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「サッカーコラム」「第3段階」のスタートを切れなかったサウジ戦 W杯まであと9カ月、日本のサッカー力が問われる

2017年09月07日

サッカーW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦で、後半、ベンチ前で険しい表情を見せるハリルホジッチ監督=5日、ジッダ(共同)
サッカーW杯アジア最終予選のサウジアラビア戦で、後半、ベンチ前で険しい表情を見せるハリルホジッチ監督=5日、ジッダ(共同)

8月31日に埼玉で行われたオーストラリア戦が、もし引き分け以下の結果に終わっていたら…。そう思うとぞっとする。サウジアラビアと戦うアウェーでの最終戦にワールドカップ(W杯)出場が懸かっていたならば、6大会連続出場はかなり危うかった。

アジア最終予選のB組で、もし3位になっていたら気持ちを切り替えられないまま、10月に行われるプレーオフでA組3位のシリアと対戦しなければならない。そこを勝ち抜けても、北中米カリブ海4位との大陸間プレーオフを11月に戦わなければいけなかった。もし、ホームアンドアウェー方式で実施されるその4試合を経てW杯出場権を手に入れたとしても、来年ロシアで開催される本大会に向けての準備はかなり遅れていただろう。

それを思えば、オーストラリア戦でW杯出場を決められたことは何よりも良かった。2―0で快勝した試合は、すべての面で日本に追い風が吹いていた。まず、気象条件。試合開始前の気温は肌寒ささえ感じる22度。欧州の気候に慣れた選手が多い日本代表にとって楽だったはずだ。しかも、日本は前線から恐ろしいほどのスプリントでプレスを掛ける戦術。これが例年通りの30度近い気温だったら、恐らく終盤にガス欠を起こしたことだろう。

もう一つの勝因は、日本に対して確実にアドバンテージを持てる「高さ」と「強さ」をオーストラリアが使わなかったことだ。ビハインドを背負った終盤でもハイボールを使わなかったことについては、GKの川島永嗣が「向こうが(パワープレー)をやってこなかったことがある半面、自分たちもそれをやらせないだけのプレッシャーをかけられた」と語っていたが、どちらもがうまくはまった。

策に溺れたというやつだろう。パスをつなぐポゼッションサッカーを目指す「サッカルー」(オーストラリア代表の愛称)は、それにこだわり過ぎるあまり自らのストロングポイントを放棄してしまった。少なくとも、JリーグにはオーストラリアよりポゼッションのうまいJ1川崎のようなチームがある。押されているように見えても、相手にボールを持たせることで、日本は試合の主導権を握れた。日本としては「ジャンプをしないカンガルー」は恐れる対象ではなかったのだ。

コンフェデレーションズカップで見せたオーストラリアの活躍が印象的だったこともあり、それに完勝したチームを見て久しぶりに「日本は強い」と思った。しかし、0―1で敗れた9月5日のサウジアラビア戦ではそれが一変。アジアで頭一つ抜けていたかつての日本の強さはすでにないと改めて思い知らされた。

もちろん、日本にとって悪条件がそろっていたのは事実だ。サウジアラビアへの移動と時差。加えて、体力を使う日本のプレス戦術は回復までに時間がかかるにもかかわらず、直近の試合からの間隔がサウジアラビアより2日少ない。アルジェリアがベスト16の快挙を成し遂げた2014年ブラジルW杯。当時、チームを率いていたハリルホジッチは大胆なターンオーバー策を取った。裏返すと、ハリル戦術を実行するには恐ろしいエネルギーを消費するということ。日本のコンディションは十分ではなかった。

オーストラリア戦から4人のスタメンを入れ替えたサウジアラビア戦。セットプレー絡みで、日本は数度の決定機を作った。しかし、そのどれもが決まらなかった。一方、サウジアラビアは2度あったチャンスのうちの一つを決めた。結果的にW杯出場チーム同士の試合となったのだが、内容はかなりレベルの低いものだった。そして、これが現在のアジアのレベルであることを素直に認識しなければならないのは悲しい。

差し引いて考えなければいけない要素は確かにある。ナイターとはいえ、この時期に中東でサッカーをやること自体が常軌を逸している。原口元気も「どれだけスーパー良いコンディションの選手がそろったとしても、たぶんそれ(オーストラリア戦のようなサッカー)はできない」と独特の表現で気候の過酷さを語っていたみたいだが、スポーツに適さない悪条件だったことがよく伝わってくる。その高温多湿の地で、オーストラリア戦での疲労が回復していない選手たちの足が終盤に止まったのは簡単に予想できることだった。

本来はW杯出場権を決めた後の初戦となるサウジアラビア戦は、ハリルホジッチ監督のいうロシアW杯に向けた「第3段階」のスタートとなるはずだった。しかし、もくろみ通りにとはいかなかった。

W杯の本大会が開幕するのは9カ月後の来年6月14日。アジア・レベルを超えた結果を残すために、これからやることはたくさんある。幸いロシアは中東のような気候ではない。サッカーができる環境だ。そこで最大限のパフォーマンスを発揮できる準備を、いかにサポートできるか。日本全体のサッカー力が試される。残り9カ月。そう聞くと長いようだが、あっという間に過ぎ去るものだ。

岩崎龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はブラジル大会で6大会連続。






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