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『アイスクリームが溶けてしまう前に(家族のハロウィーンのための連作)』小沢健二と日米恐怖学会著 オザケン流、ハロウィーンに見る諸行無常

2017年09月29日


90年代ポップカルチャーを代表する「王子様」といえば、誰がなんと言おうとオザケンこと小沢健二一択なわけです。しかし久々の復活を果たした彼は「歌ヘタ」「笑顔汚い」「おぬし、さてはヒアルロン酸注射したな?」など散々な言われよう。でも小沢健二最大の魅力はビジュアルや歌声、メロディやアレンジもさることながら、歌詞であると勝手に思っていますので、オザケンがおじさんだろうとおじいちゃんだろうと、整形してようと植毛してまいと、どっちでもいいんですよ。

そんな歌う哲学者(と勝手に命名)こと小沢健二は、日米恐怖学会と共にハロウィーンに関する絵本を出版しました。日本では「渋谷と六本木でリア充がバカ騒ぎする祭」という認識でしかないこのイベント。発祥地であるアメリカでどういうお祭りなのか、異邦人の目から見たその文化が描かれています。

ハロウィーンが現在の形になったエピソードや、家族で変装する際のアイデア、「一回休み」の年のこと、思春期の仮装に起きる変化、そして訪れる、終わりの予感……。ハロウィーンという文化の変遷と、子供たちの成長、2つの時間軸が展開されます。

私にとって、小沢健二の歌詞の醍醐味は、刹那を鮮やかに切り取り、そこに無常を見るところなんです。例えば、ほら。「菫る風を切って公園を通る/汗をかき春の土を踏む/僕たちが居た場所は 遠い遠い光の彼方に」(流れ星ビバップ)、「過ぎて行く夏を洗い流す雨が/降るまでの短すぎる瞬間」(天使たちのシーン)、「本当は分かってる/2度と戻らない美しい日にいると/そして静かに心は離れてゆくと」(さよならなんて云えないよ)

……ね、素敵でしょ? そんなキラキラと輝きを放つ「いまこの瞬間」を、その過ぎゆく切なさを、言ってしまえば諸行無常をハロウィーンという異国の文化にも見出し描いているのが、さすがだなとうならざるを得ないのであります。

子供から大人まで楽しめ、そしていつ読むかによって表情がまったく変わるであろう一冊。小さな友達にプレゼントしようかな。あとこれまで全然興味なかったけど、子供を育てるって、とても素敵なことなのかもしれないな。ちょっとだけそう思いました。

(福音館書店 1400円+税)=アリー・マントワネット


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