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「サッカーコラム」柏の躍進を支える新戦力 手塚康平の良い意味での距離感の違い

2017年05月18日

J1 FC東京―柏 前半、先制ゴールを決める柏・手塚=味スタ
J1 FC東京―柏 前半、先制ゴールを決める柏・手塚=味スタ

ピンチをしのいでいれば、やがて流れは自分たちのチームに傾いてくる。サッカーでよく言われる格言を地で行くような試合だった。前節までの順位が4位と5位の対戦。J1第11節、5月14日に味の素スタジアムで行われたFC東京対柏の一戦は、好調なチーム同士の対戦だった。ともに直近の3試合は無失点。3連勝中の東京と4連勝中の柏。堅守の基盤は、どちらもGKの存在が大きいのだなと感じさせる立ち上がりだった。

最初に見せたのは東京の林彰洋だ。前半11分、ゴール正面20メートルのFK。クリスティアーノの右足のシュートを、美しいダイブで弾き出した。一方、柏の中村航輔もFKに対して前半15分に素晴らしい反応を見せた。太田宏介の左足から放たれた25メートルのシュートを、左にステップを踏みワンハンドでディフレクト。ゴール枠の外に出した。

たとえ得点が入らなくても、GKの好セーブを見られると、試合はかなり楽しくなる。そして、その楽しさをさらに提供してくれたのが、この試合に限れば中村だった。前半21分にはペナルティーアーク付近から放たれた東慶悟の左足シュートを左に反応してセーブ。前半31分には左サイドの太田のクロスを、前田遼一が教科書通りにヘッドで地面にたたきつけたが、このシュートに対しても素早い反応でボールをかき出した。

序盤の決定機では東京が上回っていた。しかし、それを決めなければ、いつの間にか一つのきっかけをもって流れが相手に傾く。そのスイッチを入れたのが、柏の先発メンバーで最も若い21歳の手塚康平だった。

この左利きのボランチのプレーを見るのは初めでだった。経歴を調べてみると、2015年にはニュージーランドのセミプロでプレーをしている。現トップチームの下平隆宏監督がユースの指揮を執っていたときの選手だ。帰国後、2016年にプロ契約。今年に入り3月15日のルヴァンカップでトップチームデビューを果たすと、J1第5節の広島戦から「先発の座」を獲得した。それ以来、チームは6勝1敗と好調だ。

4月30日の新潟戦では、直接FKから決勝ゴールを挙げた。CKも任されることから手塚の左足のキックには、絶大な信頼が置かれているのだろう。しかもシュートレンジの距離感が、良い意味でJリーグ化されていない。これは10代のうちに海外でプレーした経験が関係しているのだろうかと勝手に推測してしまう。

前半33分、先制点となる東京のGK林を襲った約32メートルのロングシュート。手塚は「スカウティングのときからあそこのスペースが空くと聞いていたんで、そこでボールを持ったらシュートを打とうと意識していた」と語っていた。決して思いつきではない、理詰めのシュートだったのだ。スポーツニュースを見ていたら、この30メートルを超えるシュートを「ミドル」と報じていて笑った。あれが「ロング」でなかったら、日本のサッカーにロングシュートという言葉は…。事実、手塚がシュートモーションに入ろうとしたときに、その前方にいた東京の2ボランチ、梶山陽平と高萩洋次郎は間合いを詰めにさえ行っていない。日本のサッカーの常識の範囲では、30メートル超はシュートレンジではないのだ。

それを考えれば距離感覚の違う手塚という選手の出現は、かなり興味深い。通常、選手は自らのキックが届くところまでしか視野を確保しなくなる。手塚のようにキックに自信がある選手は、自然に見る範囲も広くなる。パスを届けられるからだ。そのような選手がボランチのポジションにいれば、サッカーの展開が大きくダイナミックになる。手塚自身も自分自身の特徴を「ボールを受けてさばくこと」「ボランチで点が取れたら良い武器になる」と語っていた。その意味でイタリアのピルロのように正確なキックで中盤の底からゲームを操り、同じ左足の中村俊輔のようなFKのスペシャリストに成長する可能性がないともいえない。そうなれば、自らのプレーだけでお客を呼べる選手になるだろう。

それにしてもスコアに表れない試合内容とは、こういうものなのだろう。柏は先制した後、カウンターから数え切れないほどの決定機をつかんだ。しかし、結果は2-1だ。その意味で良くも悪くも柏の若さが出た試合だ。ただ新しいタレントの出現というのは、いつのときにもわくわくさせられることは間違いない。

岩崎 龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材は2014年ブラジル大会で6大会連続。






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