新刊レビュー
『「日常」をドラマティックにする方法』神崎恵著 丁重に断りたいほどドラマティック 

祝!「正体はよくわからないけどやたら書籍を出版してそうな人ランキング」1位(アリー調べ)! 接戦の末深見東州氏を抑え、見事首位を獲得した神崎恵さんの新刊をこの度ご紹介したいと思います。パチパチ!

ビューティライフスタイリスト(?)である神崎さん、本書はファッションやインテリア、料理に美容などを中心に、「日常をドラマティックにする」ためのアイデアを紹介したフォトブック。「ご近所公園ピクニック。」や「自家製ドリンク。」「お弁当はバンダナ巻き巻き。」など生活を少し変えるだけでグッと楽しくなりそうなアイデアや、「絵を飾る。/写真を飾る。」「走ってみたり。」「ギターとか弾いてみる。」といった、わざわざそれ本で紹介するか?的な提案も。いや、わかりますよ、神崎さんが言うのとほかの誰かが言うのと、影響力が全然違うってことですよ。あえての神崎恵発信なわけですよ。

そして中には「『女でありたい』」本能に従う服を着る。」「ときには自分に嬉しい嘘をついてあげる。」「日本人になる。」といったドラマティックが過ぎてちょっとよくわからない提案もありますが、そんなポエティックなところが、神崎さんをよりミステリアスに……いえ、ドラマティックにしているのかと思われます。

本書には、さまざまな表情の神崎さんがいっぱい載ってまして、どれもこれも押し並べて可愛い。少女のような無垢さと、大人の女性の色気を併せ持つ、というおそらく本人が目指している方向性をちゃんと体現しているあたり、自己プロデュース能力がとっても高いんだと思います。見せたい自分をちゃんと見せられるって、これ簡単そうでなかなかできることじゃないですよ。

そんな「大人可愛い」日本代表と呼びたくなるほどの彼女ですが、読み進めるうちにひとつ、気になることが。正面からの写真が、ほぼ、ない。横向いてたり下向いてたり、正面見てても顔の半分に髪がかかりゲゲゲの鬼太郎状態といった写真ばっかり。美人なのに!なんで!?正面の顔、そんなに嫌なのかしら……もったいない……。でもその一貫したポリシーが、徹底した美意識が、彼女の自己プロデュース能力の高さの所以かと思われます。

いやー、すごいなぁと感服しつつ本書を閉じようとしたところ、ハラリと何かが落ちました。それは本に挟まれた小さな紙で、見ると「お詫びと訂正」ならびに「正誤表」が記されています。初版はね、ありますよね、こういうの、と思い眺めていると……ん?正誤表に謎の記載。

p.8 誤「大好きな人の星座を探してみる。」→正「大好きなひとの星座を探してみる。」

どう違うの?と見比べてると……あーっ!!誤「大好きな人」→正「大好きなひと」!人→ひと!!! ま、まじか、それも正誤表に入れちゃうんだ。いや、いいんだけど、全然いいんですけど、これも入れといてください!って言ったんだろうか、神崎さん……。それとも、これも入れとかないと黙ってなさそうな感じだったのかな神崎さん……。とまぁ、その紙切れ1枚から、神崎さんが提案するドラマティックとは比べものにならないほどのドラマを感じました。いや、一言一句にもちゃんとこだわっていらっしゃるのは、この紙切れがなくても書籍から十分に伝わってきてはいるんですよ。とはいえ、編集者の赤字漏れが発覚した瞬間を思うと胸がザワザワ……。も、もしこれが神崎さんの提案する日常をドラマティックにする方法?であれば、丁重にお断りしたいっすね……。とか思いつつ、落ちた紙をそっと本に挟み、閉じましたとさ。

(宝島社 1400円+税)=アリー・マントワネット

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『即席ビジンのつくりかた』東村アキコ著  接待としては100点満点

