47NEWS >  エンタメ >  新刊レビュー >  『世界の混沌を歩くダークツーリスト』丸山ゴンザレス著 世界の暗部を渡り歩く

『世界の混沌を歩くダークツーリスト』丸山ゴンザレス著 世界の暗部を渡り歩く

2017年09月15日


コミカルな表紙と著者名にだまされてはいけない。本書は世界中の危険地帯を命がけで取材してきたジャーナリストの体験記であると同時に、その取材ぶりを追ったTBS系番組「クレイジージャーニー」の裏ドキュメントでもある。

メキシコでは麻薬ビジネスをめぐる抗争の渦中に飛び込んで、惨殺体やトラック放火現場に遭遇。ジャマイカではプロの殺し屋に取材中、銃を突きつけられる。ルーマニアではマンホール内で薬物売買をする地下住民に話を聞き、フィリピンでは銃マニアと偽って銃密造村に潜入する。

100万人以上が住むケニアの巨大スラム。「世界一危険な仕事場」と呼ばれるバングラデシュの廃船解体所。ギャンブル依存症の女や戦争後遺症を患う元軍人が暮らすラスベガスの地下水路。

殺伐たる裏社会を伝えるルポの割に筆致は軽やかで、知られざる事実を白日のもとにさらすといった力みがない。「クレイジージャーニー」という番組自体、松本人志らがMCを務める「紀行バラエティー」を称しており、番組を貫くのは世の不正を告発するジャーナリズム精神というよりも、身の安全を顧みず強烈な現実を体感しようとする尋常ならざる好奇心だ。

現場はすべて、戦争やテロ、災害などの跡地を巡る新たな観光スタイル「ダークツーリズム」の延長上にある。すなわち本書は、人類の暗部を見つめるために世界を渡り歩いた破天荒な旅行記なのだ。表と裏、光と闇で世界は成り立っていることをあらためて知る。

(講談社 1600円+税)=片岡義博


この商品を購入する




アラーキーの幸福写真
乃木坂/ギャルママ(下)

    スタジオでの撮影が続く。17歳で長男を出産した大工原里美さんは、3人の子どもとカメラ…