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『あさがくるまえに』 テーマは臓器移植。「光」で時間の推移を表す手腕に脱帽

2017年09月12日

(C) Les Films Pelleas, Les Films du Belier, Films Distribution / ReallyLikeFilms
(C) Les Films Pelleas, Les Films du Belier, Films Distribution / ReallyLikeFilms

ヨーロッパでは既に注目されているフランスの新鋭女性監督カテル・キレヴェレ。その日本初お目見えとなる長編第3作で、自国のベストセラー小説を映画化している。仲間とサーフィンを楽しんだ帰りに交通事故で脳死状態に陥った、港町ル・アーブルの少年。自分の心臓が末期的な症状であることを自覚している、パリのシングルマザー。そんな2つの命を結びつける、身内や医師たちの一日が描かれる。

この映画を見るまでは、臓器移植は映画向きの題材ではないと思っていた。だが本作と出会って、その考えを改めた。だって、物=臓器が移動するのだから。例えばサーフボードやスケートボード、自動車、ヘリコプターなどさまざまな乗り物によって物や人物が移動することで、画面は自ずと運動性や躍動感をまとう。もちろん、監督の技量によるところも大きいが。

そして、それ以上に本作がスゴイのは光だ。夜明け前の光、朝の光、午前と午後の日差しの違い、夕暮れ時…一日の時間の推移が陽の光によってどこまでも繊細に表現されている。映画が光の芸術であることを、リドリー・スコットの何倍も美しく的確に実証している。時間の空気をスクリーンに取り込めるキレヴェレ監督の手腕に舌を巻く!

叙情的で具体的。ここには時間と空間、つまり映画そのものがある。恐らく、今年の個人的なベスト1は、ジャームッシュの『パターソン』(公開中)か、これだろう。★★★★★

監督:カテル・キレヴェレ

出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル

9月16日(土)から全国順次公開






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