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「DVD=1」 ヤバイTシャツ屋さん『Tank-top of the DVD』 遠い夢を語るわけでも深い愛を歌うわけでもないが…

2017年10月04日

ヤバイTシャツ屋さん『Tank-top of the DVD』
ヤバイTシャツ屋さん『Tank-top of the DVD』

「そんなこと前から知ってたよ」。そう社会から言われるようなことをサラリとかたちにする人こそ、真の天才である。なんて言ったのは誰だったか。それにならうと「ヤバイTシャツ屋さん」は間違いなく天才バンドである。『流行りのバンドのボーカルの男みんな声高い』『DQNの車のミラーのところによくぶら下がってる大麻の形したやつ』などなど、楽曲タイトルからしてもう、この時代の空気を巧みに切り取っているが、本作でライブもまたしかりであることが、よくわかった。

3人組ロックバンド「ヤバイTシャツ屋さん」による“どうぶつえんツアー”追加公演の模様を収録した本作。公式ホームページにもとくに年齢は書かれていないが、間違いなくメンバー全員が平成生まれだ(もはやそんなことは当たり前になってきたのだな……)。そして観客も、彼らとほぼ同年代と見受けられる。

彼らが放つサウンドやパフォーマンスは熱いが、MCは終始ゆるゆるとしていて等身大。そして楽曲は遠い夢を語るわけでも、深い愛を歌うわけでもない。それなのに、会場はどんどん熱を帯びていく。『喜志駅周辺なんもない』で、『週10ですき家』で、拳を突き上げ盛り上がるっていったいどういうことだ?(ちなみに2つとも楽曲のタイトルです)と、昭和生まれの私はふと思ってしまいそうになるが、いいのだ、彼らにとっては、それこそがリアルなのだから。

ありもしない理想を追う余裕はなく、インスタ映えしない日常はフィルターで盛って、小さなコミュニティーでの承認を糧にぽつりぽつり歩いていく。そんな時代のなかで、彼らの音楽とパフォーマンスは、多大なる共感とともに人々を束の間の解放へと導いていく。ある種、純文学のような趣のあるバンドだと、最後には深く深く感心してしまった。

(ユニバーサルミュージック・3241円+税)=玉木美企子


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