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「サッカーコラム」「矛盾」ダービーを制して得た自信 J1川崎、会心の出来で横浜Mを下す

2017年09月14日

川崎―横浜M 前半、横浜M・斎藤(左)からボールを奪う川崎・大島=等々力
川崎―横浜M 前半、横浜M・斎藤(左)からボールを奪う川崎・大島=等々力

いかなる堅い防具でも突き通す、鋭い矛がある。一方でどのように鋭い武器をも跳ね返す頑丈な盾も存在するという。しかし、その二つが同時期に同じ国や地域などにあることは決してない。もし、あると言い張るのであれば、それが文字通りの「矛盾」だ。

9月9日のJ1第25節。神奈川県の隣接する都市をホームタウンとするチーム同士の一戦は、まさにこの「矛盾」対決だった。Jリーグでも屈指の「矛」=攻撃力を持つ川崎と、最高の「盾」=守備力を誇る横浜Mによるダービー。今季のリーグ戦が残り10となったこの時点で3位と2位につけるチーム同士の直接対決は、リーグ優勝の行方を占う上でも注目されるカードとなった。

リーグ3位の川崎はリーグ3番目となる45得点を挙げている。しかも、8月以降はリーグ、ACL、ルヴァン杯も含めた8試合で6勝2分けと絶好調だ。対する横浜Mはリーグ戦での総失点数が17。これはJ1で最少だ。加えて、リーグ戦では前節まで14試合連続で負けなしとこちらも好調を維持している。「攻」と「守」に対して、それぞれが絶対的自信を持つチームが相まみえた一戦は、川崎がボールを保持し、横浜Mがカウンターを狙うという予想通りの展開となった。

両チームは6月の第14節でも対戦。この時は川崎が0―2の完敗を喫している。川崎は圧倒的にボールをポゼッションするのだが、そこで生まれたカウンターに対する隙を横浜Mが抜け目なく突くことに成功した。

9月9日の試合に関しては、ともに好調なだけに僅差のスコアになるだろうと予想していたが、90分が終わると思わぬ点差がついていた。川崎が3―0の完勝。内容的にも会心と言っていい出来だった。

試合後の会見で、川崎の鬼木達監督は勝因として、守備のメリハリを挙げた。中でも、横浜Mが誇る左右の両ワイド、斉藤学とマルティノスについては「一人+サイドハーフなどでしっかりと抑えられた」と胸を張った。多くのチャンスを作り出すこの2人に対する守りは、文字通りの数的優位が明らかにうまく機能していた。

前線からのプレスが効果的にできたのは、ハードワークが可能な気候になってきたことも大きい。そして、球際の厳しさも目立った。これは―判定が不安定だったという要素も少なからず影響していただろうが―終盤に横浜Mのマルティノスが副審に言い寄る場面が頻発したことに現れていた。結果として、川崎はファウルぎりぎりの守備で、相手をいら立たせることに成功したのだ。

横浜Mは前節までクラブ記録に並ぶ5試合連続で無失点を続けており、自慢の守備はまさに盤石。ところが、そういうチームが失点をくらうと、勝てないことが多い。1990年に母国で開催されたワールドカップ(W杯)で、当時の最長記録となる517分連続無失点をマークしたイタリアもそうだった。そして案の定、この日の横浜Mも形としては完敗に終わった。

堅守を基盤にしたカウンター主体のチームが先制点を奪われてしまうと、当然ながら描いていたゲームプランは大きく狂ってしまう。それを考えれば、前半14分に早々と川崎に得点をもたらした大島僚太の存在が大きかった。横浜MのDFミロシュ・デゲネクのクリアミスを「時間があったので落ち着いて決められた」という右足ダイレクトシュート。急に来たボールを、逆サイドにコントロールしてたたき込んだプレーは技術の高さのたまものだろう。

加えて大島が光ったのは守備面だ。いつの間にこんなに守備がうまくなったのかと思わせる、ボールを奪い切る対人プレーでの強さ。記者席のある人物が「シャビみたいだね」と感想を漏らしていたが、まさにこの日の大島が披露した質の高いプレーは、FCバルセロナとスペイン代表で活躍した偉人に重なるところがあった。

後半12分の小林悠の弾丸ミドルシュート。後半30分の家長昭博が見せた珍しい右足シュート。川崎の3得点は、どれもが美しいものだった。

大量得点に隠れがちだが、川崎にもピンチがあったのは事実だ。前半38分にマルティノスの左からのクロスをウーゴ・ビエイラが右足アウトで合わせたボレーは、運よくGKチョン・ソンリョンの正面をついた。さらに後半41分に右サイドから横浜Mの天野純が上げたクロス。PKの判定が下されるかどうかはともかくとして、そのボールをペナルティーエリア内にいた川崎の谷口彰悟がハンドしたのは明らかだった。それでも横浜Mを3―0で破ったという事実は、川崎の選手たちに良いイメージしか残さないだろう。

試合後、中村憲剛はこう語っていた。

「堅守といわれていたマリノスから3点を奪えたのは、個人としてもチームとしての自信になる」

Jリーグでも最高の盾を、自慢の矛で3度も突き破ればこその言葉だろう。そしてこうも続けた。

「今は自分たちがやるべきことが明確になってきている。攻守において一人もサボらずに走り切れている」

技術が高い選手が判断力を身に付け、しかもよく走る。それだけですごいチームができるだろう。「矛盾」ダービーで完勝した川崎のさらなる成長に期待したい。

岩崎龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はブラジル大会で6大会連続。






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