一気にトーンが変わるのです。

そして、「ヒメアノ〜ル」というタイトルがここでようやく登場する。それはまるで、「さあ、今から始まります。惨劇への心の準備はできました?」と問いかけられているようで、観ているこちらになんとも言えない緊張感が走る。さすが塚本組の名照明技師さん! 夜の暗さがこんなに怖いとは。森田という男がひたすら恐ろしく、この『ヒメアノ~ル』の世界から走って逃げ出したい気持ちに襲われました。

もちろん、ただ怖いだけではなく、吉田監督は原作を見事に脚色していて、ラストがとても良かった。快楽殺人鬼としてか生きられない「森田」の心の奥にある悲しみが伝わってくる描き方になっています。原作とはちょっと違いますが、ラストで感じるどうしようもないやるせなさは同じ。ジェットコースターのような怒濤の99分間が終わった瞬間、どっと疲れがでてしまったこの映画。舞台で培った演技力を、見事に爆発させた森田剛のこれからが本当に楽しみでワクワクしてしまいました。★★★★★(森田真帆)

原作・古谷実

監督:吉田恵輔

出演:森田剛、濱田岳、佐津川愛美、ムロツヨシ

5月28日(土)から全国公開



『若葉のころ』 忘れかけていた17歳のピュアな恋心に心が漂白される

(C)South of the Road Production House
(C)South of the Road Production House

東京という、いや〜な空気のなかで長年生活していると、本当に心が病んできてしまって電車のなかではしゃぐ女子高生にも思わず舌打ちをしてしまうほどダークサイドに陥る時があります。そんなとき、わたしはピュアなものに触れて心を浄化したくなるのですが、まさにこの映画は心の浄化にぴったりの作品です。

舞台は、現代の台北。離婚した母と、祖母と3人で暮らす主人公の女子高生・バイは学生生活を謳歌していましたが、ある日母が交通事故で昏睡状態になってしまいます。母のパソコンを見ていると、偶然母が高校時代に思いを寄せていた男性・リンに宛てた未送信のメールを発見。今から30年前の1982年、自分と同じ年頃だった母はどんなことを思い、どんな恋をしていたのか。バイは、母に代わってリンにメールを送信するのです。

物語は、現代のバイと30年前の母、2人の女性が過ごす青春時代を交互に追いかけていきます。バイと母の青春時代、2役を演じるのは、台湾版ドラマ『美男<イケメン>ですね』で人気を集めたルゥルゥ・チェン。この作品が長編映画初主演とのことですが、すごい上手! お母さんと娘って、似ているけどちょっとだけ違うってところあるでしょう? そういう雰囲気の違いがすごく出ていて、まるで同じ人間が演じているように見えないのです。ルゥルゥ本人は、27歳のようですが、化粧っ気のない、10代のあどけなさを持った素敵な女優さんです。

メガホンをとったのは、台湾で20年以上にわたってミュージックビデオや、CMなどを手がけてきたジョウ・グータイ。主題歌は映画『小さな恋のメロディ』の挿入歌として知られるビージーズの名曲『若葉のころ』。校庭、学校の廊下、雨の中で男子生徒たちがバスケットをするシーン、あふれんばかりの若葉が芽吹く初夏の風景、映画の中の観ていてハッと息をのむほど美しい瞬間に音楽がぴったり重なって、どんどん映画の世界に引き込まれていく。わたしが10代のころ、野島伸司のドラマでよく洋楽が主題歌になっていたのですが、ひりつくような青春時代の残酷さときらめき、そして音楽の融合に当時の自分をふと思い出してしまいました。

「好き」という気持ちがよく分からなくて、ドキドキしたり、苦しんだり、必要以上に相手を傷つけてしまったり。「こんな気持ち、そういや感じていたな」と遠い記憶に思いを馳せて、昔のピュアな自分を数パーセントでも取り戻そうじゃありませんか。★★★★☆(森田真帆)

監督・原案:ジョウ・グータイ

出演:ルゥルゥ・チェン、リッチー・レン、アリッサ・チア

5月28日(土)から全国順次公開



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