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チーム内の「見える化」で成長できるか 来季からトロロッソと組むホンダ

2017年09月21日

マクラーレンのマシンを整備するホンダのメカニック。かつての「黄金コンビ」は5年でその関係を終えることになった=Honda
マクラーレンのマシンを整備するホンダのメカニック。かつての「黄金コンビ」は5年でその関係を終えることになった=Honda

スポーツが好きな方ならきっと、「マネー・ボール」という映画をご存じだろう。主演はブラッド・ピットで、2011年に公開された。メジャーリーグの貧乏球団だったオークランド・アスレチックスで実際にGMを務めていたビリー・ビーンが、チームを強豪へと変貌させる姿を描いた内容だった。

この時、ビーンGMが取り入れた選手の能力を統計学的に数値化する「セイバーメトリクス」というさまざまなデータの重要性などを客観的に分析する手法は、その後のメジャーリーグでは当たり前となった。彼は選手の「見える化」を具現化したといえる。そして、この「見える化」をF1に持ち込んだのが、1983年から92年までエンジンサプライヤーとして速さと強さを見せつけていたホンダだった。ホンダはマシンやドライビングの状態変化を数値化する、いわゆる「テレメトリー」を持ち込んだのだ。その結果、マシンやドライビングに関わる様々な変化や不具合などが、チームやドライバーにデータとして「見える」ようになった。現在のF1ではマシンに付けられるセンサーが軽く100を超えるようになるなど、当たり前の技術となっている。

ところで、先日行われたマレーシアGPの直前に、そのホンダから衝撃的な発表があった。マクラーレンとの決別だ。来シーズンからはトロロッソにパワーユニットを供給するという。2013年5月16日に突然発表されたホンダのF1復帰。しかも、組むのは1990年代に一世を風靡(ふうび)したマクラーレンで、参戦は15年からという内容だった。2シーズン先からの参戦という異例な発表が行われた日から5年が過ぎ……、相思相愛に見えた関係は勝利数0という不完全燃焼のまま終焉(しゅうえん)を迎えることになった。

不振の理由としてよく言われるのは、ホンダのパワーユニットが駄目だったということだ。しかし、F1界のボスとして長らく君臨していたバーニー・エクレストンはメディアの取材に対して、「マクラーレンはホンダにけんかばかりを仕掛けていた。あれでは成功しない」とホンダを擁護した。実際、ホンダとの提携を発表した13年以降、マクラーレンは勝っていない。しかも、13年と14年に載せていたのは当時、最強エンジンとされたメルセデス。同じコンビで12年は7勝も挙げていたのになぜか勝てなくなったのだ。

現在のF1はかつてと違い、エンジンや車体、空力などの様々な要素をマシン全体として最高になるよう組み合わせなければ勝てない。良く言われるようにパッケージが大切なのだ。にもかかわらず、マクラーレンとホンダは復帰直後から、互いの不信感が垣間見られるところがあった。一方、トロロッソはモトGPなどホンダの2輪活動では良好な関係にあるレッドブル・グループ。この関係性をF1でも構築することでチーム内を「見える化」し、ホンダとトロロッソが挑戦者として対等な立場で成長していくことを期待したい。(モータージャーナリスト・田口浩次)