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「サッカーコラム」蒸し暑い時期に過酷な日程を乗り切った鹿島 チームを支えた小笠原満男の重い一言

2017年07月13日

J1 FC東京―鹿島 後半、同点となる自身2点目のゴールを決め、駆けだす鹿島・ペドロジュニオール(左)=味スタ
J1 FC東京―鹿島 後半、同点となる自身2点目のゴールを決め、駆けだす鹿島・ペドロジュニオール(左)=味スタ

関東地方は梅雨のような、真夏のような天気が続いている。日本の湿気を伴う暑さ。「欧州のリーグには基本的に存在しない難敵」を相手にしなければいけないJリーグは、チームづくりもなかなか難しいのではないかと思う。運動に適した気候に合わせて驚くほどの運動量を誇るチームを目指したとする。しかし、どんなに鍛えたとしても、夏になると機動力重視のチームは確実に足が止まる。欧州ではチームスタイルは1種類でいいが、Jリーグでは基本形に加え「夏仕様」を用意しなければいけない。監督も大変だ。

アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場組の4チームが、消化していなかった第13節の試合を7月5日に行い、各チームの消化試合数はそろった。ところが、4チームの3連戦の日程にはかなり偏りがあった。1、2日に第17節。ここでACL組4チームのうち2日に試合があったのは鹿島だけだった。そして5日に未消化だった第13節。8、9日に第18節を行った。鹿島は8日に試合があったのに対し、浦和は9日。この3試合の間隔が中2日と中2日の鹿島に対し、浦和は中3日と中3日だった。消耗の激しい季節に休養日が1日少ないのはかなりのハンディ。それを思えば、C大阪に抜かれ2位に後退したとはいえ、あらためて鹿島はタフなチームだと思う。

5月31日に大岩剛監督が就任。その後のリーグ5試合を勝ち続けた鹿島の連勝は、第18節のFC東京戦を2-2で引き分けて止まった。大岩監督は「ゲーム内容うんぬんよりも、彼らのタフさに驚き、そしてうれしく思っています」と選手の健闘をたたえた。確かにクラブW杯も含めた昨年末の研ぎ澄まされたような迫力はない。FC東京の橋本拳人に許した2点は、太田宏介のキックとピーター・ウタカのキープ力という能力によってもたらされたものだが、鹿島の疲労も無視できない要素だった。

試合内容を見れば2-1とリードした後にFC東京のペースの時間帯はあった。それでも全体としては鹿島の流れのように見えた。しかし、選手が感じていたのは本調子ではないということ。CBで若い三竿健斗をリードした昌子源は「動けていなかった。みんなしんどそうやったし、重かった」とセカンドボールへの反応の遅れが気になったらしい。タイトルへ近づくために最善の選択をする。このチームの強さは、あえてリスクを冒しても勝ちを狙うのではなく、状況に応じて割り切れることだ。2-2に追いついた時点で昌子は「僕と健斗のなかでは引き分けでもいいかと。俺らは最低でも2位でというのがあった」と負けないことを優先した。今後を見据えたリーグでの戦いを演じたわけだ。

コンディションが整わなくても、それなりに戦って勝ち点を得てしまう。それは鹿島というチームがサッカーというゲームをよく理解しているからだ。サッカーはゴールを奪い、ゴールを守ることが唯一無二の目的。流行のポゼッションはあくまでも手段。この点で、個人的に危ういなと思うことがある。近頃のGKも含めたビルドアップだ。ハイプレスを掛けてくる相手にこれをやるのは、まったく意味がないと思う。それよりもパスミスでの失点のリスクの方が大きい。ビルドアップはパスの得意なフィールドプレーヤーに任せた方がいい。それも自陣ゴールから遠い位置で。その意味で、鹿島のGKやDFは危ないと思ったら迷いなく自陣からボールを蹴り出す。無理につなごうとして、奪われてショートカウンターをくらうより、一回流れを切って立て直す方が安全だと知っているからだ。

8日、前半16分にペドロジュニオールが挙げた先制点。自陣ペナルティーエリアから、GKの弾いたボールも含めて9本もつないだゴールは、素晴らしい連係と美しさだった。ただ、それは複雑さを狙ったのではなく、シンプルなことの精度を高めた結果なのではないのか。2-2の同点ゴールも、ペドロジュニオールのキックの精度だ。それを考えれば、精度さえ備えれば、サッカーはシンプルなほど強さを発揮できるのではないだろうか。

シンプルなのは技術や戦術だけではない。戦いに臨む心構えにもいえる。中2日で迎えた3連戦の2試合目、G大阪戦を前に小笠原満男はこう言ったという。「こんなタイトな(日程の)試合を言い訳にしない。むしろこんなタイトな試合に勝ち続けることで、自分たちの評価を上げよう」。野武士のような寡黙なキャプテンに、あの低音でいわれたら、周囲の選手はどんなに過酷な条件でもやるしかないだろうが…。

岩崎 龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材は2014年ブラジル大会で6大会連続。






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