これまで数々の賞を受け、『東京タラレバ娘』は来年からドラマが放送スタートと、勢いあり過ぎて飛ぶ鳥が破竹したっておかしくない漫画家・東村アキコ。彼女の新刊は雑誌『VoCE』での連載が書籍化されたもの。

「即!美人になれる美容クリニック&サロンの体験取材コミック」とキャッチコピーにある通り、金にモノを言わせてとにかくスピード勝負で美を手に入れることを目的とした本書。いや、金にモノを言わせることは本来の目的じゃないのかもだけど、まぁ1歩も動かず、1回の腹筋もせずに劇的に美しくなりたいのであれば、そら金もかかるわけで。

腹をへこませ、小顔にし、姿勢を正し、たるみを上げる……東村の全身を、プロが全身全霊で磨きあげる。技術とテクノロジーを駆使しまくって。

その結果、現場がザワつくほどの驚愕の結果が!出てる!すごい……。すごいんだけど、手放しですごいと言いづらいのは、そこはかとなく漂うタイアップ臭が感じられるから……。施術者やサロン、そして結果に対する全肯定感が、若干のモヤモヤを残します。早い話が「持ち上げすぎじゃね?」ってことですな。

登場するサロンは、やっぱりVoCEと関係のある、お世話になってるとこに行くわけで、ひょっとしたら施術料はサロン側が持ってくれてるのかしら。なんというか「タダでこんなにしてくれてありがとう!」感が漂ってるんですよね。もしサロン持ちじゃないなら、編集部持ちなわけで、どっちが払ってるにせよ、東村アキコはこの連載でおそらく払ってないんじゃないかな。なんか、身銭を切ってたら、もっとシビアに批評する気がするです。たるみ改善施術と血液検査と尿検査で18万円が果たして本当に適正価格なのか、おなかの脂肪を取るために4回で24万円は高すぎやしないか、消えない眉とアイラインを手に入れるために18万円、1~2年保つらしいのだけど、丸々2年保つとして1年あたり9万円はいかがなものか……。消費者の立場の視点とは、ちょっと違う気がする。で、それが透けて見える。

もしかしたら東村が身銭を切ってる可能性もある。であれば、VoCE編集部よ、東村先生のために非の打ち所のない、最高のサロンを用意しすぎたかなー、とも思わんでもない。接待臭が強いんですよ。まぁそのことで東村先生は言わずもがな大喜びだし、美容マニアのVoCE読者も有益な情報を得られてうれしいと思う。でも、でもでも……作品としてはどうしたってのっぺりとした印象がぬぐえないんだよう!

美容雑誌の情報としては合格、接待としても超合格、だけど作品としては、悪いけど、やっつけ感が漂ってるんだよう!

とはいえ、全体を通して東村アキコがとっても楽しそう&嬉しそうなのは見ていて大変可愛らしい。自意識が溢れ過ぎちゃって過ぎちゃってたまらん女性特有の無表情の写真も、見ているうちにクセになる。しかもその無表情フェロモンだだ漏れ顔のお写真がめっちゃ掲載されてるのも、そしてマンガに登場する東村本人の豊かな表情とのコントラストも、味わい深い。

巻末には東村と担当編集者たちとの座談会も掲載されている。そこで東村は「今も行き続けているサロンがいっぱいある」と語っているが……そこ教えんかーい!!! この中で淘汰されて生き残った選りすぐりのサロンとクリニック、教えんかーい!!!……ゼーハー。すみません取り乱しました。まぁ1回行けば2年行かなくていいサロンとかもあったけどね!そゆとこは通わないよね!と高ぶった気持ちを落ち着けつつ、巻末に突如掲載されている「東村アキコの「グッときた」フォトギャラリー」という、卒アルのクラス別にスナップ写真載せまくるページみたいな、謎の思い出コーナーを眺め、ほっこりするのでした。なんなんだこのこの急展開。そう、本書、全体的に、雑! でもこの雑な感じ、ちょっとクセになるのは、なぜ。

