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「まるで子どもの天国だ」 20周年のフジロック

2017年08月03日

フジロック・フェスティバルの最終日に初登場し、幅広い世代を盛り上げたレキシ=7月30日、新潟県湯沢町(撮影・岡利恵子)
フジロック・フェスティバルの最終日に初登場し、幅広い世代を盛り上げたレキシ=7月30日、新潟県湯沢町(撮影・岡利恵子)

夏は海や山で、テレビ番組でも音楽フェスティバルが花盛りだ。その草分けとされるロックフェス「フジロック・フェスティバル」が7月28~30日に新潟県湯沢町で開かれた。1997年に山梨県の富士山麓で開かれた第1回からちょうど20周年(21回目)。今年も3日間で延べ11万人(前夜祭を含めると延べ12万5千人)が訪れ、大盛況だった。なぜこれほど支持され、広がりを見せているのか。今春から音楽担当になって初体験し、人気の理由を考えてみた。

まず経験者には当然のことだが、野外フェスでは厳しい自然に直面する。真夏の日差しは容赦なく照りつけ、雨も降れば風も吹く。今回のフジロックも初日や2日目は大雨で、びしょびしょにぬれて震える初心者の私は、途中ですごすごと引き上げるほかなかった。なぜ、こんなつらい思いをしてまで人々は集うのか。

雨の上がった3日目。それまでの反動で、お天道様のありがたさが身に染みる。曇り空ながら緑の山、澄んだ空気…。大自然の中で心が解放され、アーティストや観衆と”今ここにしかない音楽”を共有する喜びがわき上がる。ここにフェスの醍醐味が…。と、ここまではどのフェスも同じだろう。

実は取材をしつつ、こっそり夏休み中の中学生の息子を連れて行ったことで、フジロックが20年も続く理由を実感できた。長い目で見て、ロックファンやフェスの常連客を増やす工夫が凝らされているのだ。まず入場料。中学生以下は保護者が同伴すれば無料だ。会場内には、子ども向けの手作りジャングルジムや回転木馬などが置かれた広場があり、場内を流れる小川では水遊びもできる。石や岩に目玉を描いたアートやカラフルな旗など、子どもをワクワクさせる工夫が至るところにある。反抗期真っ盛りの中学生で、親に反発してばかりのわが息子がぼそっと言った。「ここって子どもの天国じゃね?」(「ここは子どもにとって天国のようだね」という意味のぶっきらぼうな言い方です。念のため)。

来場者は子連れが目立ち、3世代とおぼしき姿も。フジロックは若者だけでなく、子どもができた世代も幅広く楽しめるファミリーレジャーとなっている。「自然と音楽の共生」を掲げるフジロックは、入口でゴミ袋を配り、森作りの募金を行い、トイレでは昨年使われた紙コップを再生したトイレットペーパーが使われている。フェスを長く続けるための環境への配慮が感じられ、子を持つ親としては教育的な効果もちょっと期待してしまう…。

生演奏のロックを初体験したわが息子は、歴史用語をコミカルな歌にしたミュージシャン「レキシ」に盛んに拍手をおくっていた。「音楽も意外とイケてるんじゃね?」と喜ぶ表情は、いつもの不機嫌な顔と違い、雨上がりの空のようにさわやか。自然の中で聴く音楽に心を開いたのか、思春期らしく体制や権力(親?)に反発するロックミュージックに共感したのかは分からないが、フェスのファンがまた1人増えたのは確からしい。(佐竹慎一・共同通信文化部記者)


さたけ・しんいち 1972年生まれ。共同通信文化部でテレビ・ラジオや映画、学芸論壇などを担当。2017年5月から大衆音楽(ポップス)担当です。アウトドア好きなので、野外で音楽を楽しむフェスにはまりそう。





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