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インバウンドによる活性化は十分に可能 過去最低の入場者だった日本GP

2017年10月19日

鈴鹿サーキットで行われた日本GP。最終コーナー前のスタンドには空席が目立つ=モビリティランド
鈴鹿サーキットで行われた日本GP。最終コーナー前のスタンドには空席が目立つ=モビリティランド

スポーツの秋―。今の時期に行われるスポーツイベントの枕詞(まくらことば)として、しばしば使われる言葉だ。もともとは、1964年に開かれた東京五輪の開会式が行われた10月10日をその後、「体育の日」として国民の祝日に制定したことから、スポーツの秋という言葉が生まれたのが有力な説といわれている。その後、2000年に「ハッピーマンデー制度」が導入されて、「体育の日」は10月第2週の月曜日に変更された。

他にも「食欲の秋」「読書の秋」「芸術の秋」などの言葉があるように、秋はさまざまなアクティビティを楽しめる絶好の季節。そんな中にF1の日本グランプリ(GP)もある。1987年以来、富士スピードウェイでの開催となった2007年と08年を除いて、伝統的に鈴鹿サーキットで開催されてきた秋のビッグイベントだ。

ところが、今年の日本GP後にメディアが大きく報じたのは、ヤマ場を迎えた年間王者争いやドライバーの熱い走りではなく、日本GPの入場者数だった。決勝レース(6万8000人)、そして金曜日からの3日間の入場者数(13万7000人)が、それぞれ過去最低となったのだ。

日本GP全体と決勝でともに入場者が最多だったのは06年。ミヒャエル・シューマッハーが1度目の引退を表明したシーズンだ。この年の決勝には16万1000人、3日間のGP全体でも36万1000人の観客が訪れた。これは今年の三倍近い人数だ。

こうした部分だけを見れば、日本におけるF1の人気は沈下していると言える。とはいえ、現状でこれだけ人を呼べるスポーツイベントはなかなか見あたらない。F1のチケット代金が他のスポーツと比べ、群を抜いて高額なことを考えると驚異的な集客力だ。

そもそも、F1チケットの高額化問題は世界共通だ。日本GPやイタリアGP、イギリスGPなどは母国ファンをメインに集客しているが、このようなレースは意外と限られている。一方、アブダビGPやシンガポールGP、モナコGPなどは観光を兼ねた国外のファンを呼び込む、いわゆるインバウンドによって開催が定着したグランプリだ。

日本GPも、そうしたインバウンド市場との組み合わせで、レースだけでなく地域の活性化を図れる可能性が高いレースではないだろうか。日本GPが実施される三重県鈴鹿市は、外国人に人気が高い伊勢志摩や伊勢神宮、熊野古道、松阪牛など、同県内の観光地への利便性が高い場所にある。日本GPの入場者数が過去最高だった06年におよそ733万人だった訪日外国人数が、昨年には3倍以上となる約2404万人にまで増加していることを考えると「夢物語」ではないだろう。

20年東京五輪のころまでに「鈴鹿と観光」という新たな観光スタイルを生み出し、日本GPが“鈴鹿の秋”として国内外に定着してもらいたいものだ。(モータージャーナリスト・田口浩次)