(講談社 806円+税)=アリー・マントワネット

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『LOVE BLOG 美味しくて楽しくてちょっとおしゃれな暮らしのこと』小川菜摘著 生き方がキレイだねって言われます

たとえ残り3か月でゼロだったとしても、2016年は芸能人の不倫報道が多い年だった、という印象は拭えないと思います。ベッキーに始まり、乙武くんにファンキー加藤、文枝に円楽そして橋之助……。個人的にはこの手のスキャンダルって、別に謝罪会見をしようがしまいが批判しようとは思いません(そら、したら見届けますけど)。だって語られようとも語られまいとも、どちらにせよそもそも、語れることと語れないことがあるだろうし。っていうか不倫とか当事者の話であって、謝られたところで私全然関係ないし……。だからいつも傍観者として興味深く眺めてます。

2014年に夫・浜田雅功の不倫が報じられた小川菜摘。その際の対応が妻として素晴らしいと評判になったことも記憶に新しいのではないでしょうか。しかしその後噂されたのは小川の整形疑惑と親友・野沢直子との絶交疑惑。整形に関しては否定し、絶交はノーコメントを貫いていたと記憶していますが、視聴者の一部は「ああ、整形したのは旦那が不倫したからね」「絶交したのは旦那が不倫したからね」と浜田の一件を連想していた人も少なくなかったように思います。完全に無茶苦茶な論理にもかかわらず、そして迅速な火消しをしたにもかかわらず、です。

そんな小川菜摘の新刊が発売されました。なぜ今。なぜ出す。と思わなくもないのですが、気になるかならないかと訊かれたら完全に気になる。ということで、お買い上げ。

本書は、小川菜摘がブログで紹介している料理のレシピを軸に「美味しくて楽しくてちょっとおしゃれな暮らしのこと」をまとめた一冊。メイクやファッション、インテリアまで、ありとあらゆる「彼女の生き方」が詰まっているらしい。

読み進めるうちに気になったのが、「世間のイメージをちょっと壊したい」という言葉。これは、本書が出版されるきっかけとなったブログを始めた際の動機だという。小川曰く、世の中は自分のことを「お手伝いさんが何人もいて、家事は何もしない、強くて怖いゴッドマダム」だと認識しているのだとか。しかし実際は「普通のどこにでもいる主婦」として、「ちゃんとお母さんをやっている」。そのことを伝えたく、ブログを始めたという。

そんな彼女は本書で友人達との対談、鼎談を掲載している。お相手は青木さやかとYOU、藤井隆だ。彼らは小川のことをこう評する。料理の手際がいい、旦那からしょっちゅう電話がかかってくる、根がお人好しで誰のこともかわいがってしまう、真面目で乙女、一緒にいると快適、そして挙げ句は「キレイなのよ、生き方が(YOU)」……。

長らく芸能界に身を置いているにもかかわらず、残念ながら小川は肝心なことを理解していない。「友達が私のこと、生き方がキレイって言うのよ」と語る人に対して、周囲は「へぇー、生き方がキレイなんだ」とは、おそらく、ならない。残念ながら「へぇー、生き方がキレイな人だって見られたいんだ」になるのだ。しかも全員後輩だし……。絶対言わせてるじゃん……。無言の圧ハンパないだろ……。もしそうじゃないと言い切れるなら、彼らは後輩ではなく一友人であって、対等な関係である、言わせてはいないと主張するのなら、じゃあ最初から同期や先輩を呼ぶべきだったんです。

それにしても、こんな大がかりな人海戦術を駆使してでも自らのイメージを払拭したかったのかな……。そう思うと、芸能界で女優・タレントとして、芸人の妻として生き抜く彼女の苦労がうかがえる。なんというか、ええと、お疲れさまです……。

(1400円+税 角川マガジンズ)=アリー・マントワネット

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